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いちファンが見た、若すぎたセンターの4年間【前編】

“笑顔の人”平手友梨奈の4年間の軌跡…欅坂46の元センターを誤解しているすべての人へ

文=ガリバー
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 2020年1月23日に突然の脱退発表がなされ、ソロアーティスト・女優として歩み始めた、元欅坂46の平手友梨奈。2015年11月からの4年間の彼女のアイドル人生を、アイドル評論家・ガリバーが語り倒す。前編ではデビュー以降の彼女の足跡をたどり、後編ではそれを受けてのガリバー氏の論考を掲載していく。(【後編】はこちら

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2016年4月6日にソニー・ミュージックレーベルズより発売された、欅坂46のデビューシングル「サイレントマジョリティー」のType-A版ジャケット。2001(平成13)年6月25日生まれの平手友梨奈は、このとき14歳である。

 突然の脱退発表だった。「今は話したいとは思わない」との彼女の言葉を尊重し、憶測やゴシップなどからではなく、筆者がコンサート会場で見てきた彼女のステージ上の姿の記録をたどっていきたい。こと平手友梨奈に関しては、テレビの出演時の状態について語られることが多いのは致し方ない部分ではある。しかし当然のことながら彼女は、シングルの作品制作、そして単独コンサートやツアーのほうにこそ多くの時間を費やしてきた。そこでここでは、デビュー以降、数多くのコンサート現場に足を運んできたいちファンの視点から、平手友梨奈の、アイドルとしての4年間を振り返ってみたい。

年齢相応の笑顔が弾けた2015年~2016年

 2015年11月14日、「お見立て会」において初めてステージ上からファンの前に姿を見せた平手友梨奈。「サイレントマジョリティー」の鮮烈なMV披露を受けて開催された2016年3月のデビューカウントダウンライブでは、自身初のソロ曲「山手線」も披露。曲に漂う儚さを、見事に表現していた。

 2016年4月に正式にセンターとしてデビューするや、瞬く間に「笑わないアイドルグループ」としてのパブリックイメージが形成され、平手はそこでも大きなインパクトを残していく。しかし、テレビ番組や握手会での平手友梨奈は常に笑っているような女の子であり、特に握手会での全力で元気はつらつとした対応は、平手レーンに並んだことのある人間ならば誰しも、忘れられないようなみずみずしさを感じたはずである。

 2016年11月にリリースされた 「二人セゾン」は今なお欅坂46の最高傑作という声も大きく、メンバー自身によってもしばしば回想される時期の曲でもある。2016年12月に有明コロシアムで初のワンマン公演を開催。そのなかにあって平手は、真っ赤なスーツを着て客席の真ん中に登場し「渋谷からPARCOが消えた日」を客席通路を闊歩しながら堂々と披露。年末には紅白歌合戦に初出場を果たす。

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2017年4月5日にソニー・ミュージックレーベルズより発売された、欅坂46の4thシングル「サイレントマジョリティー」のType-A版ジャケット。

転機だった2017年の「不協和音」、そして全国ツアー

 平手脱退前の最後のテレビパフォーマンスとなった「不協和音」がリリースされたのは、2017年4月である。制作当初から、台湾で撮影の模様が目撃されるも横浜で再撮影されるなど、何かといわくつきのシングルではあった。この曲が2017年4月のグループ一周年記念ライブで初披露された際のインパクトは鮮明で、「欅坂46が新たな境地を開きにきた」という衝撃を受けた。「不協和音」ばかりが話題になりがちだが、このシングルには後の定番曲にもなる「エキセントリック」や、平手と長濱ねるによるほがらかなミディアムバラード「微笑みが悲しい」、平和の鐘を鳴らすようなライブ終盤の定番曲となっていく「W-KEYAKIZAKAの詩」も含まれていることを忘れてはならない。

 そして2017年6月24日、幕張メッセでの全国握手会の際に、あの事件――刃物を所持した男性による発煙筒投げつけ事件が起こる。この出来事は、平手友梨奈のアイドルとしてのその後の人格形成に大きな影響を及ぼしたものとして語られることが多い。そうした“語り”は、この事件が「不協和音」のリリースと重なったこともありさらに説得力を持ちそうにも思われるが、しかし私はこの点に関しては、非常に慎重に考える必要があると考えている。というのもこの後、2017年7月に初開催された「欅共和国2017」においては、平手友梨奈の元気な姿がステージ上に確認されており、客席を横切る通路をバイクで走ったり、その後のライブ定番曲の「危なっかしい計画」も初披露したりと、初の野外ライブの試みは大成功したかに見えたのだ。

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2017年7月22日・23日の2日間にわたって、富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)内にて開催された野外ライブ「欅共和国2017」の模様を収録したブレーレイ版ジャケット(発売はソニー・ミュージックレーベルズ)
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2017年7月19日にソニー・ミュージックレーベルズより発売された欅坂46の1stアルバム『真っ白なものは汚したくなる』Type-A版ジャケット。

紅白で倒れ込んだ平手友梨奈

 ファーストアルバムを引っさげ、2017年8月から開始された「真っ白なものは汚したくなる」ツアーの神戸公演初日で、それは起こった。本編ですでに動きの悪かった平手は、アンコールの「サイレントマジョリティー」の披露直前に姿を消し、グループは平手不在の状態で同曲を披露することになる。その後、平手はツアーに安定して出られない状態が続き、8月16日の愛知公演ではついに、全面欠席が当日になって発表されてしまう事態に。

 しかし8月30日、ツアー最終日の幕張メッセのダブルアンコールは、今も語り継がれる伝説となっている。平手は炎に囲まれギターをかき鳴らし、自身のソロ曲「自分の棺」を披露。他のメンバーが登場して白い粉が舞い散り、それまでのツアーで使用してきた衣装を引き裂き、銃声が鳴り平手が撃たれ、血だらけのまま「不協和音」に突入するという、この公演たった1回きりの演出。千秋楽にて特別な演出(それは単に曲が増えるといったような生易しいものでは決してない)が加わるようになったのも、この時からだ。

 この2017年のNHK紅白歌合戦では、2回目の「不協和音」を披露した際、志田愛佳、鈴本美愉と共に倒れ込み、内村光良が平手に心配して声をかける姿を強烈に記憶している者は多いだろう。

2018年、平手不在の半年間、映画主演、そしてツアー全面参加

 年末の紅白歌合戦の際に腕を負傷してしまった影響で、グループとしての年始の武道館公演が見送りになる。さらに4月の「欅坂46 2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」は平手なしで、センターポジションを他のメンバーが代わる代わる務める“レインボーセンター制度”というイレギュラーな形で実施された。その後平手は、「欅共和国2018」に出演。夏の全国アリーナツアーにも帯同し、アリーナを突っ切るという独特のステージ構成のこのツアーをやり切ったかに思われたが、9月5日のその千秋楽・幕張メッセ公演にて、またも事件は起こる。序盤の「ガラスを割れ!」でステージから転落してしまったのだ。病院直行後にアンコールにて復帰し、ステージは涙で包まれる。

 総じてこの年は平手にとって、映画『響-HIBIKI-』の主演を務めた年であり、怪我の影響もあってグループとしての活動は控えめであったといえよう。同年の紅白歌合戦には欅坂46として連続出場を果たしてはいるものの、このときにもセンターは小林由依が努めた。

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2019年2月27日にソニー・ミュージックレーベルズより発売された欅坂46の8thシングル『黒い羊』Type-A版ジャケット。

最後の年、2019年 “有終の美”東京ドーム公演

 アイドル平手友梨奈が最後の年に世に問うたシングルは、2月に発表された「黒い羊」のみである。ダークな話題がついてまわる“ラストシングル”だが、その特典映像の「KEYAKI HOUSE」では、平手が他のメンバーと共に時間を過ごし、最後はプールに入って笑顔で不協和音を披露しはしゃぐ姿が収められている。

 4月の「欅坂46 3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」大阪公演は、今までにないポップで明るいコンサートとなり、終盤には平手本人が欅坂46への提供を熱望していた「シンクロニシティ」(乃木坂46)披露も実現し、笑顔も見せていた。その後行われた日本武道館での追加公演にも平手は全日参加し、最終日には「黒い羊」を披露。しかし全国握手会を除けば、ファンの前でこの曲を披露したのはこの日のみとなった。

 この年も平手友梨奈は「欅共和国2019」に全日出演。8月の全国アリーナツアーは体調不良を理由に欠席してしまうも、中盤の大阪城ホール公演にて予告なしの電撃復帰を果たす。そして9月、グループ初の東京ドーム2days追加公演。ここでは「不協和音」も繰り出し、2日目の最後のダブルアンコールは、自身のソロ曲「角を曲がる」で幕を下ろす。

 しかし結果的にはこれが、彼女の“ラストステージ”となった。(【後編】はこちら

(文=ガリバー)

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●ガリバー
アイドルのライブに通い始めて14年目。メジャーアイドルからインディーズ、地方アイドルのライブや握手会まで、年間約300回ほど足を運んでいます。大阪の地を拠点に、北は北海道から南は沖縄まで全国を回ります。現在は坂道シリーズを中心に、乃木坂46では齋藤飛鳥さん、岩本蓮加さん、筒井あやめさん、欅坂46では小池美波さん、藤吉夏鈴さん、山崎天さん、日向坂46では齊藤京子さんを推しています。<Twitter:@gulliverdj>

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