NTT、海外事業が死屍累々、総額2兆円の損失…遅すぎた外部提携、遠いGAFAの背中の画像1
NTT本社が入居する大手町ファーストスクエア(「Wikipedia」より)

 NTTグループでは澤田純氏が持ち株会社NTTの社長に就任して以降、海外事業の拡大に向け、アクセルを踏み込んでいる。それでも海外はグループ売り上げの2割に満たない。成長の柱と位置付ける海外事業は苦戦が続く。カギを握るのはNTTデータだが、子会社にする動きは、総務省幹部への接待問題でストップがかかった。

海外事業は失敗の歴史

 NTTの海外事業は失敗の歴史である。NTTコミュニケーションズは2000年、米ネット会社ベリオを買収したが、わずか1年後の01年9月中間期に5000億円の減損損失を計上。買収額6000億円をドブに捨てた。NTTドコモは海外携帯事業者に総額2兆円以上を注ぎ込み、株式評価損など1兆6000億円もの巨額損失を出した苦い過去がある。

 NTTが約3000億円で買収した南アフリカのディメンション・データの業績が低迷したままだ。NTTの20年4~12月期の実績でいえば海外売上高は前年同期比6%減の138億ドル(約1.4兆円)。NTT全社の売上高にあたる営業収益8兆7380億円の16%だ。しかも、海外の営業利益率は3.0%。23年度(24年3月期)の目標の7%からほど遠い。全社平均の営業利益率は17.2%である。しかも、NTTデータの海外事業の営業利益率はマイナス。米アクセンチュアや印タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCM)は2ケタの営業利益率を確保しており、雲泥の差だ。

 グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンなど米国の巨大IT企業の市場支配力はすさまじい。圧倒的なインターネット需要を背景に国際通信回線の敷設でも主導権を握り始めた。澤田社長がNTTグループの国際競争力の低さに危機感を抱いているのは間違いない。

 GAFAに対抗すべく悲願としてきたNTTグループの再結集に動きだした。NTTドコモを完全子会社にしたのを皮切りにNTT東日本、同西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTデータの統合に動くとみられていた。だが、NTTグループの首脳が総務省幹部らを接待した問題が明るみに出て、NTTグループの再編の動きはストップした。それでもNTTの拡大路線は止まらない。

光通信技術「アイオン」に社運を賭ける

 NTTと富士通は4月26日、次世代通信規格「6G」の技術開発で業務提携した。6G向けの基盤技術と見込む光通信技術「IOWN(アイオン)」の開発に富士通が協力する。富士通はスーパーコンピュータ「富岳」に代表されるように、高度なデータ処理技術を持つ。NTTは富士通の技術を消費電力を抑えた通信網構築に生かしていく考えだ。

 NTTは光信号と電気信号を融合する「光電融合技術」の実用化を進めている。NTTのハードウェア製品の開発子会社であるNTTエレクトロニクス(横浜市)が富士通の子会社で半導体実装技術を持つ富士通アドバンストテクノロジ(川崎市)の株式66.6%を取得し、6月1日付でNTTエレクトロニクスクロステクノロジとして再出発する。

RANKING
  • 企業・業界
  • ビジネス
  • 総合