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巨大・日本郵政G崩壊の裏側…歪な3社同時上場が元凶、増田新社長では再建できない

文=有森隆/ジャーナリスト
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かんぽ生命不適切販売問題 経営トップが記者会見(写真:東洋経済/アフロ)

 かんぽ生命保険と日本郵便の保険商品の不適切販売を受け、40万人超の従業員を抱える日本郵政グループの3社長が一斉に交代する。役員人事を決める「指名委員会」が12月27日に開かれ、長門正貢・日本郵政社長、横山邦男・日本郵便社長、植平光彦・かんぽ生命社長、鈴木康雄・日本郵政上級副社長(元総務次官)が引責辞任する。鈴木副社長が日本郵政グループの「事実上のトップ」(総務省関係者)であり、同氏が辞任しなければ「責任を明確にした」(同)ことにはならない。

 日本郵政の新しいトップには、安倍政権に近い増田寛也・元総務相に決まった。しかし、増田氏は「早い段階で社長就任を打診されたが、一度は断った」(政府関係者)といわれている。

「民間企業の経営経験がなく、巨大金融機関を抱えるグループのトップが務まるか、不安だろう。増田氏の脇を固める優秀なスタッフ(=日本郵便とかんぽ生命の社長)を揃えてもらえるかどうかで決まるということだ」(増田氏に近い関係者)

 しかし、脇が固まらないままの見切り発車となった。12月26日現在、トップの候補は増田氏を含めて3人いるとされてきた。一方、日本郵便、かんぽ生命の社長は内部昇格となる。かんぽ生命の新社長には旧郵政省出身の千田哲也副社長、日本郵便は日本郵政の衣川和秀専務執行役の昇格となる。布川氏も旧郵政省出身。親会社、子会社の3人のトップは官僚出身者となった。

 日本郵政の鈴木副社長はかんぽ不正に関する行政処分案を、旧郵政省時代からの後輩にあたる鈴木茂樹・総務次官から電話などで情報を得ていた。次官による前代未聞の情報漏洩で、鈴木氏は12月20日付で辞職した。

 前次官が情報をなぜ流したのかなど、詳しい経緯は不明のまま。日本郵政は12月25日になっても「事実確認を続けている」とし、一切の説明を拒んでいる。鈴木副社長の辞任会見はあるのだろうか。トップ人事はいずれも2020年1月5日付。

長門社長は敵前逃亡した

 かんぽ生命の不正問題をめぐり、菅義偉官房長官は12月19日午前の記者会見で、日本郵政の長門社長らグループ経営陣について「経営責任は適切に判断すべきものだ」と述べた。長門氏は12月18日、記者会見で「しかるべきタイミングで経営責任について改めて発表したい」と逃げの一手だった。

 12月18日の郵政グループの会見は最低最悪の記者会見だった。特別調査委員会の報告に「持ち株会社の取締役会で郵政のガバナンスについて議論されたことはなかった」と書かれていた。驚くべきことだが、内情を知る人は、「長門社長と日本郵便の横山社長は反目し合っていた。タテのコミュニケーションがないのだから、ガバナンスなど機能するわけがない」と切って捨てる。長門氏を筆頭に3人の社長は会見を途中で打ち切り、怒号を浴びながら退席した。

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