今や、我々の生活に浸透したキャッシュレス決済。駅の改札や店の会計などで、何らかのサービスを使っているという人は多いだろう。よりお得に使うために気になるのが、ポイント還元率だ。
キャッシュレス決済が可能なお店を検索でき、最大限ポイント還元される方法を選んでくれる「AI-Credit」の創設者である足澤憲氏は、「たとえば、モバイルSuicaのポイント還元率は通常の0%から3%にまで増やすことができる」と語る。自称カードマニアで“セコロジスト”の足澤氏に、その手法やお得な使い方などについて聞いた。
モバイルSuicaの還元率をアップさせる方法
――「モバイルSuica」の還元率は通常は0%ですが、どこまで増やせるのでしょうか。
足澤憲氏(以下、足澤) 実は、3%にする“裏技”があります。「Visa LINE Payクレジットカード」は還元率3%ですが、モバイルSuicaにチャージすると、3%還元の対象外になってしまいます。そこで、ミクシィが運営する「6gram」という決済サービスを使います。これは、バーチャルでプリペイドカードを何枚も発行できるサービスです。Visa LINE Payクレジットカードから6gram経由でモバイルSuicaにチャージすると、還元率は3%になります。6gramは招待制ですが、SNSを活用するなどして招待を受け、一度チャージ設定を終えてしまえば、後はモバイルSuicaを使うだけで高還元の恩恵を受けられます。
――注意点などはありますか?
足澤 Visa LINE Payクレジットカードの3%還元が4月末までだということです。ただ、これも6gramを利用して延長することができます。4月末までに6gramの限度額である50万円をチャージしておけば、それを使い切るまでは実質3%還元を受けられるのです。
――では、Visa LINE Payクレジットカードの3%還元が終わる5月以降にお得なカードは何でしょうか?
足澤 前回の記事でも紹介しましたが、還元率0.5%の「エポスゴールドカード」は年間100万円を使うと1万円分のポイントが付与され、実質1.5%還元となります。さらに、ポイントアップショップという仕組みを使えば、指定した3つの店や公共料金の支払いでポイントを上乗せできるようになります。これは6gramを運営するミクシィも対象になっており、エポスゴールドカードで6gramにチャージすると還元率が1%上乗せされ、年間100万円をチャージすると、合計で2.5%還元になります。また、モバイルSuicaもポイントアップショップの選択肢にあるので、エポスゴールドカードでチャージすれば還元率を合計2.5%にすることができます。
楽天ゴールドカードはポイント還元率低下
――利用者の多い「楽天ゴールドカード」は4月からポイント還元率が下がりますが、これが「改悪」と話題になりました。
足澤 楽天ゴールドカードは年会費が2200円かかりますが、「楽天市場」で買い物をすると4%の還元が受けられる特典があります。しかし、年会費無料の楽天カードと同じ2%還元に下がってしまうことになりました。これまでは、楽天市場で年間11万円以上使うのであれば楽天ゴールドカード1択でした。しかし、4月以降は、空港のラウンジ等の使用を考慮しないのであれば、無料の楽天カードで十分です。
――楽天市場以外の特典を利用しない限りは、楽天ゴールドカードを持つメリットは薄いといえそうですね。
足澤 一方、年会費1万1000円の楽天プレミアムカードは還元率4%が維持されます。楽天プレミアムカードの特典である「楽天市場コース」と「お誕生月サービス」を現実的な範囲で考慮し試算すると、楽天市場で年間47万円以上、考慮しない場合は年間55万円以上購入すると、無料の楽天カードよりも優位性が出ます。そのため、多くの人は無料のカードで十分ではないでしょうか。
――なぜ楽天は不評を買ってまで還元率を下げたのでしょうか。
足澤 楽天に限らず、カード会社は当初はお得な条件でユーザーの囲い込みを図ります。しかし、年会費と比較して、ポイント還元をしすぎたという判断がなされたのではないでしょうか。楽天の各種カードは楽天市場以外では1%還元なので、楽天市場でそれほど買い物をしない人であれば、他のカードの方がお得になる可能性もあります。当たり前ですが、自分のライフスタイルに応じて選ぶのがいいでしょう。
●「AI-Credit」