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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

中国、建国以来最大の危機…香港「独立」問題が浮上、年末に米中貿易戦争が最悪の状態に

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中国の建国70周年を記念する軍事パレードの様子(写真:Imaginechina/アフロ)

 中国が10月1日に建国70周年を迎えた。北京では国慶節にあわせて過去最大規模の軍事パレードが行われ、国力および自身の権力を内外に示したい習近平国家主席の思惑が透けて見える。しかし今、中国は建国以来最大の危機を迎えているといってもいい。

 ひとつは、香港で起きている抗議デモだ。香港のデモ隊は10月1日の国慶節を「国難の日」として大規模な抗議活動を行い、デモ参加者が警察に実弾で撃たれる事態となった。かねて「第2の天安門事件になるのでは」と危惧されている香港デモは収束の気配が見えず、習主席は9月30日に「いかなる勢力も祖国の完全統一を阻むことはできない」「一国二制度を堅持するべきだ」「香港が大陸と共に発展、進歩することを信じている」などと述べている。

 一方、国際社会は中国に圧力をかけている。国連総会では、アメリカのドナルド・トランプ大統領が中国の人権問題や通商慣行を批判し、マイク・ペンス副大統領も人権問題や宗教弾圧について踏み込んだ発言を行った。これは、香港デモなどの問題を視野に入れたものと考えられる。また、アメリカ議会は香港の「特別な地位」に関する「香港人権・民主主義法案」を上下院の外交委員会で可決し、中国による香港の自由や人権に対する侵害に強い警告を与えている。

 さらにいえば、香港デモの様子は日本ではあまり報じられていないが、同じく中国の脅威にさらされている台湾や元宗主国であるイギリス、アメリカの報道機関が生中継で伝えるなど積極的に報じており、中国のデモ弾圧を伝えている。

 デモのきっかけとなった「逃亡犯条例」改正案については、香港のトップである林鄭月娥・行政長官が撤回を表明したが、そもそもデモ隊は同案の撤回のほかに普通選挙の実施なども含めた「5大要求」を打ち出しており、残りの4つについては解決されていない。というより、それらを認めれば将来の独立運動につながりかねないため、中国政府としては到底のめる要求ではないのが現実だ。

 今後、香港の独立問題で最大のネックとなるのが水問題だろう。香港は多くの水を中国本土から引き込んでおり、これを止められれば香港の経済活動は停止してしまい、人々の生活も成立しない。これが、香港と台湾の最大の違いであるともいえるわけだ。

米中貿易戦争が迎える最悪の展開

 もうひとつは、米中貿易戦争のゆくえだ。9月に約2カ月ぶりに通商協議が再開され、次回は10月第2週にも閣僚級協議が開かれる予定だという。アメリカはすでに発動している中国からの輸入品2500億ドル(約27兆円)分に対する制裁関税引き上げ(25%から30%)を当初の10月1日から15日に延期しており、次回の通商協議のゆくえが注目されるところだ。

 トランプ大統領は9月に対中制裁関税第4弾を発動しているが、一部製品の関税は12月に延期している。9月1日から10%の追加関税が課されたのは、スマートウォッチ、スマートフォン部品、半導体メモリなど対中依存度が低い3243品目だ。一方、12月に延期したのは、ノートパソコン、スマホ、ゲーム機など対中依存度が高い555品目で、これは自国のクリスマス商戦への影響を考慮して先送りされた。しかし、これはタイムリミットが延びたにすぎず、今後の通商協議で進展がなければ延期分の関税が発動し、米中貿易戦争は年末に最悪の状態を迎えることになる。

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