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旧MRJ失敗で“三菱グループ”内の序列崩れる…三菱重工は失墜、三菱地所が台頭の機運

文=小川裕夫/フリーランスライター
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MRJ90(「Wikipedia」より/Marc Lacoste)

 三菱重工業(三菱重工)が社運をかけて取り組む国産ジェット機の開発が、苦境に立たされている。

 三菱グループの御三家は、祖業の海運・造船業を手がけてきた三菱重工がその筆頭格とされる。その三菱重工は、かねてから国産ジェット機の開発に血道をあげてきた。それは、もはやビジネスの枠を超えて“三菱の力”を国内外に誇示するため――などとも、政財界では冷ややかに語られてきた。

 三菱重工は国産ジェット機スペースジェット(旧MRJ)の開発にあたり、2008年に子会社の三菱航空機を設立。そこから足掛け10年以上の歳月と莫大な資金を投じてきたが、いまだに飛行機はテイクオフできていない。14年前後には「間もなくロールアウト(発売開始)」とも喧伝されたが、待てど暮らせど朗報は届かなかった。そして、このほど6回目の納入延期が発表され、ロールアウトは早くても21年度以降になることが決定。

 今回の納入延期は、公式発表前から情報を掴んでいた日本経済新聞とNHKが報道していたが、三菱重工はそれを頑なに否定していた。三菱重工にとって、納入延期は三菱グループ全体を揺るがす一大事でもあったからだ。経済紙の記者は言う。

「3度目の納入延期あたりから、記者たちの間では『もはや飛ばないのでは?』という疑問が芽生え始め、今では特に延期が発表されても驚くニュースではなくなりました」

 ここまでの失態を演じている三菱重工だが、実は航空機分野のみならず他分野でも苦戦を強いられている。三菱重工は造船業を18年に分社化。祖業でもある造船業を切り離したことは、三菱の退潮を予感させる出来事だった。

三菱商事の孤軍奮闘

 しかし、三菱御三家のなかで苦戦を強いられているのは三菱重工だけではない。三菱UFJ銀行もゼロ金利や長引く不況、フィンテックによる金融業界の勢力図再編など、厳しい環境下にある。そうしたなか、三菱商事だけが孤軍奮闘している。2000年前後、ITによって業者間が直につながることが容易になった。これまで業者間の仲介役を務めることで利益を得て巨大化してきた商社は存在意義を失う。そのため、この時期は商社不要論が強くなった。ある大手商社の社員は、言う。

「私が入社したのは2010年代に入ってからですが、このときはすでにITの登場で商社の屋台骨であるトレード事業は見る影もない状態でした。それで、ファイナンスという分野に進出したわけですが、この分野もフィンテックによって侵食されつつあります。そうした逆風もあり、商社は20年代には生き残れないという悲観論もありました。

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