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鈴木純男「保険会社に流されない『コロナ下の保険選び』のツボ」

第一生命も日本生命も「少額短期保険」市場に参入の事情…大手生保会社の危機感と狙い

文=鈴木純男/金融ジャーナリスト
第一生命も日本生命も「少額短期保険」市場に参入の事情…大手生保会社の危機感と狙いの画像1
「gettyimages」より

 新型コロナの収束がいまだ見えない中、大手生命保険会社の一角、第一生命保険が新型コロナウイルス感染症に罹患した場合の治療費や収入減をカバーする「特定感染症保険」を4月9日に発売しました。

 この保険は、第一生命グループが設立した「第一生命スマート少額短期保険」を通じて販売される商品で、契約締結が完全にオンラインで可能だということで注目を集めています。

 第一生命グループは2021年度から始動した3カ年の中期経営計画「Re-connect2023」におけるCXデザイン戦略で、新しい商品ブランド「デジホ」を立ち上げています。少額短期保険の新会社設立と新商品の提供は、この戦略に沿ったもので、今後、デジホの商品ラインナップを拡充することを明言しています。

 少額短期保険の子会社の設立は大手生保としては初めてですが、日本生命保険も3月19日に、少額短期保険会社の新設に向けた新会社「ニッセイ少額短期設立準備株式会社」の設立を決定したことを発表しました。日本生命の100%出資の子会社で、4月30日設立予定です。

 なぜ、大手生保会社がこうした新会社の設立を進めているのでしょうか? その答えの前に、いったい「少額短期保険とは何か?」を説明する必要がありそうです。

少額短期保険とは何か?

 少額短期保険会社とは、保険業を営む保険会社のうち、保険期間が1年以内の範囲で少額の保障のみを引き受ける会社を指します。たとえば生命保険の場合、死亡保険であれば保険金額の上限は300万円、医療保険は80万円までと決められています。

 保険会社を設立するための最低資本金が10億円必要なのに対して、1000万円(+供託金)で設立できるため、新規参入がしやすく、2006年の少額短期保険業制度導入以後、これまでに100社以上の少額短期保険会社が設立されています。

 一般の保険会社に比べて商品開発の自由度が高く、少額の保障から提供できるため、これまでに多くのユニークな保険商品が開発・提供されています。

 たとえば、スマホの破損や故障を補償する「モバイル保険」や、がん保険の保険料を後払いで払う「わりかん保険」、賃貸オーナー向けの「孤独死保険」、「不妊治療保険」など、ある特定のリスクに絞った保障(補償)を提供する商品が特徴となっています。

 一般の生命保険のように大型の死亡保険の保障はつきませんが、身近に起こる特定のトラブルや危険などを安い保険料でカバーする商品として、人気が高まっています。

 しかし、なぜ大型保障の提供を中心とする国内の大手生保会社が、少額短期保険業の分野に参入してくるのでしょうか。

国内生保会社が新規参入する理由とは

 理由の一つに、国内の生命保険市場の今後の伸びに対する危機感があります。少子高齢化や人口減少で、そもそも生命保険に加入する人が今後は減っていきます。しかも、超長寿化社会の進展で、従来のような大型の死亡保険への加入の必要性は薄れ、生きるための医療保険やがん保険のニーズが高まり、収入に当たる保険料の獲得額も大きな伸びは期待できません。

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