だが昨年、個人株主と日枝氏のバトルは第2ラウンドに突入した。フジHDが株主総会で決議した「日枝会長ら16人の取締役の選任」「取締役16人と監査役5人に対する賞与2444万5500円の支給」の2議案を無効として、個人株主が取り消しを求める訴えを起こした。日枝総会議長の不公正な議事運営などを、提訴の理由に挙げた。
これに対しフジHD側は11人の大弁護団を編成して応戦する騒ぎとなった。今年の株主総会で日枝氏の選任が否決されることはないとの見通しだが、賛成票の割合に関心が注がれる。他の取締役の賛成票が90%を上回る中で日枝氏がそれを割り込めば、日枝体制への痛烈な批判になる。
フジHDは業績不振から抜け出せずにいる。15年3月期の売上高は前期比0.2%増の6433億円と横ばい。本業の儲けを示す営業利益は18.7%減の256億円と2期連続の減益だ。主力の放送事業は視聴率が低迷したため、営業利益は26.6%減の133億円と大幅な減益となった。
気を吐いたのは都市開発事業で、売上高は31.6%増の571億円、営業利益は37.2%増の73億円を上げた。同事業の増収が寄与し、フジHDの売り上げは横ばいを保ったが、営業減益は放送事業、映像音楽事業、生活情報事業の不振がストレートに響いた。
日本テレビが地上波で4年続けて全日帯(午前6時~翌日午前0時)の平均視聴率トップだ。その結果、持ち株会社の日本テレビHDの15年3月期売上高は6.1%増の3624億円となり、フジHDと明暗を分けた。
フジHDの16年3月期は広告収入が増える見込みで、売上高は4.1%増の6700億円、営業利益は17.8%増の302億円と増収・増益の計画を立てている。「同社にとって最大のネックは、日枝氏を筆頭とする長老支配」とみる株主も多く、今年の株主総会では波乱も予想されるため注目が集まっている。
(文=編集部)