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JAL、未曾有の危機下にエアバス最新機購入…財務悪化懸念、経営陣の認識に疑問広まる

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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A350-900初号機(「Wikipedia」より/Don-vip)

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界の主要航空会社が崖っぷちに追い込まれている。わが国の航空会社も例外ではない。そのなかで日本航空(JAL)の業績および財務内容の不安定感が明確に高まっている。同社の2020年3月期の連結決算内容によると、2月まで同社の収益は前年比横ばい圏で推移してきたものの、3月に入り国内・国際線ともに旅客が大幅に落ち込んだ。

 世界の航空業界は、いうまでもなく、これまでに経験したことがないほどの厳しい状況に直面している。感染を食い止めるために世界各国が国境や都市を封鎖し、人の移動が遮断されている。入国の禁止や制限を受けて航空便の減便が相次ぎ、オーストラリアでは第2位の航空企業が経営破綻に陥った。まさに、需要が消滅してしまったというべき状況だ。

 今後、JALをはじめ国内航空業界はより強い逆風に直面する可能性が高い。“オマハの賢人”の呼び名で知られる著名投資家のウォーレン・バフェット氏は、米大手エアライン株をすべて売却したと明らかにした。百戦錬磨のプロをもってしても、感染がどう収束するか、その後の航空業界をはじめ世界経済がどうなるかはかなり読みづらい。海外の航空業界では、抜本的な改革を重視する企業も出始めた。JALには、これまでの教訓を生かしキャッシュの確保と中長期的な成長機会の確保への注力が求められる。

これまで規模の拡大を追求してきたJAL

 歴史的にJALはリスク管理や事業の効率性を重視するよりも、規模の拡大を追求して経営を進めてきた側面が強い。その背景の一つとして、同社が国策会社として発足したことは重要だろう。政府には民間企業と異なり採算性や効率性を重視する発想がない。それが、同社の経営風土に強く深い影響を与えた可能性は冷静に考えるべきだろう。

 この点を確認するために、近年の同社のヒストリーを振り返っておきたい。リーマンショックが発生するまで、JALはひたむきに規模の拡大を追求した。2008年9月15日、リーマンショックの発生により、その経営は行き詰まった。リーマンショックは、金融市場の混乱を発端に、世界経済をマイナス成長に陥れた。その結果、世界の航空業界はファーストクラスやビジネスクラスの需要低下に直面した。その中、JALは収益が減少すると同時に過去の投資負担などから財務内容が悪化した。

 2010年1月、JALは2.3兆円の負債を抱えて経営破綻した。同社は3500億円の公的資金の注入を受けつつ、京セラ創業者の稲盛和夫氏を経営トップに迎えることで再建を進めた。稲盛氏の下、JALは資産売却や不採算路線からの撤退を進めると同時に、個々の路線の収支管理などを徹底した。見方を変えれば、経営破綻に陥り、外部の知見が持ち込まれるまでJALにはコスト管理を徹底して効率的な事業運営を目指しつつ、顧客満足を向上する風土が醸成されていなかったとみられる。

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