株主総会では、嘉納修治副社長(65)が社長に昇格し、太田英昭社長(68)は関連会社の産経新聞社会長に転じる。日枝久会長(77)は続投。今年の総会の主役も日枝氏だ。昨年の株主総会では株主から「日枝体制」に疑問を呈する株主提案が出されたが、同様の株主提案がすでに提出されている。
株主総会の議案は、会社提案が日枝氏、嘉納氏など取締役16名選任など第1号議案から第5号議案までだ。株主提案は第6号議案から第14号議案までで、ポイントは第14号議案の定款一部変更の件(役員の在任期間制限)である。定款に「役員のうち、取締役はその在任期間が25年を超えないものとする。役員のうち、監査役はその在任期間が8年を超えないものとする」との条文を付け加えることを提案している。提案理由は次のとおりだ。
「当社は役員の在任期間の長期化と高齢化による弊害が指摘されている。日枝久代表取締役会長(77歳)は、昭和58年に当社の取締役に就任して以来、その座に32年間(今年6月時点)も就いており、代表取締役には昭和63年の社長就任以来、27年間も在職している。本年3月16日付の朝日新聞は『傲慢トップ 経営リスク』との見出しを掲げた記事で『長く権力の座にあると、周囲が見えなくなる』と警告している。当社はフジテレビが敗北したことで、業績不振に陥っているが、その主因は日枝会長にある。ほかにも松岡功(80歳)が、27年間も取締役を務め、監査役でも茂木友三郎(80歳)が12年間、尾上規喜(80歳)が10年間、南直哉(79歳)が9年間在任。役員の長期滞留の状況を打破して、時代の変化に即応できる経営体制を構築することが急務である」
これに対しフジHD取締役会は、「その適性は在任年数だけで判断すべきものではない」として、株主提案に反対している。
株主総会の焦点
昨年の株主総会では10項目の株主提案があったが、その柱は取締役と監査役の「75歳定年制」。経営陣の高齢化が業績低迷につながっているのではないか、というのが提案理由だった。だが、2.58%の賛成しか得られず、あっさり否決された。会社提案の取締役16名選任議案は可決され、日枝氏には93.42%の賛成があった。