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ソフトバンクG、大規模施工不良で債務超過の「レオパレス」支援に乗り出した理由

文=編集部
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レオパレス21本社(「Wikipedia」より/Rotatebot)

 経営再建中のアパート建設大手レオパレス21は9月30日、ソフトバンクグループ(SBG)傘下の米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループから総額572億円の出資と融資を受けると発表した。債務超過を解消し、経営の立て直しを急ぐ。

 レオパレスは11月2日までに、フォートレスを引受先に、普通株式で122億円の第三者割当増資を実施するとともに、同ファンドから新株予約権付きの300億円の融資を受ける。連結子会社のレオパレス・パワーがフォートレスを引受先に優先株で150億円の第三者割当増資を行う。実施後はフォートレス系企業がレオパレス株の25.71%を持つ筆頭株主になる。現在の経営陣は交代せずに引き続き経営にあたる。

 レオパレスは6月末時点で118億円の債務超過に陥っていたが、資金調達によりこれを解消し、銀行からの借入金も返済する。調達する資金572億円のうち340億円を施工不良物件の改修費用に充てる。

フォートレスはSBGが買収し、完全子会社化

 フォートレスは不動産ファンドを運営し、日本を含めて世界14カ国に拠点を置く。SBGが2017年、33億ドル(約3700億円)でフォートレスの全株式を取得し完全子会社化した。18年には三菱マテリアルの不動産子会社を買収。「ビレッジハウス」の名前で全国に賃貸住宅を持っている。公営の雇用促進住宅を買い取って改装した再生物件には、日本に働きにきている外国人や高齢者らが入居している。レオパレスとは賃貸住宅の分野での協業も視野に入れている。

 フォートレスは不動産・ホテルを手がけるユニゾホールディングス(HD)のTOB(株式公開買い付け)合戦で名前が知られるようになった。ユニゾをめぐっては、当初、旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)が敵対的TOBを仕掛けた。ユニゾはホワイトナイト(白馬の騎士)にフォートレスを呼び込み、フォートレスは19年8月、完全子会社を目指して友好的TOBを実施、HISを撃退した。

 その後、一転してユニゾはフォートレスを排除。EBO(従業員による買収)の方針を打ち出した。今年3月、フォートレスのTOBは不成立に終わり、ユニゾは国内初のEBOが成立して6月、上場廃止となった。次に、レオパレスがフォートレスを招き入れたことになる。

賃貸アパートの入居率が損益分岐点を下回る

 レオパレス21の2020年4~6月期連結決算は、売上高が前年同期比8%減の1039億円、営業損益は68億円の赤字(前年同期は42億円の赤字)、最終損益は141億円の赤字(同57億円の赤字)。その結果、118億円の債務超過となった。債務超過を解消しなければ、上場廃止になる。決算発表と同時に、SBG傘下のファンドの支援を受けることを公表した。債務超過を解消し財務は改善するものの、再生が順調に進むかどうかは見通せない。本業の賃貸アパートの入居率が低迷しているからだ。

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