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麹町郵便局の配達員、客に暴言・暴行…郵便物の廃棄・不配続出、根深い構造的原因

文=Business Journal編集部
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「gettyimages」より

 29日付「週刊女性PRIME」記事は、9月に麹町郵便局の配達員が配達先宅の女性に暴言と暴行を加える事件が起きていたと報じた。「週刊女性」によれば、配達員は女性に「なに、待たせるわけ? 面倒な客にあたったよ」などと文句を繰り返した上で、女性を突き飛ばし、女性は車いす生活を強いられるほどのケガを負ったという。

 郵便局員による不祥事は絶えない。最近の事例を挙げるだけでも、以下のように枚挙に暇がないといえる状況だ。

・2021年11月、東京都内の郵便局の配達員が、クレジットカードや商品券などが同封された郵便物を着服していたことが発覚。

・同年12月、東舞鶴郵便局(京都府舞鶴市)の郵便局の配達員が、郵便物365通を空き家の敷地内に廃棄していたことが発覚。

・同月、宮崎県三股町内の空き家の納屋から配達されていない郵便物など計1244通が見つかったと日本郵便が発表。当該の配達を担当していた都城郵便局の元社員とは連絡がとれないと説明。

・同月、埼玉県内の郵便局の配達員が、配達先宅の施錠された郵便受けを勝手に開け、定形外郵便を入れるという問題が発生。

・今年4月、岡崎郵便局(愛知県岡崎市)の配達員が、21年10月から22年3月にかけて郵便物801点を配達せず、自宅などに隠していたことが発覚。

・5月、美原郵便局(大阪府堺市)の配達員が、郵便物とゆうメール計1万3016通・個を配達せず、雑木林に捨てたり自宅に隠したりしていたことが発覚。

・8月、堅田郵便局(滋賀県大津市)の配達員が配達前のゆうパック2個を盗んでいたことが発覚。

想像を超える配達員のストレス

 問題を起こした元局員は懲戒解雇となったり、郵便法違反で逮捕されたりしているが、なぜ問題が絶えないのか。元郵便局員はいう。

「郵便局の配達員は全国で10万人以上おり、そのなかには確率論的にどうしても問題を起こす人が一定数存在してしまう。また、誤配が許されないのは大前提だが、配達員は一人で一日当たり1000通ほど配達することもザラで、それだけの数を毎日配っていていて年間で1度もミスしないで済むというのも非現実的。誤配を起こせば上司から怒られたり始末書を書かされたりもするので、誤配を頻繁に起こしてしまう配達員や、なかなか効率的に配達できずノルマをこなせない配達員のなかには、出社拒否になったり精神疾患を患ってしまう人も出てくる。

 効率良く回れるように事前に配達ルートを計画しても、再配達の依頼をしたお客が不在だったり、指定の配達時間帯より少し早かったり遅かったりしただけで文句を言われたりと、世間が思う以上に、ストレスが多い仕事。ネット上では“配達員の態度が悪い”といった書き込みも見られるが、あくまで多くの郵便物を正確に届けることが仕事なので、それだけで精一杯で愛想まで求められても困るというのが正直な感想」

 一連の不祥事を受けて日本郵便は再発防止策として、以下項目が書かれたチェックシートを作成し、全配達員に記入と署名の上で提出させるという施策に乗り出した。

・郵便物等を「曲げる・折る」などの無理な投函はしません。
・郵便受箱に鍵が付いている場合は、施錠の有無にかかわらず、扉を開けての配達はしません。
・郵便受け箱の差し入れ口に入らない郵便物等の場合、取り出し口を無断で開けません。
・郵便受け箱に投函できない場合は、対面配達を試み、受取人が不在の場合は「不在配達通知書」を投函します。

 これについて、元郵便局員の「マロン」さんは自身のYouTubeチャンネル「マロンチャンネル」内で配信した5月18日付動画内で、次のように語っている。

「実際に現場で実践することが不可能なこと、または実践してたら仕事が終わらないようなこと、取り組みとしてルールとして決まる。今回のチェックシートも実際にできない。確実に現場は回らない。『会社として、こういう指導をしています』、配達員に責任を押し付けることができる。僕は郵便局のこういうところが一番嫌いです。理想だけ書いてそれにサインさせて、あとは『何かあったら、お前たちの責任だぞ』っていうやり方」

配達員とお客の間でのトラブルの処理

 今回「週刊女性」が報じた事案で不可解なのが、被害女性への麹町郵便局の対応だ。いったんは郵便局の部長が被害女性に謝罪に訪れたものの、その直後に部長は女性に「警察から相互暴力と聞いています」と連絡。そこで女性が警察に相談したところ、今度は郵便局から“局長が謝罪に訪れる”と連絡が入ったものの、「週刊女性」が麹町郵便局に問い合わせた数日後には実態が一転。なぜか郵便局側は女性に対して、局長は面会しないと伝えているのだ。

「通常、誤配や、配達員とお客の間でのトラブルは各郵便局内で対応して事を済ますことが大半で、いちいち本部(日本郵便の各支社)にまで情報を上げない。もし本部に情報が上がれば局長は面倒な対応に追われることになるし、トラブルが続けば本人の評価にも影響が出るかもしれない。

 今回、郵便局がいったん“局長が謝罪に行く”と伝えたもののそれを反故にしたのは、週刊誌が取材に動いたことで本部が事態を把握するところとなり、局の独断で勝手な動きをするなという話になったからではないか」

(文=Business Journal編集部)

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