ソフトバンクG、上場廃止を検討か…デリバティブで巨額利益、謎の資産運用部門の画像1
ソフトバンクショップ(「Wikipedia」より/Kirakirameister)

ソフトバンクグループ(SBG)は投資会社であり、事業会社ではありません」

 孫正義会長兼社長は2月12日に開催した決算説明会で、こう断言した。「では、これからは孫さんのことを投資家と呼んでいいですか」と記者が問い掛けると、孫社長は「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェット氏に言及し、「私はウォーレンのような『賢い投資家』ではありませんが、『冒険投資家』です」と答えた。

 SBGが米国株式市場で想定元本ベースで数兆円のデリバティブ取引を行っていたと報じられ、これが米ハイテク株の乱高下の一因とされた。9月6日付英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は「SBGはデリバティブ取引で約40億ドル(約4200億円)の含み益が出ている」と報じた。さらに、SBGの株主が「米国株のオプション取引の責任者は誰なのか、情報を開示するよう要求した」と伝えた。米国株に投資している資産運用部門がいつ設立されたのか、投資委員会のメンバーは誰なのか。孫社長が密接に関与していること以外、まったくわからないからである。

「SBGは未公開株への投資の巨人から、上場株投資のファンドマネージャーに“変身”したのか」(NY在住のアナリスト)といった懐疑的な声が上がる。欧米の報道によると、SBGはコール(買う権利)と呼ばれるオプションで、あらかじめ決めた値段で個別銘柄を購入する権利を40億ドル(4200億円)分購入し、現物株換算で300億ドルに上る可能性があるという。

 SBGは資本金600億円で設立した資産運用会社に関して、「投資手法は直接投資、あるいはデリバティブ」と説明した。「資産運用会社になったのなら、新興企業投資に不可欠な新技術を発掘する目利きはいらなくなる」(市場筋)という声も聞こえてくる。

 株取引に傾斜する孫社長の方針に、SBG社内に戸惑いに似た声が漏れているのは事実だ。傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)などを通して、スタートアップ企業を育てる面白さに目覚めた社員と、上場株投資に走る孫社長の落差は大きい。主要株主になって経営に携わるスタートアップ事業への投資と、ポートフフォリオが勝負を決めるニューヨークでのハイテク上場株への投資は本質的に異なる。求められる目利き人の能力は、まったく別物だ。

MBO計画

 FTは9月13日、「SBGが株式非公開化を検討している」「株式非公開化はSBGの保有資産の価値と実際の株価の隔たりに(孫氏が)不満があるためだ」と報じた。運用額10兆円規模のSVFを設立以降、投資会社としての性格を強めていることが背景にある。投資会社なら上場している必要性は薄れる。

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