日立物流、完全漂流…佐川急便との経営統合が突然の破談、日立グループからも切り離しの画像1
日立物流 HP」より

 佐川急便を傘下にもつSGホールディングス(HD)と日立物流は9月24日、経営統合を見送ると発表した。SGHDは日立物流が保有する佐川急便の発行済み株式の20%分すべてを875億円で買い取る。日立物流はSGHDが持つ自社株を988億円を上限として市場で取得する。SGHDの持ち分は現在の29%から6%前後に低下する。日立物流はSGHDの持ち分法適用会社から外れる。トラックの共同利用といった業務提携は続ける。

 佐川急便は宅配便大手。日立物流は3PL(物流の一括請負)首位。2016年3月、資本・業務提携を決め、将来の経営統合を視野に入れていた。新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に物流が停滞するなど経営環境が一変したことを統合見送りの理由に挙げている。

 これで日本通運に次ぐ陸運業界第2位企業の誕生はなくなった。

日立物流の株価は下落、SGHDは上昇と明暗を分ける

 経営統合の見送りは明暗を分けた。発表翌日の9月25日の東京株式市場。日立物流株は一時、前日比220円(6.2%)安の3350円まで下落した。「日立物流がSGHDにTOB(株式公開買い付け)される」という期待感が失われ、失望売りが出た。

 一方、SGHD株は一時、前日比700円(14.7%)高の5470円まで上げた。その後も上昇を続け、10月20日に上場来最高値の5830円をつけた。3月13日に年初来安値(1977円)をつけており、7カ月あまりで2.9倍の水準に達した。株価上昇にはいくつかの要因が重なった。

 まず業績。巣ごもり消費によって宅配事業が好調なだけではない。日立物流株の売却で売却益を計上する。SGHDは2021年3月期の連結純利益を前期比32%増の625億円に上方修正した。日立物流株の売却益は75億円。日立物流から取得することになる1億株の自社株の評価益が25億円出るため、合計100億円の利益が上乗せされる。

 9月末の中間配当で10円の特別配当を実施。普通配当合わせて34円とした。期末配当は28円。年間配当は62円になる。通期の売上高にあたる営業収益は4%増の1兆2200億円、営業利益は15%増の870億円。従来予想を据え置いた。10月31日を基準日として1株を2株に分割するとした(実施は11月1日付)。これを好感してSGHDの株価は上昇した。

経営統合に備えて東証に新規上場

 2013年、SGHDに大きな転機があった。宅配便業界最大手、ヤマトホールディングス(ヤマト運輸)に追いつき追い越せとばかりに、インターネット通販大手のアマゾン・ジャパンの配送を引き受け、宅配便個数を増やしてきた。ところが、取扱荷物の急増でドライバーの不足が深刻化し経営を圧迫した。13年、アマゾンとの値上げ交渉が決裂、アマゾンの宅配から撤退した。

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