ANA、CAのメンタルを崩壊させる「相互監視システム」と「見せしめ的評価制度」
「全日空(ANA)は北朝鮮のようにCA(客室乗務員)がまったく自由にモノを言えない組織なんです」――。
こう声を潜めて話すのはANAの20代現役CAだ。このCAが提供してくれた資料をさっそく見てみよう。以下は、1月14日付で業務推進部長名義で全CA向けに配布された「注意喚起(SNSへの不適切な投稿の継続)」だ。
「客室センター員によるSNSへの不適切な投稿がいまだ多数発生し、お客様よりご指摘を頂戴しています。会社の危機的な経営状況下において、客室センター員全員で、業務中、プライペートのいかなる場面においても仕員として自覚ある行動を行うよう一丸となり力を重ねているなかで、このような不祥事は社会的な信用を失い、事業存統に致命傷となりかねない事態であり、痛恨の極みです。
発生事象(具体的投稿は別添参照のこと)
SNSに会社や仕事の不平不満を投稿し、会社の信用を毀損した。会社、業務、ステイ先等の情報を掲載するとともに、著しく品位に欠けた内容や表現(言葉遣い)の投稿を行い、社員の名誉を傷つけた。
これらの投稿は厳しい状況でもご搭乗いただいているお客様の信頼を著しく損ない。お気持ちを不快にさせる内容であり、感染防止策の徹底とお客様のために高品質なサービスを愚直に提供し続けている仲間に対する背任行為です。
1 社員の立場で業務上知り得た内容、感じたことを投稿する(つぶやく)
2 お客様を愚弄する、お客様に不快感を与える内容 (CAであることを自己顕示することも合む)を投稿する(つぶやく)
3 業務や職場に関する不平・不満を投稿する(つぶやく)
SNSを利用した以下のような投稿は、業務に関する情報を無許可で社外に流出させる行為、かつ会社の名誉を害し信用を傷つける、服務規律に違反する行為であり、懲戒処分に該当する行為であるため、こうした服務規定に違反した行為が確認された場合は人事上の懲戒処分を行います。
就業規则 第2節「懲戒」
1.譴責 始末書をとり将来を戒める。
2.減給 始末書をとり減始する。ただし、減給は1回の額が平均質金の1日分の半額を超えないものとし、総額が一賃金支払期における賃金総額の十分の一を超えないものとする。
3.出動停止 始末書をとり、6ヶ月以内の期間出動を停止し、その期間中の賃金を支払わない。
4.降格 始末書をとり降格とする。
5.諭旨退職 退職願を提出するように勧告し、これがなされないときは懲戒解雇とする。
6.懲戒解雇 即時解雇する。」
SNSに投稿すれば即懲戒処分を匂わすような威圧的な文言が並ぶが、その対象となった投稿はどのようなものだったのだろうか。以下が処分事例だという。
「あーー!!!仕事やめたいよう!!」
「勤務超え過ぎてるからインターバル付与しますってなに!超えてるなら変えろよ!」
(筆者注:労使協定で超えてはいけない勤務時間が決められているが、それを超えてしまうのでインターバルを付与することになったという。結局、長時間勤務を変えようとしない会社への怒りを投稿)
「まさか私がA380の訓練アサインされるとは思ってませんでした。勘弁して!5月からこいつに乗るの恐怖」「(乗客)70人を4人でさばくのムリじゃない??」
(筆者注:A380機は超大型機で、ハワイ線に就航。フライト中ほとんど休憩が取れず、評判が悪い)
1つ目の投稿は、言葉遣いの問題は確かにあるだろう。ただ、普通は上司が注意して削除などさせれば済む話であり、さすがに懲戒処分はいき過ぎではないか。実際、ANAの競合他社であるJALの複数の現役CAに取材したところ、「この程度の書き込みで懲戒処分された例は聞いたことがない」という。
あとの2つについては、確かに業務上の情報といえなくもないだろうが、そもそも劣悪な労働環境への不満や不平であり、それに対する「本音」を書き込んだだけで、懲戒処分というのは過剰だろう。むしろ、企業として顧客の安全対策の不十分さが外に漏れることを恐れているだけに見える。
何より、この4つの書き込みはCA同期どうしのFacebook上のもので、しかも24時間で投稿が消える設定にしたにもかかわらず、なぜか会社側が把握していたという。注意喚起では「お客様からの指摘」で気づいたような書き方をしているが、その信憑性ははなはだ疑わしい。冒頭のCAは「CA仲間からの密告でもない限り、⾝内でのやりとりに会社が気づくなんてあり得ない」と恐怖を隠さない。
入社時の「確認書」でSNS活動自体を禁止
ANAではCAとして入社する際に、SNSの使い方についての「確認書」に署名させられるという。以下がその中身だ。
「私はフェイスブックやインスタグラムをはじめとする SNSの利用について、ANA社員として ANAグループソーシャルメディアガイドラインを含む情報セキュリティ管理規程に則り、下記の事項を遵守することを警約します。
私は、ソーシャルメディアに投稿する場合には、会社にかかわるすべての情報(業務上知り得た情報や関係する写真等を含む)を記載することはいたしません。以下に示される情報は、 退職後を含め、第三者(限定公開先となっているSNS上の友人を含む)に対して絶対に開示しません。
(1)お客様にかかわる全ての情報(公人、私人を問わない)
(2)客室乗務員であることが分かる、または推察できる情報
(3)安全保安にかかわる全ての情報(イレギュラー関連、暗証番号等、推察、推測を含む)
(4)職場の状況または雰囲気にかかわる情報
(5)業務内容を含めた職場に関する愚痴、不平不満、マイナスな感情表現(乗務、調練等を含む業務全般、お客様対応にかかわる抽象的表現を含む)
(6)社外に公表していない内部の情報(営業戦略、経営計画、新サービス等)
(7)業務上必要となる内部の資料(ICAD、各種規定手順書・実績等)
(8)会社の福利厚生情報(特に優待航空券は家族親族の投稿も厳禁)」
この確認書について、(1)(3)(6)(7)(8)については理解できるとして、問題は(2)(4)(5)だ。(2)は別にわかったとしても問題のある発言などをしなければよく、個人の自由の侵害ではないかとの疑問がわいてくる。(4)(5)は表現があいまいな上、例えば匿名のツイッターなどで会社の愚痴や不満、問題点を書き込む自由もなくなることになる。つまり、ANAのCAである以上は社内外に余計な情報発信せずに「黙々と働け」というわけだ。しかも、退社後も外部にあらゆる内容について漏らしてはいけないことにも同意させており、徹底している。
一方のJALについては、非常に簡素だ。以下が入社時の確認書。
「私は、ブログやSNSに書き込みを行う場合には、会社の信用を害することがないよう最大限の注意を払います また、業務上知り得た情報を会社の許可なく社外メディアやSNSを含むインターネット上の体に情報発信したりあるいは出版したりすることはしません。
・安全、航空保安、 営業上の機密等に直接関わる内容
・社外に流出することで会社の名誉や品位を傷つけかねない内容
・業務に関し、お客さまを含む社外の問覧者に不快感や不信感、誤解を与えかねない内容
・海外地区においては、各国の法令を基に必要に応じて読み替える等お願いします。
以上の内容を確認しました」
いかがだろうか。ANAとは違い、業務に関する守秘義務などを守ってさえいれば、SNSでCAであることを公開することや、個人的な意見を述べることを禁止する規定はない。ANAが「愚痴や不平不満」と具体的に表現の幅に言及していることからすれば、雲泥の差だといわざるを得ない。
隣組組織「班」でCAを統制
不平不満を言いにくい組織風土であることが濃厚なANAであるが、それには戦前に存在した近隣住民同士で相互監視し合う隣組ともいうべき「班」というシステムが、同僚同士の統制に大きな役割を果たしているという。以下は30代CAの解説。
「班は一つ当たり8〜10人で、毎月約2回国際線を一緒に乗務し、3カ月おきに班会という集まりを開くのが基本的な活動内容になります。班内ではそれぞれに役割があり、上下関係は年次順に徹底していて、後輩の目標や課題など成長度合いは先輩が必ず把握しています。
年1回の定期訓練、サービス訓練の結果のほか、班以外のフライトで起きたトラブル、失敗、クレーム等の出来事を班長と管理職に報告する必要もあり、これもすべて把握されています。成長スピードが他の人と比べて遅かったり問題があったりした場合、フライト後に何時間も反省会を先輩とさせられたり、休日に先輩に呼び出されたり、休日にメールの返信を強要してくる先輩もいます。
班がさながら小さな会社のようになっていて、班内での人間関係に悩み、仕事に来られなくなる人、鬱の症状が出る人がいます。入社後1~2年で、同期20人中複数が心の病で長期でお休みしたという話も聞きましたし、前年度お休みしてたという方や、班員がメンタルで突然長期休暇をとったという話もよく聞きます。班長や管理職は自分の管轄下グループ内で問題が起きないこと、問題児がいないことが自分の成績に関わってくるため、締め付けプレッシャーが必然的に高まる構造になっています。
班は1年に1回変わります。ただ前の班から個人情報が引継ぎされるため、個人の成績や就業態度などすべて新しい班長と管理職に把握されることになります。
このような環境で、先輩に意見を言ったり、本音で管理職と話すというのは非常に難しいといわざるを得ません。記録されてずっと引き継がれるくらいなら、波風立てず、平和に生きていく道を選ぶCAがほとんどです」
筆者の取材によると、JALでも班活動自体は存在するが、ANAのように相互監視の意味合いが強い集まりではなく、あくまで業務でのメンタルヘルスなどを確認するためのグループ活動という性質が強いというのが現状のようだ。冒頭のSNSの書き込みが発見されたのが「密告」であるとの可能性については触れたが、このようなCAの相互監視体制の下では十二分にあり得る話だろう。
現場のCAを苦しめる、人権無視の主観的な評価基準
さらに、国際的に見て人権侵害といわざるを得ない、ANA特有の「見せしめの評価制度」もCAを苦しめている。
ANAは2005年からそれまでの乗務手当の制度を変更し、評価者(班長や管理職)の評価による格付けによってさまざまな乗務手当を決める制度に切り替えた。その項目には、「お客様の心に残る笑顔の発揮」「日本らしいおもてなしの心を感じる対応ができる」「安心感や新鮮さを感じるサービスができる」など、とても主観的で抽象的な基準が盛り込まれている。
筆者が取材したANAのCAのOGも「接客について『正解』がわからないことが精神的にプレッシャーだった」という。別のOGは「結局は班長や管理職のさじ加減で評価が決まるので、プレゼントをわざわざ送る同僚もいて落胆した」と証言する。
この評価制度により、同じ客室責任者(CP)でも乗務手当は1時間あたり780円、1,400 円、1,600円と差がつき、1カ月80時間飛ぶ場合、業務は同じであるにもかかわらず、約6万~13万円といった大きな収入格差が生じることになる。
このような客観性や透明性に欠ける評価賃金制度はANA独自のものであり、欧米の外国航空会社では、客室乗務員の経験を重視するため、「勤続年数」による評価が一般的で、むしろ欧米ではチームワークを阻害し人権侵害であるとされ、導入されていない。
同僚に評価をすべて開示し、見せしめ
しかも、ANA ではこれらの評価結果すべてが社員番号、氏名とともにフライトメンバー表に表示されており、現場からは「まるで見せしめだ」と不満の声が上がっている。筆者が入手したメンバー表の表記は以下の通りだ。
「1、氏名、2、班名と社員番号、3、人事資格(等級)、4、CP(先任)資格の有無、5、部内の役職、6、区分資格、7、習熟コード資格、8、サービス担当資格、9、フライト中の役割」
これらが書かれた表をメンバー全員が印刷して持ち歩くようになっている。この他にも開示される班員名簿には、入社時期(年度コース名)、その他の部内資格(インストラクター等)、班内での役割(Safety担当など)が記載され、評価・格付けのすべてを誰もが見られるようになっている。
例えば、入社年次の割に等級や役割が低かった場合、「年次の割に仕事ができない」などの評価を受けたりするなど、評価が可視化されること自体が職場に不快な雰囲気を及ぼす可能性がある。それだけでなく、「会社に嫌われたら評価を下げられて不当に扱われるという恐怖を刷り込まれているように感じる」(先の現役CA)と会社の管理を不当に強める役割を担っていることも十分に考えられる。
このような状況ではSNSで愚痴や不平不満を書き込むなどしただけでも、そのCAは常に「訳アリな人物」として扱われることになり、自由にものを言える職場ではなくなることになる。
一方、JALでは、氏名、グレード資格(ANAでいう区分資格)、フライト中の役割と、プライバシーの侵害に配慮した最小限の資格表示となっている。班員名簿も印刷はできずプライバシーへの配慮はなされているというから、先のSNS投稿の確認書の際と同様、雲泥の差があるといわざるを得ない。
ANAに質問状を送付
以上の取材結果から、ANAのCAに対する言論統制や評価制度の異常さは明白だ。ANAに以下の質問状を送付し、見解を確認した。
【質問内容】
Q1:貴社に社員がCAとして入社する際に署名するSNS投稿に関する以下の確認書についてお伺います。
<私は、ソーシャルメディアに投稿する場合には、会社にかかわるすべての情報(業務上知得た情報や関係する写真等を含む)を記載することはいたしません。以下に示される情報は、 退職後を含め、第三者(限定公開先となっているSNS上の友人を含む)に対して絶対に開示しません。
(1)お客様にかかわる全ての情報(公人、私人を問わない)
(2)客室乗務員であることが分かる、または推察できる情報
(3)安全保安にかかわる全ての情報(イレギュラー関連、暗証番号等、推察、推測を含む)
(4)職場の状況または雰囲気にかかわる情報
(5)業務内容を含めた職場に関する愚痴、不平不満、マイナスな感情表現(乗務、調練等を含む業務全殺、 お客様対応にかかわる抽象的表現を含む)
(6)社外に公表していない内部の情報(営業戦略、経営計画、新サービス等)
(7)業務上必要となる内部の資料(ICAD、各種規定手順書・実績等)
(8)会社の福利厚生情報(特に優待航空券は家族親族の投稿も厳禁)>
上記(2)は、CAだと判明しても社会人として問題のある発言などを行わなければよく、個人としての表現の自由の侵害の恐れがありますが、貴社ご見解をご教示いただけますでしょうか。
また、(4)(5)は表現があいまいな上、例えば匿名のツイッターなどで会社の愚痴や不満、問題点を書き込む自由もなくなることになります。退社後も外部にあらゆる内容について漏らしてはいけないというのは、これも表現の自由の侵害の恐れがありますが、貴社ご見解をご教示いただけますでしょうか。
また、このような規定が、現場のCAが自由に発言できず、職場の息苦しい雰囲気につながっているという証言を貴社関係者より入手しておりますが、貴社ご見解をご教示いただけますでしょうか。
【ANAの回答】
各社内文書は、対外的に公表しているものではございませんので、個別の回答は差し控えさせていただきます。職場状況や業務内容など、業務に関連する内容についての情報管理の取り扱いは、適切に行うよう、客室乗務員に限らずすべての従業員に日ごろから働きかけております。
Q2:班の活動について、筆者の取材により知り得た概要は以下の通りですが、以下は事実でしょうか。
<班は一つ当たり8〜10人で、毎月約2回国際線を一緒に乗務し、3カ月おきに班会という集まりを開く。班内ではそれぞれに役割があり、上下関係は年次順に徹底していて、後輩の目標や課題など成長度合いは、先輩が必ず把握している。
年1回の定期訓練、サービス訓練の結果のほか、班以外のフライトで起きたトラブル、失敗、クレーム等の出来事を班長と管理職に報告する必要があり、これらは班長と管理職がすべて把握する。
班メンバーは1年に1回交代するが、前の班から個人情報が引継ぎされるため、個人の成績や就業態度など、すべて新しい班長と管理職に把握されることになる>
【ANAの回答】
勤務形態の詳細に関しては、対外的に公表しているものではございませんので、回答は控えさせていただきます。また、個人成績、成長度合い、目標や課題点等についても、人財育成、組織マネジメントの観点でその上司が把握するよう努めております。これは弊社の客室乗務員に限らず、一般的に従業員が属する組織の中で、必要なコミュニケーションを促進するための重要な役割を果たしていると考えております。
Q3:この班活動について、貴社関係者より以下の証言を入手しております。
<(1)成長スピードが他の人と比べて遅かったり問題があったりした場合、フライト後に何時間も反省会を先輩とさせられたり、休日に先輩に呼び出されたり、休日にメールの返信を強要してくる先輩がいて、心が休まる時がない。
(2)班がさながら小さな会社のようになっていて、班内での人間関係に悩み、仕事に来られなくなる人、鬱の症状が出る人がいます。入社後1~2年で、同期20名中複数名が心の病で長期でお休みしたという話も聞きましたし、前年度お休みしてたという方や、班員がメンタルで突然長期休暇をとったCAもいる。
(3)班長や管理職は自分の管轄下グループ内で問題が起きないこと、問題児がいないことが、自分の成績に関わってくるため、締め付けプレッシャーが必然的に高まる構造になっている。
(4)すべての勤務情報などが班長や管理職といった会社側に握られている状況では、先輩に意見を言ったり、本音で管理職と話すというのは非常に難しい>
上記のような声が貴社内で上がっていることについて、貴社の見解をご教示いただけますでしょうか。
【ANAの回答】
組織内の個別の上司・部下の関係や組織運営上の各事象について、対外的にお話しすることは控えさせていただきますが、客室乗務員に限らず、社内の組織マネジメントや、従業員の育成の全般を見渡す中で、必要なコミュニケーションが行われていると考えております。
Q4:筆者の取材によると、個人情報まで踏み込んでCAを統制する性格の班活動は貴社特有のものであると考えております。現場CAからは「班活動は、本音で何も話せない職場をつくっている」との声もあがっていますが、班活動を見直すお考えはございますでしょうか。
【ANAの回答】
各部門、部署の活動方針に沿った組織マネジメント、人財育成を実施しております。良好な職場環境と円滑なコミュニケーションが促進されるよう、必要に応じて改善を進めてまいります。
Q5:CAの評価制度について、貴社が2005年から採用している評価制度では、評価者(班長や管理職)の評価による格付けによって、CAのさまざまな乗務手当を決めるようになっています。評価項目には「お客様の心に残る笑顔の発揮」「日本らしいおもてなしの心を感じる対応ができる」「安心感や新鮮さを感じるサービスができる」など、主観的であいまいなものが盛り込まれており、現場からは「接客について『正解』がわからないことが精神的にプレッシャーだった」「最終的には班長や管理職のさじ加減で決まる不公平な制度」との声も上がっています。こうした声があることについて、貴社ご見解をご教示いただけますでしょうか。
【ANAの回答】
当社の人事制度(評価制度)に関わるものであり、内容詳細についての回答は差し控えさせていただきます。人財育成の観点で、最適な制度を構築していくよう努めております。
Q6:欧米の航空会社が「勤続年数」を評価軸にする中、上記Q5で記載した人事評価制度について、「主観的であいまいな基準を盛り込んだ全日空独自のもの」「主観的基準の導入は人権侵害にあたる」との指摘も貴社内から聞かれますが、貴社の見解をご教示いただけますでしょうか。また、貴社が2005年に乗務手当を上記評価制度に基づき決めるかたちに切り替えた理由について、ご教示をいただけますでしょうか。
【ANAの回答】
当社の人事制度(評価制度)に関わるものであり、内容詳細についての回答は差し控えさせていただきます。人財育成の観点で、最適な制度を構築していくよう努めております。
Q7:貴社ではフライトメンバー全員に、CA個人の以下の評価項目が開示されていることについてお伺います。
<1、氏名 2、班名と社員番号 3、人事資格(等級) 4、CP(先任)資格の有無 5、部内の役職 6、区分資格 7、習熟コード資格 8、サービス担当資格 9、フライト中の役割>
これらが書かれた表をメンバー全員が印刷して持ち歩けるほか、これとは別に開示されている班員名簿には、入社時期(年度コース名)、その他の部内資格(インストラクター等)、班内での役割(Safety担当など)が記載され、評価・格付けのすべてを誰もが見られるようになっており、プライバシー侵害の恐れがあります。これについて、貴社のご見解をご教示いただけますでしょうか。
【ANAの回答】
上記情報を有しているか否かも含め、セキュリティの関係上、回答を差し控えさせていただきます。一般的に客室乗務員としての業務を遂行する上で必要な情報は、クルー内で共有しております。
Q8:上記のようにフライトメンバーにCAの個人情報を開示することについて、貴社内では「会社から評価が低い人間に対する見せしめになる」との批判の声がありますが、貴社の見解をご教示いただけますでしょうか。
【ANAの回答】
組織内の各種情報管理の方法について、内容詳細をお答えすることは差し控えさせていただきます。一般的に客室乗務員としての業務を遂行する上で必要な情報を、クルー内で共有しております。
※ANAの回答はここまで
すべての質問にゼロ回答をよせたANAだが、新型コロナウイルス感染拡⼤で21年3⽉期の巨額⾚字が予想され、企業の存続すら危ぶまれている。再建を急ぐ同社だが、仮に立ち直ったとしても、このような現場のCAをさも徹底的に監視する企業体質が改まらない限り、社員の幸福が訪れるとは思えない。
華やかなイメージに魅せられCAとなった女性を、過酷な労働に追いやる航空業界の体質について、ANAの実態から浮かび上がらせる。