過去に雑誌のインタビューで学生時代に障害者と思われる同級生を“いじめ”ていたことを告白していた小山田圭吾氏(コーネリアス)が、東京オリンピック(五輪)開会式の楽曲担当を辞任した。だが、騒動はとどまるところを知らない。五輪関係のアーティストに対する過去の言動に関して、新たな懸念がインターネット上でささやかれ始めている。
東京五輪・パラリンピック関連文化プログラムである「東京2020 NIPPONフェスティバル ONE-Our New Episode-Presented by Japan Airlines MAZEKOZEアイランドツアー」(構成・キャスティング・演出・監督・総指揮、東ちづる)に出演予定の絵本作家「のぶみ氏」の過去の著作での記述や、SNS上での発信が、注目を集めているのだ。
イベントはハンディキャップを超越することを謳う
MAZEKOZEアイランドツアーは8月22日午後4時から、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会公式YouTubeアカウント・LINEアカウントで視聴可能なオンラインツアーだという。テーマは「共生」。イベントの趣旨は次の通りだ。
「ジェンダー、年齢、国籍、さまざまなハンディキャップなどの既成概念を、ヒョイッと超越した、唯一無二のユニークなアーティスト(表現者)たちが、 最高のホスピタリティで、みなさま方をおもてなしいたします」
「バーチャルな異空間にて、音楽やパフォーマンスに酔いしれ、アートを堪能し、笑い、陶酔し、熱狂し、共に踊り、歌いながら、色とりどりのカラフルな個性の人たちとの交流を、疑似体験していただけます」
のぶみ氏は「ムーサの島・アートワークショップ」に参加する予定とされている。
絵本読み聞かせ中の女性教員に「今度会ったら殺すぞ」
のぶみ氏は2008年11月に出版された自伝『「自分ルール」でいこう!』(角川グループパブリッシング)で、以下のように学校での自身の経験を語っているのだが、その“素行”がインターネット上で問題視され始めている。原本から以下、抜粋引用する。
「授業が始まると先生は、言ったとおりに
まず僕の描いた絵本をみんなに読み聞かせて、その後に、市販されている僕の絵本と同じような内容の絵本を読み聞かせ始めた。
『これじゃあ、オレがパクったみたいじゃねぇか……』
僕は、その絵本を読んだことがなかった。
ホントになかったんだ。
絵本は、結構読んでいたけど、知らなかった。
なのにこうして読まれてしまうと、決定的にパクったように見えてしまう。
僕は猛烈に腹がたった。
机を思いっきり蹴り飛ばして
先生の顔の横の黒板を思いっきりぶん殴った。
『女だから殴んねぇけどよ、今度会ったら殺すぞ、テメェ!!』
僕は、教卓を蹴り飛ばして
教室のドアをぶっ壊して教室を後にした。
後でその教室にいた人に話を聞くと、
『なんでこんなことになったの――』と先生は、泣き崩れて、怖さで立ち上がれなかったらしい」(同著作186~187ページから引用)
病気の子どもは自分で病気になることを望んで生まれる?
また、のぶみ氏の著作『うまれるまえにきーめた!』(19年7月、サンマーク出版)もやり玉に挙がっている。
同著作で「のぶみ氏」は子どもたちが生まれる前に、「自分たち自身で人生を決めている」と主張。同書籍の出版に関連して、のぶみ氏が自身の公式Instagram上で「病気のマルを選ぶ子は神さまと病気をもって生まれても耐えられるママを選ぶそうだ」「自分がうまれたらひどいことされるとうまれるまえにすでにわかっていておなかへとびこむ」(現在は削除)などとイラスト付きで投稿していたようで、Twitter上では以下のような疑問の声も上がっている。
「自分は病気で産まれた者ですが、健康に産まれたかったですね」(原文ママ、以下同)
「東ちづるさんは、のぶみの独特な思想(子供が生まれる前に親や病気や人生を選んで産まれてくる…)にモヤモヤしないのだろうか。母親・女性を慮っているようにみえて、相当、無神経なことを言っているように思えるのだけど」
MAZEKOZEアイランドツアーのオフィシャルパートナーである日本航空(JAL)関係者は「こんなことになっているなんて知らなかった。弊社も運営に噛んでいますが、基本的に組織委の采配だと思います。オリパラ関連の文化イベントは協力を仰ぐクリエイターの数が膨大なことになっているので、過去の言動などを詳細に調べた上で起用していないのかもしれません」と困惑気味に語った。
小山田氏や「のぶみ氏」に限らず、五輪関連イベント参加者のネット上での“身上調査”が活発化している。東京五輪開幕まであと2日。予断を許さない状態が続く。
(文・構成=編集部)