長男の克仁氏は任天堂の企画部長。長女の荒川陽子氏の夫は元米国任天堂社長の荒川實氏。彼ら親族は、莫大な相続税を支払うため保有株式を売却せざるを得なくなり、任天堂がいったん受け皿となり、引き取った。その結果、山内家は筆頭株主でなくなった。
【任天堂大株主】(所有株式割合)
※以下、株主名、株式所有割合(13年9月末時点)、同(15年3月末時点)
※単位は%
山内溥、10.00、――
米ジェーピー モルガン チェース バンク、8.98、10.89
米ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー、6.87、9.65
京都銀行、4.50、4.15
野村信託銀行、3.36、3.36
日本トラスティ・サービス信託銀行、2.90、2.21
日本マスタートラスト信託銀行、1.99、2.12
山内克仁、―― 、1.98
3.03%の株式を相続した山内克仁氏の持ち株比率は1.98%にとどまる。所有割合を増やしたのは米銀行の2社。自社株式950万株を1142億円で引き取った任天堂の15年3月末時点での自社株(自己株口)は16.4%だ。もともとあった自社株分(9.74%)に山内一族が相続した株式を引き受けた分が加わり、2.329万株(16.4%)分を保有するかたちになっている。
任天堂は14年1月に1250億円の自社株取得枠を設定し、「山内氏の親族4人が株を売却する場合、自社株買いに応じる」(岩田氏)を明らかにしていた。取得した株式はM&A(合併・買収)を実施する際の株式交換に使うとしていた。
山内家は創業家であるが、もはや筆頭株主の座からすべり落ちた。「克仁氏は岩田氏の死去に伴い取締役に昇格することはあっても、社長になることはない」(業界筋)との見方が一般的だ。
(文=編集部)