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カンロ「グミッツェル」、なぜコンビニやスーパーで売らずに大ヒット?累計600万枚販売

文=シズリーナ/アイスジャーナリスト
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カンロ「グミッツェル」

 スーパーマーケットやコンビニエンスストアで必要最低限の買い物をする際も、ついつい商品棚をチェックしてしまうシズリーナです。

 コンビニでは毎週、100アイテムもの新商品が出揃うが、棚に残る商品は片手で数えられる程度。世の中のトレンドに乗れず売れ残ってしまうと、容赦なく棚から除外されていく。新しい商品を開発しても定番化しづらいなかで、独自の販路(直営店)だけで定番商品をつくり上げた「カンロ飴」や「ピュレグミ」でおなじみのキャンディメーカー、カンロ。特に、2012年に発売され、8年間で累計600万枚以上売れる人気商品へと成長した「グミッツェル」に注目したい。新商品を定番化させる秘訣について、オンライン上で取材させてもらった。

 グミッツェル誕生のきっかけは、07年に社内で立ち上げた「グミプロジェクト」にあった。このプロジェクトは、カンロの人気商品である「ピュレグミ」に続く、今までにない新しいグミを開発することを目指して発足された。グミッツェルは、このプロジェクトのなかで生み出された技術を使い、企画から開発まで5年以上もの歳月をかけて“外側はパリッ、内側はしっとり”の新食感グミとして誕生した。12年にカンロが100周年を迎える記念事業として、6月に直営店「ヒトツブカンロ」がオープンしたと同時にグミッツェルを店頭に並べることができた。

 グミッツェルの特徴は、独特の食感と、ドイツ発祥の焼き菓子プレッツェルの形をしていること。

 グミらしいポップでカラフルな色合いはそのままに、グミの表面が白っぽくなっており、まるですりガラス越しにグミを見ているかのようなハイカラな印象を受けた。

独特な食感と見た目の菓子は、どのように誕生したのか

 カンロ株式会社コーポレートコミュニケーション本部ヒトツブ事業部長の金澤理恵氏は、開発の様子をこう話す。

「グミだけど、食感のコントラストが楽しめたらいいのではないか、といったことがプロジェクト内で提案されました。ここから話が一気に進み『外がパリッ、中がしっとりしたものができたら面白い』となり、方向性が定まりました」

 これにより、グミッツェルの研究が本格的にスタートすることになった。

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 独特な食感にこだわった商品として開発されたグミッツェルの表面には“パリパリ”とした加工が施されている。だが、とても繊細な商品であるがゆえに、一般の流通に乗せづらい商品になってしまった。

 この問題を解決したのが、直営店「ヒトツブカンロ」だった。別に進んでいたヒトツブカンロのオープンに関する企画と、グミッツェルの開発のタイミングが合致し、ヒトツブカンロの商品として扱うことが決定。これにより、販路に関する問題は解決した。

 また、ヒトツブカンロでは、1個ずつトレーに入れた上に包装して商品を並べている。過剰とも思える包装は直営店だからできるこだわりであり、スーパーやコンビニなどで売る場合では、ここまでの手間とコストはかけられないだろう。

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 グミの食感は、外側と内側で差が大きければ大きいほどコントラストが生まれ楽しめる。そのため、開発の際には表面の固さにこだわった。ただ、表面の固さのバランスを安定化させることが難しかったという。研究所では、数々の試作品をつくっても、ずっと同じ固さを維持できないことも多かったため、仮に研究レベルでうまくいっても生産ラインで同じクオリティを再現できないということも珍しくなかった。

 グミッツェルの口に入れた時の“パリパリ!”“ザクザク!”とした独特な食感について、筆者としても気になるため質問したが、独自製法によるものであり企業秘密につき、残念ながら公開はできないとのこと。

 また、食感と並び特徴的な形状について聞くと、開発段階での候補として、平べったいものからスティックタイプのものまであったという。形状をプレッツェルにした理由を、金澤氏は次のように話す。

「当時の企画担当者が、どういう形状にすれば“パリパリ”という食感を面白く感じてもらえるか、この食感は何に近いのだろうか、ということから決めました。ひらめきの部分はあるのですが、食感が似ていることと形がかわいらしく面白いところから、プレッツェルに決まりました」

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今ではヒトツブカンロで一番の売れ筋商品に

 こうしてグミッツェルは、12年6月にヒトツブカンロが東京駅構内の「GRANSTA(グランスタ)」内にオープンすると同時に発売され、15年4月には大阪市のファッションビル「LUCUA1100(ルクア イーレ)」に2号店をオープン。そして、20年2月20日には期間限定で東京新宿に少し変わった体験ができる店舗ポップアップストアとして新宿ミロード店をオープン。こちらではグミッツェルを食べ、自分のそしゃく音をスマホに録音することができるASMR体験コーナーも設けられている。

 グミッツェルは、直営店2店舗、ポップアップショップを合わせて、これまでに累計600万枚売れた。発売直後から売れ、今ではヒトツブカンロで一番の売れ筋商品になった。金澤氏は「ここまで売れるとは思ってもいなかった」と驚きを隠さない。

※現在、東京グランスタ店、大阪ルクアイーレ店、ポップアップストアの新宿ミロード店は臨時休業中)

 金澤氏はこう振り返る。

「私は、入社後の配属先がキャンディやグミの商品企画部だったんです。その後、新規菓子を企画する部署へ異動し、梅や海苔をお菓子として楽しむ『素材菓子』の商品開発を行いました。素材菓子の商品開発は、自社の工場だけではなく協力工場と連携を取りながら開発している商品もあり、そういったすべてが『ヒトツブカンロ』の取り組みに生きています。

 ヒトツブカンロのコンセプトが『ヒトからヒトへつながるヒトツブ』ですので、ヒトとヒトをつなげるモノづくりを、絶えずしていきたいと思っています。また、ヒトツブカンロを通じて、『おいしいトキメキ』を時代に合わせながら発信し、多くの方から愛される店舗づくりをしていきたいと思っています」

 今後は、直営店だけではなく、ユーザーとのオンライン上での接点を強化し、購買へとつなげる努力を行っていくとしている。グミッツェルが、さらに注目を浴びて、スーパーやコンビニでも並ぶ日もそう遠くはないだろう。
(文=シズリーナ/アイスジャーナリスト)

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[URL https://www.kanro.jp/hitotubu_kanro/shop/

■取材協力:カンロ株式会社

[プロフィール]
カンロ株式会社コーポレートコミュニケーション本部
ヒトツブ事業部長 金澤理恵
カンロ入社、キャンディやグミの新商品開発を行う商品企画部に配属。その後、新規菓子企画部に異動し梅や海苔をお菓子として楽しむ「素材菓子」の商品開発をする中、当社初の直営店「ヒトツブカンロ」の商品企画担当となる。マーケティング部にて店舗運営業務に携わり、現在はヒトツブ事業部で店舗運営全般から今後の在り方について試行錯誤する日々。

プロフィール/シズリーナ
年間4000種類以上のアイスクリームを食べ歩くアイスジャーナリスト。東京藝術大学出身。アイス料理研究家・企業コラボニストとして「雪見カレーヌードル」「エッセル冷やし中華」など、アイスを意外なものと掛け合わせるアレンジレシピを考案し話題に。インスタグラムは@sizzle_feeling426、ツイッターは@sizzleeena

シズリーナ/アイスジャーナリスト

シズリーナ/アイスジャーナリスト

 日本唯一のグルメアイス研究家として活動。初めてアイスクリームを食べたのは“1歳1ヶ月”毎日最低6個。人生で42,000個以上ものアイスを食べた記録を保持するアイスマニアであり、日本一アイスを愛するスーパーアイスマン。

Twitter:@sizzleeena

Instagram:@sizzle_feeling426

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