ソニーは昨年パソコン事業から撤退し、7月には不振のテレビ事業を分社化した。その結果、テレビ事業は11年ぶりに黒字化したことを受け、平井一夫社長は構造改革路線と経費削減の成功を強調した。独立性を高めて経営の意思決定スピードを上げるためにも、エレクトロニクス事業で順次分社化を進めることを明らかにした。
15年から17年の第二次中期計画では、それぞれの事業を「成長牽引領域」「安定収益領域」「事業変動リスクコントロール領域」の3つに分け、収益性重視とメリハリの利いた資源投下を重視した事業運営を目指すという。
成長牽引領域には、デバイス、ゲーム&ネットワークサービス、映画、音楽が入っている。安定収益領域は、カメラに代表されるようなイメージング・プロダクツ&ソリューション、ビデオ&サウンドの2つ。事業変動リスクコントロール領域には価格競争が激しい分野、テレビ事業とモバイル・コミュニケーションの2つを挙げた。15年度はスマートフォン(スマホ)事業の構造改革を行うとしている。
なお、18年度以降期待できる分野としては医療事業を挙げている。超高齢化社会を迎えて医療事業が成長産業であるのは間違いないが、開発から認可を経て収益を確保するまでに時間がかかる側面もある。オリンパスとの提携がいつ大きく花咲くかが注目される。
株主からの厳しい追及
質疑では、一般株主から厳しい質問がいくつか出た。
「固定費削減を進めるばかりで、“感動を与える”商品をつくれるのか。有能な人材が流出して上司の顔色をうかがうような社員ばかり残ってしまわないか」
これに対して平井社長は「エンジニアは大切にしている。今のところ大きな損失は出ていない」と答えた。また、こんな指摘も向けられた。
「『週刊東洋経済』(東洋経済新報社)によれば、『5年間で広告宣伝費を増やしたトップ100社』にソニーが第3位で入っている。しかも5年前に比べて379億円増。一方、パナソニックは削った100社に入っている。広告宣伝費の使い方が効率悪い。広告を減らせば、損失は圧縮できる」