外食大手、営業時短要請に“応じない”動き広まる…「雇用守れない」「外食産業崩壊」の画像1
「Getty images」より

「また、ランチがどうのこうのと言われましてね、ふざけんなよと」――。低価格のイタリアンレストラン大手のサイゼリヤ(東証1部上場)の堀埜一成社長は1月13日の決算会見で怒りを露わにした。

 西村康稔経済再生相は前日(1月12日)、緊急事態宣言下では「昼間も含めて外出自粛をお願いしている」と説明、「ランチはリスクが低いわけではない」と指摘し、改めて昼間の外出自粛を呼びかけた。午後8時までの時短営業の要請に続き、ランチタイムの会食を自粛するよう求めたことに、堀埜社長の不満が爆発した。

 東京都内の大手外食チェーン店が時短協力金の対象外であることに関して、「(大手が)外食業界に与える影響は大きい。恐ろしいのは大手がつぶれること。多くの人が働く場所を奪ってはいけない」と述べた。

 サイゼリヤが1月13日に発表した2020年9~11月期の連結決算の純利益が前年同期比81%減の2億5000万円となった。それでも、かろうじて3四半期ぶりに黒字を確保するという窮状が続いている。

居酒屋大手、時短要請を無視する店も

「夜が厳しいならランチに手を出せばいい、というほど甘くない。今回の緊急事態宣言中、月5~6億円の赤字は覚悟している。(時短営業の要請を)順守させていただくが、このままでは日本の外食産業が崩壊すると危惧している」

 居酒屋大手ワタミ(東証1部上場)の渡邉美樹会長は1月8日の会見で危機感を滲ませた。この日、首都圏の1都3県に緊急事態宣言が発令された。2020年4月とは異なり、飲食を通じての感染リスクの低減に軸足が置かれ、飲食店は2月7日まで営業時間を短縮するよう要請された。その後、大阪、愛知、福岡など計11都府県に対象地域が拡大した。酒類の提供は19時までという制限があるため、夜が稼ぎ時の居酒屋などは再度、苦渋の決断を迫られることとなった。

 ワタミは1都3県にある直営店100店のうち83店の休業に踏み切った。「ミライザカ」や「鳥メロ」など居酒屋が対象で、焼肉店などの業態は午後8時までの営業とする。営業を続けると、かえって赤字が大きくなると判断した店を軒並み閉めたわけだ。

 居酒屋は「12月が1年で最大の稼ぎ時」(関係者)だが、コロナの第3波の到来で忘年会が激減。ワタミの12月の売上高は前年同月比59.1%減と大きく落ち込んだ。休業などに伴い正社員約200人を食品スーパーに一時出向させたり、弁当などの宅配事業に配置転換したりして雇用を維持する。

 今回の緊急事態宣言では、政府の時短要請に応じた飲食店への協力金を1日最大6万円支給することになった。渡邉会長は「店舗の立地や規模によって必要な支援金の額は異なる。一律はあまりにも乱暴だ。もっと丁寧な補償ができないのか、問題提起したい」と踏み込んだ発言をした。

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