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村上ファンド系、なぜ建設会社の株式を次々と取得してるのか?

文=Business Journal編集部
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「gettyimages」より

 中堅ゼネコンの大豊建設(東証プライム上場)がセメントや医療関連事業の麻生(福岡県飯塚市、非上場)の傘下に入る。麻生を引受先とする第三者割当増資で新株を850万株、1株4750円で割り当て、大豊建設は7月19日付で403億円を調達する。麻生の持ち株比率は50.74%となる。

 調達した資金をもとに大豊建設は自社株885万株を総額420億8050万円(1株4730円)でTOBで買い付け、消却する。21年末時点で発行済み株式の38.66%を保有している筆頭株主のシティインデックスイレブンス(東京渋谷区)はTOBに応じる予定。TOBの期間は5月26日~6月22日である。これにより大豊建設と旧村上ファンド系との対立は解消に向かう。

 村上世彰氏が関わるシティインデックスが20年10月に大豊建株を6.15%保有した。これ以降、買い増しを進め、40%弱を保有するまでになった。21年12月、村上氏がマネジメント・バイアウト(MBO)による上場廃止や上場維持する場合には、純資産圧縮による利益率の向上策などを大豊建設側に促した。この提案を大豊建設は最終的には採用しないと決める一方、麻生グループと資本提携について検討を始めていた。麻生が「ホワイトナイト(白馬の騎士)」を引き受けたことで、大豊建設は麻生グループに入ることを決めた。

 麻生は麻生太郎自民党副総裁の実家。実弟の麻生泰氏が会長、泰氏の長男の巌氏が社長を務める。麻生グループは医療関連事業や専門学校グループ、建設コンサルティング事業を手広く展開している。グループ社数102社、グループ総売上高は5139億円、グループ社員数は1万4548人(21年3月期末時点)を数える。

 巌氏はM&Aに積極的。2020年、東京都心の火葬場を独占してきた東京博善を傘下にもつ廣済堂株式の20.1%を取得して関連会社にしたが、僧侶たちが反発。21年、保有株を廣済堂に売却して撤退した。21年には東京・豊洲市場の水産卸、東都水産株式の36.5%を買い集め筆頭株主となった。

 18年、基礎工事大手の日特建設を子会社にしており、株式を上場する建設会社を傘下に持つのは、大豊建設が2社目となる。麻生は海洋土木大手、若築建設の株式を買い進めている。4月6日に提出された大量保有報告書(変更報告書)によれば、麻生の若築建設の議決権比率は19.86%。持分法適用関連会社の基準となる20%にあと一歩である。若築建設は北九州市の若松港を築造したのが会社の始まり。同じ福岡県を営業地盤とする麻生とは縁が深い。若築建設を傘下に収めれば、麻生の建設部門の売上高は日特建設、大豊建設と合算して3000億円規模となり、準大手1社分に匹敵する。

 麻生の投資は村上ファンド系を後追いしている点に特徴がある。アクティビスト(物言う株主)の攻撃を防ぐ防波堤の役割を果たすことで、狙われた企業を傘下に収める作戦を取ってきた。大豊建設のケースが典型例だが、結果的に村上ファンド系はボロ儲けすることになる。シティインデックスの大豊建設株の取得費用は243億円。これをもし337億円で売却したとすると、売却益は94億円程度になると試算されている。

 シティインデックスは他に三井住友建設株を6.25%、東亜建設工業株を9.35%、東洋建設株を7.31%保有している。村上ファンド系が次にターゲットにする建設会社は、どこなのかが注目される。

BusinessJournal編集部

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