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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」~CAが危ない!ANAの正体(1)

ANA、CAのメンタルを崩壊させる「相互監視システム」と「見せしめ的評価制度」

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
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全日本空輸のボーイング777-300ER(「Wikipedia」より)

「全日空(ANA)は北朝鮮のようにCA(客室乗務員)がまったく自由にモノを言えない組織なんです」――。

 こう声を潜めて話すのはANAの20代現役CAだ。このCAが提供してくれた資料をさっそく見てみよう。以下は、1月14日付で業務推進部長名義で全CA向けに配布された「注意喚起(SNSへの不適切な投稿の継続)」だ。

「客室センター員によるSNSへの不適切な投稿がいまだ多数発生し、お客様よりご指摘を頂戴しています。会社の危機的な経営状況下において、客室センター員全員で、業務中、プライペートのいかなる場面においても仕員として自覚ある行動を行うよう一丸となり力を重ねているなかで、このような不祥事は社会的な信用を失い、事業存統に致命傷となりかねない事態であり、痛恨の極みです。

発生事象(具体的投稿は別添参照のこと)

SNSに会社や仕事の不平不満を投稿し、会社の信用を毀損した。会社、業務、ステイ先等の情報を掲載するとともに、著しく品位に欠けた内容や表現(言葉遣い)の投稿を行い、社員の名誉を傷つけた。

これらの投稿は厳しい状況でもご搭乗いただいているお客様の信頼を著しく損ない。お気持ちを不快にさせる内容であり、感染防止策の徹底とお客様のために高品質なサービスを愚直に提供し続けている仲間に対する背任行為です。

1 社員の立場で業務上知り得た内容、感じたことを投稿する(つぶやく)

2 お客様を愚弄する、お客様に不快感を与える内容 (CAであることを自己顕示することも合む)を投稿する(つぶやく)

3 業務や職場に関する不平・不満を投稿する(つぶやく)

SNSを利用した以下のような投稿は、業務に関する情報を無許可で社外に流出させる行為、かつ会社の名誉を害し信用を傷つける、服務規律に違反する行為であり、懲戒処分に該当する行為であるため、こうした服務規定に違反した行為が確認された場合は人事上の懲戒処分を行います。

就業規则 第2節「懲戒」

1.譴責 始末書をとり将来を戒める。

2.減給 始末書をとり減始する。ただし、減給は1回の額が平均質金の1日分の半額を超えないものとし、総額が一賃金支払期における賃金総額の十分の一を超えないものとする。

3.出動停止 始末書をとり、6ヶ月以内の期間出動を停止し、その期間中の賃金を支払わない。

4.降格 始末書をとり降格とする。

5.諭旨退職 退職願を提出するように勧告し、これがなされないときは懲戒解雇とする。

6.懲戒解雇 即時解雇する。」

 SNSに投稿すれば即懲戒処分を匂わすような威圧的な文言が並ぶが、その対象となった投稿はどのようなものだったのだろうか。以下が処分事例だという。

「あーー!!!仕事やめたいよう!!」

「勤務超え過ぎてるからインターバル付与しますってなに!超えてるなら変えろよ!」

(筆者注:労使協定で超えてはいけない勤務時間が決められているが、それを超えてしまうのでインターバルを付与することになったという。結局、長時間勤務を変えようとしない会社への怒りを投稿)

「まさか私がA380の訓練アサインされるとは思ってませんでした。勘弁して!5月からこいつに乗るの恐怖」「(乗客)70人を4人でさばくのムリじゃない??」

(筆者注:A380機は超大型機で、ハワイ線に就航。フライト中ほとんど休憩が取れず、評判が悪い)

 1つ目の投稿は、言葉遣いの問題は確かにあるだろう。ただ、普通は上司が注意して削除などさせれば済む話であり、さすがに懲戒処分はいき過ぎではないか。実際、ANAの競合他社であるJALの複数の現役CAに取材したところ、「この程度の書き込みで懲戒処分された例は聞いたことがない」という。

 あとの2つについては、確かに業務上の情報といえなくもないだろうが、そもそも劣悪な労働環境への不満や不平であり、それに対する「本音」を書き込んだだけで、懲戒処分というのは過剰だろう。むしろ、企業として顧客の安全対策の不十分さが外に漏れることを恐れているだけに見える。

 何より、この4つの書き込みはCA同期どうしのFacebook上のもので、しかも24時間で投稿が消える設定にしたにもかかわらず、なぜか会社側が把握していたという。注意喚起では「お客様からの指摘」で気づいたような書き方をしているが、その信憑性ははなはだ疑わしい。冒頭のCAは「CA仲間からの密告でもない限り、⾝内でのやりとりに会社が気づくなんてあり得ない」と恐怖を隠さない。

入社時の「確認書」でSNS活動自体を禁止

 ANAではCAとして入社する際に、SNSの使い方についての「確認書」に署名させられるという。以下がその中身だ。

「私はフェイスブックやインスタグラムをはじめとする SNSの利用について、ANA社員として ANAグループソーシャルメディアガイドラインを含む情報セキュリティ管理規程に則り、下記の事項を遵守することを警約します。

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