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今年、平均株価3万円台の維持はあるのか?過去10年の分析から買いの好機を予想

文=島野清志/評論家
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今年、平均株価3万円台の維持はあるのか?
「gettyimages」より

「コロナウイルス関連のニュースを見ていると、どうしても株を連想してしまう」「分かります」――。旧知のベテラン個人投資家との、やり取りである。収束の見通しが定まらない深刻な感染症と、つまるところ投機にすぎない株を同列に並べるのは不謹慎かもしれない。ただデータ分析という点においては、実に似ていることは確かだ。

 たとえば日々の感染者数等の増減を株価の高安に置き換えれば、基本的な指標であるサイコロジカルラインになる。このところ報じられることの多い新規感染者数の7日平均にしても、株の世界では移動平均と呼ばれるテクニカル分析だ。扱う分野が異なるだけで、数値を追いかけて、その傾向を探る作業なのだから、相似形になるのも不思議ではないのだろう。

 個人的には逆ウオッチ曲線(株価と売買高の推移を描画して投資のタイミングを計る手法)は、感染状況の目安として応用できる印象はある。もっとも実際には解説書にあるようにわかりやすい曲線になることは稀で、それが難点になるのだろう。

 株式分析は投資家の数だけ存在する、といわれているが、その分、流行り廃りは激しいものがある。最近はあまり注目されていないようだが、日経平均株価の台替わり(1000円の上昇下落)に注目して、先行きを予測する手法があった。古い話になるが、早い時期からバブル崩壊を予測していた、山一證券の著名アナリスト・吉見俊彦氏が用いていた記憶がある。不透明感が強まっている時には、温故知新も良いのではないか。2013年以降概ね10年間にわたる平均株価の台替わりと、その傾向から、今後の展開や相場のヒントを探ってみたい。

次の大台替わりは困難?

 まず投資家の大多数が熱望しているのであろう、次の大台替わり、すなわち平均株価3万円台の維持は、ここまでの推移を見る限り、相当に困難であるといえそうだ。なぜなら現在より環境が落ち着いていた状況でも失敗しているからだ。昨年の平均株価は合わせて6回、一時3万円トビ台に乗せた。しかし、すべて次の台替わり(3万1000円台乗せ)は果たせずに跳ね返された。1万円台から2万円台への大台替わりに6回挑み失敗した2015年と同じパターンになっている。結局、平均株価が現在に続く2万円台を、ほぼ維持するようになったのは、2017年の秋以降になる。

 昨年の3万円乗せは、それを維持した日数に関しても心もとない。昨年終値ベースで3万円を維持したのは20営業日にすぎず、前の失敗にあたる2015年のケースの67営業日に遠く及ばない。

 もちろん市場は変化するものであり、今後劇的に環境が好転する可能性はある。しかし株価が青天井の展開になることが容易ではないのは、台替わりの内容からもわかる。2013年年初から今年8月末までで、上への台替わりが216回(52%)であるのに対して、下への台替わりは199回(48%)と、ほぼイーブンであり、上昇あるいは下落一辺倒の展開など、そうそう起こるものではない。

 ただ、指標が織りなす強弱2拍子のリズムを利用する手はある。偏った局面、大きく下押したところで買い出動をする方法だ。この10年間で、終値ベースで下への台替わりが3回以上続いた局面は8回あったが、すべて押し目買いの好機になっている。

【2013年以降で下への台替わりが3回以上続いた事例】

2013年5月-6月・1万4000円台→1万2000円台・2営業日後1万3000円台
2015年8月・1万9000円台→1万7000円台・翌営業日1万8000円台、3営業日後1万9000円台
2016年1月・1万8000円台→1万6000円台・翌営業日1万7000円台
2018年1月-2月・2万3000円台→2万1000円台・8営業日後2万2000円台
2018年10月-11月・2万3000円台→2万1000円台・6営業日後2万2000円台
※2020年2月-3月・2万2000円台→1万6000円台・3営業日後1万8000円台、29営業日後2万円台
2021年9月-10月2万9000円台→2万7000円台・3営業日後2万8000円台
2022年1月・2万8000円台→2万6000円台・2営業日後2万7000円台
2022年6月・2万7000円台→2万5000円台・2営業日後2万6000円台(※はコロナ暴落)

(文=島野清志/評論家)

 

島野清志/経済評論家

島野清志/経済評論家

1960年生まれ、東京都出身。経済評論家。早稲田大学社会科学部中退後、公社債新聞記者、一吉証券(現いちよし証券)経済研究所を経て92年に独立。以降、教育をはじめ、経済、株式などについての著述、評論活動をおこなう。93年から続く『危ない大学・消える大学』シリーズのほか、『この会社が危ない』『この会社が勝つ』『就職でトクする大学・損する大学ランキング』各シリーズ(共にエール出版社)など著書は100冊を超える。

Twitter:@simanokiyosi

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