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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

日本企業が長年の開発で培った最新技術が、中国企業に流出…怒涛の半導体業界再編の深層

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大型M&Aが止まらない


 今年に入って大型M&A(合併・買収)が頻発している。そのなかでも、7月14日に中国の紫光集団が米マイクロン・テクノロジーに230億ドルの買収提案をしているニュースに驚いて、本連載で『「半導体製造が苦手な」中国企業、日米技術者を一気に獲得の荒技』(8月24日)という記事を書いた。

 しかし、その後も大型M&Aの波は収まる気配がなく、激しさを増している(図1)。9月には、米PCメーカーのデルが米ストレージメーカーのEMCを670億ドルで買収すると発表。また、英ダイアログ・セミコンダクターが米アトメルを46億ドルで買収すると発表した。



 10月13日には、いまだに粉飾会計の余波が収束しない東芝のNANDフラッシュメモリの提携先、米サンディスクが身売りを検討していることを米ブルームバーグが報じた。サンディスク買収に名乗りを上げているのは、旧エルピーダを買収した米マイクロンと、HDDのトップメーカー米ウエスタン・デジタルの2社で、これに関する記事を執筆しようとしていたら、早々にも10月21日にウエスタン・デジタルが買収することに決まってしまった。なんという早業だ。

 同日には、半導体製造装置メーカーの米ラムリサーチが、同業の米KLA-Tencorを106億ドルで買収すると発表。10月23日には、東芝がリストラの一環としてCMOSセンサーを製造している大分工場を、200億円でソニーに売却することを発表した。

 2010年以降の半導体業界におけるM&Aの規模の推移を見てみると、15年は10月22日時点ですでに1302億ドルに達している(図2)。10~14年までの年間M&A平均額が125.2億ドルだから、15年はまだ2カ月余りを残して、その平均値の10倍を超えてしまった。今年のM&Aの凄まじさが窺い知れよう。



微細化が止まり、半導体は成熟産業になる?


 一部の報道では、「ムーアの法則がスローダウンし、終焉を迎えようとしている」ことや、「半導体市場が低成長となり、鉄鋼業のように成熟産業になってきた」ことを、大型M&Aの理由としている。しかし、これらの説は正しくないと思う。

 まず、微細化は止まる気配がなく、よってムーアの法則も終わらない。それについては、6月24日付本連載記事『アップルに「半導体の盟主」を奪われたインテルの致命的ミス ムーアの法則終焉説の嘘』で詳述した。ここでは、インテルとアップルの最先端半導体の微細化のトレンドを示そう(図3)。インテルのプロセッサが順調に微細化していることがわかる上に、アップルはそれを上回る速度で微細化を推進していることも読み取れる。