NEW

公務員はもはや「マイナス」の時代!? 盲目的に「安定」に群がる若年層へ幸福は訪れない

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
koumuin0324.jpg
「AC photo」より

 家族関係やコミュニケーションに対する思考、IT技術の多様化により、人それぞれが「一般的」と考える事柄も多様化してきた昨今。その中で、今や"死語"になりつつある言葉がある。それが「安定」だ。

 日本に関しては、戦後何十年も経済成長を続ける中で「会社員」として定年退職まで勤め上げることが"普通の"人生モデルとして現在も定着している。どこかの組織に属し(できるだけ大きな)、組織のために身を削るのが成功といえなくもないという認識だろう。

 ただ、バブル崩壊後、多くの企業が痛手を受け倒産する中でその状況はわずかであるが変化した。それまで「会社員になれなかった人の職業」という見方すら一部でされていた「公務員」が一躍脚光を浴びるのである。公務員は地方自治体や国の機関で働くがゆえ、基本的に国や自治体が破綻しない限りは職は失われず、いわゆる「クビ」もない職業だ。バブルの浮沈を目の当たりした人々は公務員の"安定価値"を知り、その感覚を生まれてから長く刷り込まれてきた現在の若年層も公務員を目指す傾向にある。学生の「なりたい職業」のベスト3に入るという話もあるのだから、そのイメージの強さがわかるというもの。最近は志願者数も徐々に減少傾向にはあるが、給与削減などの影響などがあって浮わついた受験者が減っただけで、実質的に競争率は変わっていないと見るべきだろう。

 確かに、公務員が会社員や起業家と比較して「安定」しているというのは間違いないのかもしれない。給与も年齢に応じて増えるし実力主義の要素も少ないという点ではそうだ。ただ、公務員の価値が大きなものとなっていくうち、多くの人、特に若者にとっての"仕事"の意味が狭まっているように思えてならない。

 果たして、今公務員として働いている20代、これから公務員を目指す学生に「公務員になった、またはなりたい理由を『安定』以外で述べよ」と聞いたとして、明確な回答を出せる人がどれだけいるか。無論「警察官になって市民の安全を」や「県庁に入庁して県に貢献したい」という志を持った人もいるだろう。しかし多数は答えに窮するのではないか。

 事実、公務員試験において「併願」をする学生は極めて多い。「国税専門官」と「裁判所事務官」というだいぶ業務内容の違う職種を受ける大学生などの割合は非常に高く、そういう姿を見ると「安定した公務員ならなんでもいいんだな」という感想を抱かざるを得ない。

 筆者の周りにも公務員になった同年代の人物はけっこういるが、彼らに「仕事どう?」とたずねても、仕事以外のプライベートな話でしか表情豊かにならない人は多い。彼らと話をするたびに「安定」という価値を得る代償として「楽しく働くこと」を捨てたように思えてくるのである。仕事の時間は人生で一番長いのに。

 もちろん、公務員ではない会社員でも同じような人物はいるし、プライベートを充実させることも大事だということは理解している。筆者が感じるのは、現在の若年層の多くが「公務員礼賛」の世間風潮により、「仕事=安定を求めるもの」「仕事=楽しくないもの」という固定観念を抱いているのではないかということだ。