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ワークマン、4月に銀座に初出店…怒涛の出店攻勢で1500店体制へ、超効率経営

文=Business Journal編集部
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「#ワークマン女子」の店舗

 作業服販売チェーン、ワークマンは4月28日、「#ワークマン女子」の旗艦店を東京・銀座にオープンする。銀座4丁目の交差点からほど近い商業施設「イグジットメルサ」(東京・中央区)の5階に出店する。

 店舗面積は300平方メートル。シャツ、パンツ、ジャケットなどのカジュアル衣料を扱う。中心価格帯は郊外店と同じで2500円前後。レディーススーツ(上下セット4800円)、耐水性と透湿度を高めたレディースレインスーツ(同4900円)、テントやタープなどのキャンプ用品も販売する。

 銀座への出店で40~50代の女性の取り込みを確実にしたい考えだ。銀座店は、現在の一番店である「#ワークマン女子」コレットマーレ店(横浜・桜木町)を上回り、年間6~7億円の売り上げを見込む。

 従来、作業服など男性向けが中心だったが、2018年、一般向け高機能衣料「ワークマンプラス」を開始。急増した女性客向けに20年10月から「#ワークマン女子」の出店を始め、現在、11店舗を展開している。横浜・桜木町や大阪・難波に出店しているが、東京都心は初めてとなる。さらに6月にサンシャインシティ(東京・池袋)に都内最大の売り場面積の店舗を開き、4月には大阪・難波の既存店を1.6倍に増床し、新業態の「ワークマンシューズ」を併設する。23年3月期は銀座店を含めてあと15店の出店がほぼ決まっている。

「#ワークマン女子」は都心の商業ビルに20店舗を出店し、認知度向上を図った上で、毎年30~40店舗のペースで路面店を単独で出店していく計画だ。キャンプ用品の販売をオンラインストアで始めた。アウトドア衣料で磨いてきた高機能の加工技術を応用し、キャンプ初心者でも手が届きやすい価格に抑えた商品を一式そろえた。キャンプ用品では後発だが独自性を武器に、新しい領域を切り開く。小型テント4900円(税込)、イス1780円など、初心者向け5点セットを1万円以下で売り出す。

 2月22日、東京・品川で開いた新製品発表会で、土屋哲雄専務は「一番の目標はキャンプのハードルを下げること。気軽に第一歩を踏み出せるようにしたい」と語った。キャンプ用品は、主にインターネットで注文を受け付ける。倉庫から直接、店舗に送り、店で受け取ってもらうかたちの限定販売にする。ワークマンの標準店舗の面積は330平方メートル程度だから、テントなど大きなキャンプ用品を置くスペースはない。オンライン注文によって全国940店舗(22年1月末時点)で受け取れるクイック&コレクト方式にした。

 キャンプ用品の5年後の売上高目標は200億円。これを達成できればキャンプ用品大手、スノーピーク(新潟県三条市、東証1部上場)の257億円(21年12月期)に肉薄することとなり、市場での存在感は大きくなる。

土屋専務がマーケット戦略を担う

 ワークマンプラスの快進撃を支えているのが土屋専務である。東京大学経済学部卒、三井物産に入社後は社内ベンチャーで数々の新規事業を立ち上げ、三井物産デジタル社長を務めた。06年、取締役執行役員として入った三井情報開発(現・三井情報)ではコンサルティング事業を立ち上げた。

 12年、親族である創業者の土屋嘉雄氏(当時会長)から、最高情報責任者(CIO)としてワークマンに招かれた。嘉雄氏は流通大手ベイシアグループの創業者。スーパー大手のベイシア、家電量販店のベイシア電器、ホームセンターのカインズなどを傘下に置いている。カインズは東急ハンズを買収することで流通業界で話題をさらった。ワークマンは1982年に設立した。

 土屋専務は嘉雄氏の長男でカインズ会長の土屋裕雄氏とは従兄弟の間柄だ。ワークマンは作業服というニッチな市場で圧倒的なナンバーワンだったが、「この40年間、競争したことがない。競争したら負ける」と土屋専務は思っていたという。

 そこで、競争しなくていい市場、新たなブルーオーシャン市場を目指すことにした。土屋専務が掲げた目標は「データ経営」と「客層拡大」の2つだけ。データ経営は、どのような製品を開発し、どれだけ調達して店舗に配置し、どのように販売するかというサプライチェーン・マネジメントの全社員による最適化だ。社員280人のほぼ全員がマイクロソフトの表計算ソフト「エクセル」を使う。

 ワークマンはフランチャイズチェーン(FC)方式をとり、各店舗は加盟店の店長が運営している。スーパーバイザーはFC本部と加盟店をつなぐ役割を果たし、1人で平均10店舗の運営を支援する。本社のデータにアクセスし、受け持ちの店舗の売り上げが最大化になるようエクセルで商品の発注数や陳列数、在庫数、配置の最適解を計算して店長に提案する。店長は提案を受け入れるだけでよく、発注の業務から解放される。

 データ経営の結果どうなったのか。FC店が増えても店舗をデータで管理するワークマンの社員は増えていない。ワークマンは売上高に対する固定費(特に人件費)の比率が年々下がった。「売上高が半減しても営業赤字にならない超効率経営」(土屋専務)を実現した。22年3月期のチェーン全店売上高は前期比6%増の1561億円、営業総収入は7%増の266億円、営業利益は8%増の266億円、純利益は7%増の181億円の見込み。

 アウトドアやスポーツ向け衣料品を豊富に扱う「ワークマンプラス」の出店が続いており、女性向けの「#ワークマン女子」の新店も寄与する。利益率の高いプライベートブランド(PB)の全店売上高に占める割合は21年4~12月の実績で前年同期より2.8ポイント高い62.4%となった。

 キャンプ用品への参入を機に、オンラインで商品を受け取るクリック&コレクトを重点的に強化する。「受け取り拠点として都心の店舗を機能させる」(土屋専務)方針だ。店舗数は現在の940店舗から30年までに1500店舗体制とする。ワークマンはロードサイドや商業施設に出店する際、賃料を売上高の3%以内に抑えることを基本方針としている。アパレルの店舗だと10%前後、場所によっては20%を超える場合もある。

 銀座への出店にあたって、出店基準を4%程度に緩和した。土屋専務は「ブランド力を高めるため、銀座は採算が悪くても出す」と述べている。今後、都心でも、きちんと利益を上げられる新たなビジネスモデルを構築しないと、都心での出店にブレーキがかかりかねない。銀座への出店は快進撃を続けてきたワークマンの試金石となる。

(文=Business Journal編集部)

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