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パリピ気分よりロッテ「ラミー」のほうが不親切?溢れるアルコール含有非表示の食品

文=編集部、協力=垣田達哉/消費者問題研究所代表
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UHA味覚糖「パリピ気分」(「Amazon.co.jp」より)

 アルコール分2%入りのソフトキャンディ「パリピ気分」(UHA味覚糖)がコンビニエンスストアの菓子棚に陳列され、一部の未成年者の間で「酔えるグミ」として流行しつつあることが問題視されている。パッケージにはクラブのミラーボールのイメージイラストとともに「キャンディ食べて、アゲアゲハッピー」という文字が躍っており、未成年者でもレジで購入時に年齢確認を受けないことから、陳列方法の見直しを求める声もあがっていた。

 先月発売された「パリピ気分」に世間の関心が寄せられたきっかけは、NPO法人「ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)」の社会対策部薬物担当者が今月4日にTwitterに投稿した次のツイートだった。

<【注意喚起】#酔えるグミ として一部で流行中の「パリピ気分」ですが、コンビニ等のお菓子売り場でも陳列されています。保護者が注意書きを見落とす恐れがありますので、販売店の方々には酒類同様の取り扱いを徹底していただきたいです。大人の責任として、子どもが口にすることを一緒に防ぎましょう>

 商品パッケージの左上には「アルコール分2%入り」と記載されているが、SNS上ではアルコール入りだと気がつかずに購入したという声も多い。また、左上の端には「お子様や運転時はご遠慮ください」とも書かれているが、フォントは小さく、開封すると捨てられる場所に印字されている。そのため、Twitter上では次のような反応が寄せられている。

<もう少しで子供に食べさせるところだった 運転中に口に入れたらどうするんだって?>(原文ママ、以下同)

<子供が手に取れる場所で、危険性の感じないパッケージで、注意書きも開封したら切れる場所で(裏に小さく書かれてるのは注視されない)、なぜこれでGO出たのか疑問レベル>

<おれがアル中だった頃にパリピ気分とかいう酒キャンディが存在していなくて良かった。爆食して死んでた>

<商品の企画を通した人たちは、なんでこんなリスクの高い企画を通してしまったんだろう>

<こんな子供がほしがるパッケージにする必要は無い>

<3個食べたら、じんわりくるね。普段、お酒を全く飲まないからね>

<時間が経って来ると、酔いますね>

 食品業界関係者はいう。

「未成年者に限らず、妊婦や自動車を運転中の人、常用する薬とののみ合わせの関係でアルコールを摂取してはいけない人、アルコール中毒の治療中の人、体質的にお酒を受け付けない人、極度にお酒に弱い人など、アルコールを避けなければならない人は意外に多い。それを前提に考えると、『パリピ気分』の商品コンセプトやパッケージ、陳列場所といったあらゆる面において、無用なトラブルを生じさせる要因を含んでいるという誹りは免れない」(1月12日付当サイト記事より)

 パリピ気分のほかにも、以前からアルコールを含む菓子は広く販売されている。たとえばロッテの「ラミー」はアルコール分3.7%入り、同社の「バッカス」はアルコール分3.2%入りで、ともにロッテの定番商品といえる。また、明治の「メルティーキッス くちどけラム&レーズン 4本」もアルコール分3.8%入りで、アルコール入りチョコレートは一定の市場規模を持つジャンルとして確立されているほか、店頭には数多くのアルコール入り食品が並び、消費者は年齢確認を受けずに買うことができる。

 では、なぜパリピ気分はここまで批判を浴びてしまったのか。消費者問題研究所代表の垣田達哉氏に解説してもらう。

アルコール入り食品、過去にもたびたび注意喚起

 酒類は、酒税法で「陳列場所」や「アルコール分の表示」「年齢確認」などの規定が定められているが、酒類の定義は「アルコール分1%(1度)以上の飲料」となっている。今回問題とされたパリピ気分は、飲料ではないので酒税法の適用は受けない。菓子類では、法律ではないが「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」という業界の表示基準があり、「アルコール分が1%以上含まれている場合は、そのアルコールの含有率を表示する」ことが決められている。ただし、パリピ気分はチョコレート類には含まれないので、アルコール含有率を表示する必要はない。

 チョコレート類も含め酒類でない食品は、アルコールがどんなに含まれていても年齢確認も行われず、陳列場所に関する規定も適用されない。つまり、パリピ気分はアルコール含有率の表示も年齢確認も必要がない。法的な問題は一切ないということになる。

 では、法律的な問題は別にしても、アルコール分が2%も含まれている菓子を販売する企業の姿勢として問題はあるのだろうか。アルコール入り菓子といえば、昔からあるウイスキーボンボンに代表されるチョコレート菓子だろう。ロッテのラミーの場合、表側には「洋酒使用 アルコール分3.7%」と大きく表示され、その下に「お酒が入っていますので、運転時などにはご遠慮ください。」と小さく表示されている。裏面には「お子様やアルコールに弱い方、妊娠・授乳期の方、運転時などはご遠慮ください」と表示されている

 パリピ気分にも、アルコール分2%の表示は表側になされ、裏側には「本製品はアルコール原料を使用していますので、お子様やお酒に弱い方、妊娠・授乳中の方、運転時にはご注意ください」と書かれている。ただ、表側の「お子様や運転時はご遠慮ください」という表示が上部の端になされているので「開封すると切り取られるので見えなくなる」と指摘されている。開封すると見えなくなるとはいえ、ラミーには裏面にしか表示されていない子どもへの注意喚起表示が表側にある。目立たない表示という点では、どちらも大差はないが、ラミーよりパリピのほうが親切な表示である。

 今回の問題で一番注目すべきは「ソフトキャンディにアルコール」という意外性だろう。アルコール入り食品は数多くある。ケーキなどの洋菓子、酒まんじゅうなどの和菓子はもちろんのこと、アイスクリーム、ゼリー、プリン、酒粕や奈良漬けなどの漬物類、甘酒、栄養ドリンク剤など、かなりの品目数になる。

 チョコレート以外の酒類でなければ、アルコール分の含有率も、子どもへの注意表示も必要ではない。というより、ほとんどのアルコール入り食品には、含有率は表示されていない。そういう意味では、注意表示や含有率を表示したUHA味覚糖には、消費者に親切な表示をしたという点では良心的だ。ただし、どちらかというと子ども向け商品が多い同社が、子どもが大好きで簡単に手に入るソフトキャンディに2%ものアルコールを含有させることは、その企業姿勢が問われる可能性はある。

 UHA味覚糖が今後アルコール入りソフトキャンディを販売しないとしても、これだけバズった商品を販売しようとするメーカーは出てくるだろう。大人向けとしては、手軽にほろ酔いになれ、人目も気にならないのは大きな付加価値になる。

 アルコール入り食品は、過去にもたびたび注意喚起されている。2016年には国民生活センターが身近な消費者トラブルQ&Aで「チョコレート菓子を食べたら酔っぱらった?」と題して「全国の消費生活センターには、アルコール入りと気づかず菓子類(アイスクリーム、ケーキ、ゼリー、チョコレート、プリン、和菓子など)を食べてしまった、という事例が寄せられています」と紹介し「原材料名表示で、洋酒、酒精、粉末酒など酒の文字が使われているかどうかを確認しましょう」と注意喚起している。

 しかし、どんな情報でも多くの消費者には届きにくいものだ。今回の専門家の指摘は、食品メーカーよりも消費者への警鐘という点では、大きな意義があったといえる。

(文=編集部、協力=垣田達哉/消費者問題研究所代表)

酒類の売り場コーナー案内板の例

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垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家:外部執筆者

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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