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【初公開】コロナ時代における東京ドームの新規事業をどう生み出すのか?

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左から持田 真由子氏(東京ドーム)、赤木 翔氏(東京ドーム)、濱口 茉奈美氏(東京ドーム)、野村 明広氏(東京ドーム)、亀井 聡彦氏(TECHFUND)、大西 ラドクリフ氏(TECHFUND)、井本 浩太氏(TECHFUND)

 1936年、たったひとつの野球場から始まった(株)東京ドーム。水道橋エリアを中心に、日本のエンタテインメント・シーンを牽引している同社は、2016年より新規事業創出を事業戦略に掲げた。

 会社内で起業家を募る「社内アクセラレーションプログラム」を推進するうえで、同社がパートナーとして選んだのが、技術提供によって多くの起業家をサポートしてきた実績を持ち、その技術力を評価した大手企業とも多数の取引を行ってきた(株)TECHFUND。

 東京ドームは、本年度より新規事業を興す人々をテクノロジーの力でサポートするサービス「ACCEL PROGRAM for BIZ」を導入し、新規事業創出に繋がるアイディアのタネを集っていく。

 はたして、両者が取り組むコロナ危機からの回復とビジネスモデルの変革の中枢を担う、新規事業創出にかかる新プロジェクトとは——。

中長期的なビジネス変革を目指して始まった、新規事業創出の強化

聞き手(山本):まずは、東京ドームさまが新規事業開発に注力されるようになったきっかけを教えてください。

東京ドーム(野村室長):東京ドームに新規事業開発室が設けられたのは2017年、今年で4年目になります。みなさまご存知の通り、アミューズメントやホテル、イベントホールなどの各種東京ドームシティ事業は東京都にある水道橋エリアを中心に展開されています。

 新型コロナウイルスの感染拡大前には「東京ドーム」や「東京ドームシティアトラクションズ」、エンタテインメント型融合商業施設「LaQua(ラクーア)」などの施設に年間約4,000万人が訪れるなど、都市型レジャーとして親しんでいただいておりました。一方で、自社の“将来性”を見据えたときに、どうしても水道橋エリアのみでの営業・展開では頭打ちになるのでは……という意識もあって。より外部に広げていくビジネスを展開していきたいという思いから、新規事業展開を進めていくことになりました。

聞き手(山本):新型コロナウイルスに起因する環境変化の影響もあったのでしょうか。

東京ドーム(野村室長):新型コロナウイルス感染拡大前から新規事業開発は進めていましたが、コロナ禍になってより必要性が増したのは事実ですね。実際に外出制限、イベントや営業の自粛、イベント人数制限による来場者減が主な要因となって大きな損失が生じました。仮にコロナが収束したとしても以前と同じ状態に戻るのは難しいと推察したうえで、中長期的な目標を見据えたビジネスモデルの変革(=新規事業展開)を意識するようになりました。

前身となった、社内アクセラレーションプログラム「ドリカムプロジェクト」の課題とは?

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聞き手(山本):TECHFUNDの「ACCEL PROGRAM for BIZ」導入前にも、社内でアクセラレーションプログラムを推進されていたのでしょうか。

東京ドーム(濱口):既存の社内提案制度に「ドリカムプロジェクト」というものがあります。同プロジェクトの発足は3年前になるのですが、当時は「①新規事業開発室がリードして行うもの」「②ドリカムプロジェクトで集ったもの」「③オープンイノベーション視点で外部企業と手を取りながら進めていくもの」を新規事業開発における3本の柱に設定していました。

聞き手(山本):ドリカムプロジェクトを運用するなかで、悩みや課題はあったのでしょうか。

東京ドーム(野村室長):前身のドリカムプロジェクトは、社内提案制度であるにもかかわらず応募件数が非常に少なかったのが大きな課題でしたね。実際に運用してみても実証実験に進めそうな案件が数件あったのみで、制度として機能しきれていない側面が多々みられました。我々新規事業開発室のメンバーとしても「このプロジェクトを抜本から見直さないといけない」「でもなにをすればいいか分からない」と葛藤しているような状態で。そんなときに、濱口から「おもしろい会社がある」とTECHFUNDさんの事業支援サービスを提案されました。

TECHFUND(亀井):具体的に弊社のどこに興味を感じていただけたのでしょうか。

東京ドーム(濱口):最初にTECHFUNDさんからご連絡があったときには「ブロックチェーンの会社です」と紹介いただいたのですが、実際にミーティングでお会いしたときに「実はブロックチェーンの話がしたくてミーティングをセッティングしたわけじゃないんです!」と言われて……なんだこのユニークな会社は、と(笑)。

 そんなご縁から、先ほどお話したドリカムプロジェクトやオープンイノベーションを進めるなかで抱えていた課題をご相談させていただいたんですよね。相談内容は漠然とした悩みばかりだったのですが、多角的な視点でアイディアをくださって「東京ドームさんが抱えている今の課題、うち(TECHFUND)でお手伝いできます!」とおっしゃっていただきました。ある意味、運命的な出会いだったのかもしれません。

東京ドーム(赤木):2021年2月よりスタートした「新中期経営計画」の策定が同時期に行われていたのですが、同計画の大きなテーマのひとつが新規事業開発でした。ちょうど我々が最適な方向性を確立したいと思っているタイミングで、いいご縁があって良かったです。

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聞き手(山本):今まさに新規事業開発を進めるスタート地点だと思います。社員の方に起業家精神をもってもらうために意識したいことがあれば教えてください。

東京ドーム(濱口):今TECHFUNDさんにお力添えいただいているのが、社内提案制度「mokuMOKU」です。先述したように、前身の社内提案制度「ドリカムプロジェクト」では、新規事業のタネとなるアイディアの母数を集めることができませんでした。これに関しては、プロジェクトの内容や魅力をうまく発信できていなかった部分が課題であったと振り返っています。

 今後mokuMOKUを進めるうえでは、説明会はもちろんワークショップやセミナーも積極的に実施していきたいですね。過去に抱えていた課題が今回の新プロジェクトでどのくらい改善されていくのか、期待でいっぱいです。

 “本業の一部”として新規事業にコミットしてほしい。積極的な新規事業創出のための施策

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聞き手(山本):今後、社内起業家はどのように新規事業創出にコミットしていくのでしょうか。

東京ドーム(野村室長):社内コンペティションでアワードを獲得した社員には、就業時間の20%のキャパシティを使ってそのアイディアの実証実験を進めてほしいと考えています。重視したのは、新規事業開発にかかるコストや時間を「会社の業務の一部」だと捉えてもらうことですね。本業に加えるかたちで“付け足し的”に新規事業開発に取り組んでもらうのではなく、会社の業務の一部として進めてほしいという思いから、このようなコミットの仕方を決定しました。普段の業務を並行しながら20%の時間を新規事業に使ってもらうことで、新規事業創出の推進効果を期待しています。

聞き手(山本):従来までの新規事業創出の取り組みを徹底的に強化されていくのですね。具体的に「こんな社員に参加してほしい」という思いはありますか。

東京ドーム(野村室長):基本的には社員全員に参加してほしいですね。年齢やポジション、部署で区切るのではなく、あらゆる人々を巻き込んで動いていける全社的な制度にしていきたいと考えています。

東京ドーム(赤木):個人的には新規事業創出が盛んな企業=若い世代の社員が多い、というイメージがあって。ですが、東京ドームは若手社員から個性豊かな年配社員まで年齢層が広いんですよね。東京ドームが歩んできた歴史を見てきたうえで、今後のビジョンを心の中で描いている方も多いんです。そんなベテラン社員とフレッシュな思考を持った若手社員がタッグを組むことで、年齢や経験の垣根を越えた面白い提案を生み出してくれるのでは、と考えています。

TECHFUND(井本):たしかに、年代やポジションの違う社員だからこそ生まれるプロダクトがありそうですね。

東京ドーム(赤木):もともと東京ドームの現場仕事では年齢やポジションを超えて一緒に働く機会が多く、斬新な構成でプロジェクトを動かすケースもしばしば。それこそが今後新規事業開発を進めるうえでも強みになっていくと感じますね。弊社では、バブル時代を経験してきたベテラン社員が今まさに社内のトップクラスで働いています。過去の成功体験を知っているからこそ、令和時代に合った核心をつくアイディアを創出できると思っていて。運営側としてそこをうまく活用したチームビルディングを進め、枠にとらわれない“新規事業のタネ”を見つけ出したいです。

「漠然とした悩みにも具体論で返してくれる」東京ドームの新規事業開発室が感じた、TECHFUNDの強み

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聞き手(山本):新規事業支援を行なっている企業が多数あるなか、TECHFUNDの「ACCEL PROGRAM for BIZ」を導入いただいた決め手があれば教えてください。

東京ドーム(濱口):具体的なコンペティションなどを行ったわけではないのであくまで主観的な意見にはなりますが、やはり最大の決め手は私たちが抱えていた課題に寄り添っていただいたことでしょうか。漠然とした悩みを細かく噛み砕いてくれて、具体策に落とし込んでくれました。

聞き手(山本):漠然とした悩み、というと?

東京ドーム(濱口):新規事業に関しては当然私たち新規事業開発室がメインで担当しているのですが、なかなか全社的なプロジェクトとして推進できないという課題がありました。そのほかにも、「実際に社員から集めたアイディアが新規事業開発に結びつかない」「そもそも東京ドームにとっての新規事業の定義とは?」など、言語化しづらい課題をいくつも抱えていたんです。そんな細かな悩みを全て相談させてもらえる環境を作ってもらえたこと、それらの悩みに一つひとつ真摯に向き合ってくださったことが心底嬉しかったですね。

東京ドーム(赤木):常に具体的事例をもとに説明してくれることも、TECHFUNDさんの魅力だと思いますね。その施策の一歩先をイメージできるような工夫というか。社内アクセラレーションプログラムへの関心や熱意はあるものの経験やノウハウをもっていない我々の視点に立って、抽象論ではなく「このケースでは〇〇ですね」「そうなった場合にはこう進めるのはベストです」と、常に具体的な実例を交えながら話を展開してくれました。

東京ドーム(濱口):反対に、私たちの話って“具体論”が多いんですよね(笑)。やりたいことが山積みだから夢をたくさん語っちゃうというか。でもあえてこちらが話す具体論には抽象的な話を交えて対応してくれて、ラリーをうまく繋いでくれました。そんな柔軟な対応と豊富なノウハウ、実務面での経験数にTECHFUNDさんの価値を感じましたね。

TECHFUND(大西):我々も自分たちの強みをそこだと思っているので、「様々な角度から、実務レベルでの新規事業支援の実態を届けられる点」を魅力として挙げていただけたのは大変嬉しいです。

 実はTECHFUNDには“自分でも事業やプロダクトを作っている起業家/社内起業家”が、ハーフコミットのメンバーとして数多く所属しているんですよね。起業家/社内起業家のバックグラウンドを持つメンバーが集まっているTECHFUNDだからこそ、アクセラレータとしての支援側の経験に加えて、イチ起業家としてさまざまな具体的な提案を行える価値があると、お客様の声を聴きながら感じています。

 起業家メンバーの例として、例えば今日出席している亀井はWeb3やDAOにコミットするスタートアップFracton Venturesを立ち上げたばかりですし、井本もお酒関連の事業会社theDANNを経営しています。僕自身も今話題のClubhouseのようなtoC向けのトークコミュニティアプリTalkstandを作るthe BabelsのCEOをしています。

 一方で、VCやアクセラレータの経験のあるメンバーも多く、例えば亀井はこれまでのキャリアでMistleoteやMOVIDA JAPANなど、スタートアップへの投資/育成/支援を経験しています。僕自身も前職リクルート時代にはRECRUIT Venturesで社内新規事業制度「NEWRING」の設計・企画・運営を担当していました。起業家バックグラウンドやアクセラレータとしての多様な経験のあるメンバーがいるので、新規事業制度の悩みに具体論で打ち返せるのかなと思います。

何度も再考を重ねて新プロジェクトを確立。社内外の垣根を超え、ビジネスパートナーとしての関係性を築くまでの道のり

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聞き手(山本):挑戦させる文化、失敗を許容する文化の醸成のために、具体的に今後どのようなことを実施していきたいと考えていますか。

東京ドーム(野村室長):mokuMOKUを制度としてうまく運用させることこそが、挑戦させる文化および失敗を許容する文化を社内全体で培う第一歩に繋がると考えています。今回はロゴ作りなどのインナーブランディングにも注力していて、社員にどのようにプロジェクトの魅力を発信していくべきかを試行錯誤してきました。その工夫を風土醸成に繋げていきたいですね。

東京ドーム(濱口):これまでは、新規事業開発室ってどこか内々にこもりがちだったというか……。自分達で開発して完結という面が多かったのですが、今後はなるべく社員との接点をもちながらアイディアを集めていきたいです。TECHFUNDさんとお話していると、どんな考えも許容してくれる、受け止めてくれるという心的安全性があって、だからこそ何でもご相談出来たと思っています。そうしたTECHFUNDさんから吸収した許容する文化を参考に、「あらゆるものがきても受け入れる」という覚悟と柔軟な思考を武器にプロジェクトを運用していきたいですね。

聞き手(山本):新プロジェクトを確立するにあたって、特に苦労したエピソードがあれば教えてください。

東京ドーム(濱口):mokuMOKUを全社的に進めたい、という新規事業開発室の方針を社内に提案した段階で、「それって新規事業開発室がやることじゃないの」という意見が挙がったことでしょうか。そのほか、新規事業の定義に関して社内で統一の見解がなかったこともあり、今のプロジェクトを確立させるまでに内容が二転三転していたんです。

東京ドーム(赤木):当初は既存事業から染み出した範囲も新規事業として捉えようと考えていたのですが、「それは新規事業創出とは言わないのでは?」という指摘があったりね。悩むことも多かったのですが、細かな部分からプロジェクトの中枢を担う部分まで、なにか変化があったときにはすぐにTECHFUNDさんに相談させてもらっていました。相談するたびに新しい方向性や制度設計、適切な施策を提案してくれたので心強かったです。

TECHFUND(亀井):何度もミーティングを重ねながら、今の制度を作っていきましたよね。

東京ドーム(持田):弊社の状況に合わせて進むべき道を提案してくれて。こんなに相談していいのって思うことまで、親身に寄り添ってくださってありがたかったです。

東京ドーム(赤木):TECHFUNDさんって絶対「いいね」をくれるんですよね。勝手なイメージですが、コンサルさんに何か提案してもこちらが無理を言ったり、知識が浅いままお話したりするとどうしても否定されるイメージがあって……。新規事業に関しては理想論でしかお話できない部分も多かったので不安を感じることもあったのですが、TECHFUNDさんは必ずこちら側の提案に肯定的なコメントをくれるんですよ。

東京ドーム(濱口):そう! 必ず認めてくれてるから、嬉しくなって突拍子もないアイディアもずっと喋っちゃう(笑)それでも温かく見守ってくれるんですよね。とはいえ、理想論だけで話を進めていくのではなく、こちらの意見は尊重しながらも的確な方向・改善まで導いてくれます。“改善すべき着地点を示してくれながらも、入り口が居心地いい”、そんな絶妙なバランスによって、社内外の垣根を越えたビジネスパートナーとしての関係性を築くことができました。

TECHFUND(亀井):そう言っていただけて光栄です。どんどんフェーズが進むにつれて当初設計した計画が変化するのは当たり前のことですし、その変化に対応できる施策を打ち出すことこそが、今後mokuMOKUを運用するうえでも最大のキーになると考えています。本プロジェクトをご一緒させていただくようになってから今日までは計画フェーズにいて、ある種“机上の空論”のような部分もあったかと思います。実際にこれから社内アクセラレーションプログラムを本格稼働させるなかで、社内起業家から集めたアイディアのタネをいかに新規事業に落とし込んでいくか、このステップこそが我々の本来の強みです。新規事業開発室の方々、社内起業家の方々とも連携を取りながらフレキシブルな対応を心がけたいですね。

東京ドーム(持田):心強いです。TECHFUNDさんと事業を進めていくと、アイディアを集めた先のフェーズも想像できるんですよね。プロジェクトを作って終わりにするのではなく、会社にとって価値のあるプロジェクトにするためのステップを着実に踏めている感覚があります。

TECHFUND(亀井):おっしゃる通り、我々も社内起業家が生まれたあとの段階こそがもっとも重要だと考えています。TECHFUNDの強みは、新規事業開発や仮説検証などの一つひとつのフェーズが動いていくなかで最後までしっかり付き合っていけること。もともとは新規事業の開発まで担当している会社なので、ミニマムでありながら包括的にサポートできるんです。設計まで行って「あとは頑張ってください」ではなく、今後も一気通貫での支援を心掛けていきたいです。

東京ドーム(赤木):少し話はそれますが、スタートアップの起業家視点でのアドバイスをいただけたのも大きな刺激になりましたね。新規事業に関する経験やノウハウが少ない我々に、アイディアの作り方や起業家さんの思考回路などもあわせて教えてくれました。社内起業家にはない“野生の起業家”の目線で、的確なアドバイスをもらえたことがmokuMOKU策定の段階でいいエッセンスになったと思います。

TECHFUND(大西):新規事業などの社内起業とスタートアップ起業では色々と違いがあり、東京ドームさんの制度設計には不要な場面もあるかもですが、今回はあえて比較しやすいように「普通のスタートアップだったらこうですが、社内起業だったらこうですね」とスタートアップ側の事例も合わせて伝えるようにしていました。スタートアップと比較するかたちで社内起業家の魅力やメリットを可視化しやすくなるというか。

 例えば、スタートアップは自分たちで毎月の社員の給与を確保し続けてサーバイブすることが必須条件なので、純粋に事業のみに集中しにくい側面があると思っています。ですが、社内新規事業だったらアサインされたチームメンバーの給与は会社側からの支給になることが多いので、会社自体が安定していればメンバーの給与が払えないリスクなんて起きませんよね。もし自分が起案した新規事業が失敗したとしてもチームメンバーは他部署に異動できるわけなので。そうしたことから社内新規事業では、BSやキャッシュフローやバーンレートよりも、純粋にP/Lや事業成長に集中できる。そこは社内起業家の大きなメリットだと思っています。僕は両方の立場を経験してそう感じていますね。

 もちろん社内起業なので100%同じようなプロセスは踏めませんが、社内企業もスタートアップ企業も「アイディアをもとにたたかう」という面では同じなので、スタートアップと比較することで社内起業家の自由度を伝えられるよう意識していました。

30年続くプロジェクトを目指して——。東京ドームが描く、新規事業創出の未来予想図

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聞き手(山本):今後、東京ドームさまが実現していきたい目標を教えてください。

東京ドーム(野村室長):直近では、年間のアイディア件数を100件集めることが2021年度の目標になります。前身のドリカムプロジェクトは“待ち”の部分が多かったので、今後はこちらから積極的にアプローチして全社的な制度として確立させていきたいですね。

東京ドーム(赤木):新規事業開発室としては、このプロジェクトを「30年続かせよう!」と意気込んでいます。実は、東京ドームって“初のドーム球場”や“初のジェットコースター”などの日本初をこれまでに何度も獲得してきた会社なんですよ。個人的にはそれを過去の栄光とせず、“日本初”をもう1度手に入れることがひそかな夢で……。TECHFUNDさんのお力を借りながら、今回新たに始動するmokuMOKUをきっかけに会社として前進していくことが中長期的な目標ですね。

TECHFUND(亀井):本当にシビれますね。弊社が東京ドームさんのアクセラレーションプログラムの設計をお手伝いするなかで、こういうチャレンジングな精神を何度も感じてきました。新規事業開発室のみなさんが常に高い熱量で動いてくださっているので、今後はその熱量をどうやって社内に広げていくのかも考えていきたいですね。「1年目は熱量が高いけど、徐々にボリュームダウンしてしまう」というケースも多いですが、それってサステナブルなプロジェクトではないですから。TECHFUNDとしても30年続くプロジェクトにできるよう、そして東京ドームさんらしいエッセンスを発揮できるよう、精一杯運用をサポートしていきたいです。

東京ドーム(濱口):個人的なお話になるのですが、私が新規事業開発室に所属して今年で6年目になります。だからこそ「部署自前で事業を開発する→ドリカムプロジェクトの課題と向き合う→そもそも東京ドームにとっての新規事業の定義を見つめ直す」というプロセスを経て、今ようやくスタートラインに立てた感覚があって……。ずっと目指してきたことがTECHFUNDさんのサポートでようやく形になったんです。mokuMOKUが本格的に動き出すなかで、今後はこのプロジェクトを全社的なウェーブにするため、そして制度をうまく運用できるようにお力添えをいただきたいです。

TECHFUND(大西):もちろんです。実は、社内アクセラレーションプログラムの運営って、意外とカスタマーサクセス的な発想や施策が必要な仕事なのではないかと僕は思っています。社内起業家予備群の社員を顧客(カスタマー)と見立てて「プログラムに興味を持ってもらう→説明会にきてもらう→アイディアのタネを考えて出してもらう→アイディアをブラッシュアップ、チームアップしてもらう→最終的には制度を使って応募してもらう」というステージを段階的にクリアしていってもらう必要があります。

 とはいえ東京ドームさんのように既存事業がお忙しい状況だと、顧客(社員)がなかなかその段階を進めないケースも多くて、途中でやめちゃう。だからこそ、我々は顧客(社員)が階段を一歩一歩登っていけるように、「顧客(社員)がどのステージでつまづいているのか?」「その課題に対してどんな対策を取るべきか?」といったカスタマーサクセス的な考え方でお手伝いしたいと考えています。新規事業開発室の運営の皆さんと二人三脚で個別メンタリングや説明会を含めて、社内起業家さんを盛り上げていきたいと考えています。

聞き手(山本):では、最後に意気込みをお願いします。

東京ドーム(持田):新プロジェクトを始動させるにあたって「アイディアをたくさん出してほしい」という願いはもちろん、前進のドリカムプロジェクトでの課題を一つひとつ解決していきたいという思いも強いです。個人ではアイディアを抽出するのが難しいという意見も多く寄せられていたので、今後は2~3人のチームやペアを組んでもらいながらこれまで拾えてこなかったアイディアを集めていきたいですね。より多くの社員に参加してもらえるよう、今後はそういった方針もどんどんアピールしていきます!

東京ドーム(濱口):まずはアイディアを100件集めることが絶対的な目標なので、その目標をクリアするために小規模セミナーを開催したり、カスタマーサクセスを通じて接点をもったりと、これまで以上に細やかな運営を心がけていきたいです。30年続くプロジェクトになるように、しっかりと風土を醸成していきます。

東京ドーム(野村室長):本年2月からスタートした新中期経営計画においては、コロナ危機からの回復をめざし、ビジネスモデルの変革、生産性の向上、収益性の抜本的改善に取り組んでまいりますが、その中で「イノベーションプロセスの確立」が主要施策の一つとして掲げられています。つまり、新規事業創出は会社としての目標を達成するために欠かせない“要”のようなものなんです。今ようやくTECHFUNDさんと構築してきたプロジェクトが形になりました。全身全霊で取り組み、このプロジェクトを通じて組織としてより強く、より高みを目指していきたいです。

株式会社TECHFUNDについて

 東京都渋谷区にある新規事業支援会社。企画提案力と開発力を強みとしており、社内新規事業制度/アクセラレーションプログラムの設計、新規事業のビジネスモデルの設計、仮説検証を通したプロダクト開発、マーケティンググロースまで、新規事業が生まれる一連のプロセスを一貫して提供可能です。コンサルティングやプロダクト開発などの技術提供によって多くの起業家をサポートしてきた実績を持ち、その技術力を評価した大手企業とも多数取引を行ってきました。国内外300社様以上と取引をさせていただきました。

 開発においては、単にシステム開発するだけでなく、リーンスタートアップを基にした仮説検証をしながらプロダクト開発をスピーディに行うスタイルが得意です。

 またリリース後においても、大手企業・投資家・ユーザー等とのリレーションシップ構築まで支援できる体制が整っているため、リリース後のグロースもサポート可能です。そのほか保守管理も徹底しているため、安心してプロダクトリリースが可能です。

 今回東京ドーム様にご提供させていただきましたのは、TECHFUNDが提供する「ACCEL PROGRAM for BIZ」です。詳しい情報はこちら。https://accel-program.io/forbiz/

インタビュアー:山本杏奈(やまもとあんな)
高知県出身、東京都在住。金融機関勤務を経て、フリーランスのライター/編集者に転身。現在は企業パンフレットや商業誌の執筆、Web媒体のディレクションなどを担当している。

※本記事はPR記事です。

BusinessJournal編集部

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