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武田薬品、看板「アリナミン」事業売却の観測広まる…財務悪化で格付け会社が一斉に引き下げ

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アリナミン(「Amazon」より)

 武田薬品工業は1月8日、アイルランドの製薬大手シャイアーの子会社化を完了した。売上高が3兆円を超える日本発のメガファーマ(巨大製薬会社)が誕生した。

「グローバルな研究開発型の企業になる」。クリストフ・ウェバー社長はシャイアー買収後、こう抱負を語った。

 買収総額は日本企業として過去最高の460億ポンド(最終的に6兆1984億円で確定)。対ポンドで円高になっており、円換算の買収額は当初の想定(6兆8000億円)より縮小した。シャイアーの全株式を1株当たり30ドル(約3200円)の現金と武田薬品が発行する新株を組み合わせて買い取った。

 新株の発行で、発行済み株式数は2倍に増加。シャイアーの買収に備えて2018年12月、武田薬品は米預託証券(ADR)をニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した。NYに上場したことにより、欧米のシャイアー株主は武田薬品株を保有しやすくなり、東証で彼らが武田薬品株を手放すことによって起こる株価の下落を防ぐ株価防衛策を講じた。

 買収後は、シャイアーが強みを持つ血友病などの希少疾患分野が稼ぎ頭となり、新生武田の売り上げの22%を占める。地域別の売上高では米国が最多の49%を占め、日本は18%となる見通し。世界最大市場の米国で攻勢を強める体制を整えた。

 しかし、米国では製薬会社への風当たりが強まっている。ドナルド・トランプ大統領は就任前から「薬価が高すぎる」と製薬会社を批判。18年11月の米中間選挙前には、薬価抑制策を公表した。今年に入り野党・民主党議員も薬価引き下げ法案を議会に提出。薬価引き下げで米政権と野党が歩み寄ったかたちだ。

 ウェバー社長は、ニューヨークでメディアに「成果報酬型薬価」に言及した。薬が効いた分だけ薬価を支払う仕組みが広がれば、患者や国の医療費負担が減る可能性がある。新しい仕組みの導入で高額医薬品の採用が増えれば、製薬会社の膨大な研究開発費の回収が見込める。

 シャイアーの買収は短期的には武田薬品の稼ぐ力を高め、大型新薬を生み出すまでの時間稼ぎができる。だが、買収によって、武田薬品の純有利子負債は約5兆4000億円と18年3月期末の8倍に膨らんだ。財務リスクと背中合わせの買収に対する投資家の懸念は払拭できていない。

 格付け会社は財務リスクを懸念する。格付投資情報センター(R&I)は武田薬品の発行体格付けをダブルAマイナスからシングルAに2段階落とした。ムーディーズ・ジャパンはA2からBaa2に3段階引き下げ、S&Pグローバル・レーティング・ジャパンはシングルAマイナスからトリプルBプラスに1段階下げた。

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