国際オリンピック委員会(IOC)が公式ホームページ上で、「東京五輪・パラリンピックの延期に伴う経費負担を安倍晋三首相が同意した」などと公開したことに対し、国民の怒りが爆発している。菅義偉官房長官は21日午前の記者会見で「合意の事実はない」と否定。IOCによる国際的な世論操作の可能性や、日本政府の情報隠蔽疑惑などさまざな憶測がなされている。
共同通信は21日、ジュネーブ発の速報で以下のように報じた。
「新型コロナウイルス感染拡大による東京五輪・パラリンピックの1年延期に伴う追加費用について、国際オリンピック委員会(IOC)は20日、『安倍晋三首相が、現行の契約条件に沿って引き続き日本が負担することに同意した』と明らかにした。日本側に負担を強いる姿勢をより鮮明にした。追加費用は3 千億円規模が見込まれ、今後精査される」
これに対して、Twitter上では以下のように不満の声が相次いでいる。
「国際問題(ウイルス+経済)と国際運動会。どっちが大事か解ってないんだね。人間って怖いね。裕福な環境に慣れすぎてしまうと、正しい選択すら出来なくなってしまうんだね。それに五輪側も五輪側だ。今求むべき内容ではないでしょう」(原文ママ、以下同)
「3000億円も投入したらワクチン開発早めることできるかも?」
「そのまま本当に否定してて。支払ったら(持ったら)絶対ダメな奴。国民も叩くが、世界中からも叩かれると思うよ(笑)」
「なぜに開催できるかもわからない五輪にすぐお金出すのか。IOC側も今の世界の情勢的に中止を進めようとは思わなかったのだろうか。しかも最近は安倍が物事を勝手に決めているようにも見える」
「関係閣僚など、この場合は五輪相がすぐ否定することで、ある程度のガス抜き。その後、ぐだぐだしつつも結局は、IOCの発表通りに。いつもそう。このパターン、見飽きました」
追加費用3000億円はどのような使途で使われるのか
実際のところ、どうなのか。外務省関係者は次のように語る。
「情報源がIOCのホームページのQ&Aということもあり、IOC担当者の事実誤認の可能性も否定できません。ただ一般論として、IOCのロビー活動や外交戦術は昔から非常に巧妙かつ狡猾なことで知られています。IOC会長と安倍首相らのトップ会談でどのような協議が行われたのかは我々も把握していませんが、どういう会談の内容であろうと外堀から埋めてなし崩しに日本政府の負担にしたいのでしょう。
今回報道にあった3000億円という金額は、IOCが東京五輪の国内スポンサーから集めた広告収入30億ドル(約3300億円)とほぼ同額です。これは過去の夏季大会の最高額のスポンサー収入の約2~3倍にあたります。延期費用として、それとほぼ同額をわが国に求めるというのはにわかには信じられません。いったい何にそれほどまでの経費がかかるのでしょう。
1年延期に伴いスポンサー契約の再更新などがうまくいく見通しなら、ここまでの追加の政府負担を求められることはないとは思うのですが、世界的な景況感の悪化もあり、既存スポンサーが更新に対して難色を示しているのかもしれません。いずれにせよ交渉にあたるのは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と電通さんです。サポートをしていきますが、専門分野ということもあり、我々が口を出しにくいのが実情です」
延期にかかる費用負担の是非や、その費用という3000億円という額面がそもそも適正なのか検証すべきだろう。少なくとも過去の夏季五輪ではそれ以下のスポンサー収入でも実施できていた。仮に税金を投入するのであれば、その使途や経費の内訳を明らかにする必要があるはずだ。