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株式時価総額国内2位、利益率50%のキーエンスとは何者?無敵の“現金リッチ”経営

文=編集部
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キーエンス HP」より

 株式時価総額(株価×発行済み株式数)は企業の価値を評価する指標である。東京株式市場での5月15日(5月第3週)終値での時価総額ランキングは次の通りだ。

・1位:トヨタ自動車 20兆3904億円

・2位:NTTドコモ 9兆8570億円

・3位:ソフトバンクグループ(G) 9兆5588億円

・4位:キーエンス 9兆4534億円

 トヨタは別格としても、ドコモ、ソフトバンクG、キーエンスが2位争いを繰り広げている。キーエンスは一般にはなじみがないが、省力化の先兵となるファクトリーオートメーション(FA)機器向けのセンサーや研究開発に使う計測器などのメーカーだ。

 キーエンスの抜群の財務力がプロの投資家から高く評価されている。2020年3月期の連結決算は売上高が前期比6%減の5518億円、営業利益は13%減の2776億円、純利益が12%減の1981億円だった。決算期変更の影響を考慮すると実質的に最終減益となるのは10年ぶりのことだ。

 米中貿易戦争の影響で、世界の主要地域で企業の設備投資の意欲が減退した。20年1月以降は中国を中心に新型コロナウイルス感染拡大による工場稼働率の低下が響いた。高収益会社として知られるキーエンスでさえ、外部環境の激変の影響を受けた。

 21年3月期の通期予想は公表していない。4月27日時点での市場予想平均(QUICKコンセンサス)は、売上高が7%増の5902億円、営業利益が11%増の3070億円と増収増益を見込んでいる。配当は年200円とする方針だ。19年11月に1株を2株に株式分割しており、実質的に100円の増配となる。

 今後は新型コロナの感染防止のために生産現場で密閉・密集・密接の「3密」を避ける動きが広がる。人手を介さない自動化につながるセンサーの需要増が見込めると、アナリストは分析している。新型コロナウイルスの影響が広がる20年3月期でも、キーエンスの売上高営業利益率は50.3%と高収益体質を維持した。3月末の現金・預金と短期有価証券の合計は9441億円にのぼる。自己資本比率は実に95.8%に達する。

 コロナ禍のような非常事態で、最後に頼りになるのはキャッシュ(現金)である。「キャッシュが王様」という古くて新しい教えが繰り返されるようになった。キーエンスは無借金。手元資金(現金・預金・短期有価証券)は年間売上高の1.7倍だ。コロナに抗する耐久力で抜きんでている。

 創業者である滝崎武光取締役名誉会長がキーエンスを耐久力のある高収益企業に育て上げた。倒産を2度経験した滝崎氏は、リスクを抑えるため生産設備を持たず、代理店を介さない直取引という事業モデルを貫徹した。

 米経済誌「フォーブス」の2020年版の日本人の長者番付によると、ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が保有資産額2兆3870億円で2年連続の1位。2位はソフトバンクGの孫正義会長兼社長の2兆1940億円。3位がキーエンスの滝崎名誉会長の2兆1190億円だった。

 5月20日の東京株式市場。キーエンスの株価が一時、前日比1220円(3.0%)高の4万870円まで上昇、上場来高値を更新した。21日も高かった。同日、内閣府が発表した3月の機械受注統計を受けて、「設備投資の落ち込みは想定ほど厳しくない」との見方が広がったためだ。FAセンサーの大手、キーエンスが真っ先に買われた。時価総額は9兆9034億円。東証1部の時価総額ランキングでNTTドコモを抜き、トヨタ自動車に次ぐ第2位に浮上した。5月26日には一時、4万1940円(1090円高)まで買われ、21日につけた史上最高値をさらに更新した。

SMC

 SMCもキャッシュリッチ企業である。工場の自動化設備の空気圧制御機器で世界首位(国内シェア6割、世界シェア3割)のメーカーである。ドイツのフエスト社と世界2強を形成する。

 SMCの21年3月期の連結決算は、売上高が前期比14%減の4500億円、営業利益は37%減の920億円、純利益は35%減の720億円となる見通し。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で自動車メーカーの工場稼働率が低下しており、生産ラインで使う産業ロボット向け空気圧制御機器の需要が落ち込んでいる。 工作機械向けも前年に続き振るわない。売上高営業利益率は20.4%と20年3月期に比べて7.4ポイント低下する。

 それでも「強固な財務体質を生かし、苦境の時こそ次に備える」(太田昌宏取締役)と強気だ。今期の設備投資は400億円を予定。前年より4%増額する。年間配当は「未定」(前期は400円)だが、「どれだけ業績が悪くとも安定配当は続けたい」としている。20年3月期連結決算の売上高は前期比9%減の5260億円、営業利益は19%減の1462億円、純利益は15%減の1105億円だった。

 抜群の財務力が強気の裏付けとなっている。20年3月期の売上高営業利益率は27.8%、自己資本比率は89.9%だった。手元資金(現金・預金・短期有価証券)は5607億円。長短借入金は115億円。手元資金から有利子負債を引いた「ネットキャッシュ」は5492億円。年間売上高を上回る。SMCも、まごうことなきキャッシュリッチ企業なのである。SMCの株価は5月26日、5万5850円(1860円高)と急騰した。2017年1月につけた高値5万5830円を抜き、株価は天井圏に突入した。

コロナ耐久力の決め手はキャッシュ(現金)

 需要の急減や店舗の営業自粛といった非常事態に陥っても、企業は人件費や借入金の利息などの支払いを続けなければならない。資金繰りを確保するため、守りの財務に徹すること、これがリーマン・ショックの生きた教訓である。リーマン・ショック時には「黒字倒産」が続出した。

 リーマン後、日本の大企業はキャッシュを積み増してきた。どの程度の手元資金を持てば十分なのかは業種によって異なるが、現金・預金と短期の有価証券を合わせた金額が有利子負債を上回れば、実質無借金といえる。資金繰りの不安は小さくなる。

 コロナ禍に直面した企業の耐久力を判断する指標が手元資金の潤沢さなのだが、製品開発や設備投資を、まったくせずに豊富なキャッシュを持ち続けた場合、それは死に金(しにがね)となる。物言う株主の恰好のターゲットになる。株主還元を錦の御旗に、多額の増配や巨額の自社株買いを要求されるリスクも高まる。緊急事態に備えてため込んでいたキャッシュを吸い上げられてしまうことはままある。コロナ禍で増えるかもしれない。

(文=編集部)

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