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創業320年、山形県最後の百貨店・大沼はなぜ倒産?全国で百貨店が消滅し始めている

文=編集部
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山形の老舗百貨店、大沼(「Wikipedia」より/Suz-b)

山形県は全国で唯一、百貨店がなくなった

 老舗百貨店大沼(山形市、長沢光洋代表取締役)と関連会社の大沼友の会は1月27日、山形地裁に破産を申し立て、同日、破産開始決定を受けた。負債総額は大沼が約30億円、大沼友の会が約3億円。従業員191人は26日付で解雇された。

 地元紙の山形新聞(1月28日付)は次のように報じている。

<記者会見で長沢氏は27、31日の取引先約500社への支払資金約4億円を用意できず、大沼の破産を最終決断したと説明した。それぞれ年間1億円超のシステム維持費、駐車場費用も重荷だったとし、「資金繰りに追われ、策を打てず、なんともならなかった。320年の歴史に幕を閉じ、言葉では表せないほど重く受け止めている」と苦渋の表情を浮かべた>

 大沼は江戸時代の元禄13(1700)年創業の老舗百貨店。本店に加え、酒田店、米沢店、酒田中町店を出店していた。最盛期の1993年2月期の売上高は196億円。その後は郊外型の大型商業施設や隣接する仙台市内の百貨店に買い物客が流れ、業績は悪化の一途をたどった。17年2月期の売上は85億円、19年2月期には74億円まで急減。19年10月以降は消費税増税の影響で前年同月比30~40%の減少が続いていた。

 この間、経営は迷走した。東京商工リサーチの「倒産レポート」は、次のように伝えている。

<2018年4月に事業再生を手掛ける投資ファンドのマイルストーンターンアラウンドマネジメント(東京)が大沼の発行済み株式の全てを取得。体制を刷新し、抜本的な再建に着手した。しかし、マイルストーンの出資金の使途を巡り、金融機関や従業員との関係が悪化。2019年3月に電撃的に臨時株主総会が開催され、大沼の執行役員らが出資する大沼投資組合が経営権をマイルストーンから奪取。大沼投資組合や地元支援者による経営再建がスタート。19年8月には米沢店を閉店するなどリストラを進めたものの、資金繰りが限界に達した>

 かくして山形県は全国で唯一、百貨店のない県となった。

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