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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

だからあなたのプレゼンはつまらない!コンペで負け続ける根本的理由

文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授

汗をかこう!

 IT化が進展している現代においては、あらゆるデータがインターネット上に掲載されています。しかしながら、そうしたところから持ってくる借り物のデータと、自らが足を使い企業や消費者に直接インタビューやアンケートを行ってつくられたデータとでは、重みがまったく異なります。自ら調査し、データを作成することにより、借り物のデータでは見えなかった点が明らかになる場合も往々にあるはずです。こうなれば自然とオリジナリティに富む分析や提案につながるはずです。

 優秀な人はそれだけ多くの知識を持ち、一般的なパターンも習得している場合が多いようです。これは重要なことですが、裏を返せば、自らではあまり考えず、対象としている企業にいかにフィットした戦略を構築するかも忘れ、「こういう場合はこういうパターンだよね」と処理しがちになるような気がします。こうして導出された戦略には致命傷こそないかもしれませんが、なんかどこかで聞いたような話、つまり他社との競争優位性の創出にはならない場合が多いでしょう。

ワクワクさせて!

 審査項目には、論理性や実現可能性など、実に正しい項目が並べられており、これらになんの文句もありません。しかし、事務局には怒られてしまうかもしれませんが、筆者は勝手にワクワク度というものを設定し、これを重視して論理性や実現可能性の点数はワクワク度に応じて従属的に振り分けています。なぜなら、参加者の皆さんは優秀ゆえ、論理性や実現可能性などの項目では大差ないからです。また、個人的な感想として、論理性や実現可能性などはもちろん重要なファクターですが、何か点取り虫ごっこっぽいとも感じてしまっています。

 それに比べて、ワクワク度でいい点を取ろうと思うと、まず「凡人は筆を選べ」精神で良いネタを探し出し、いっぱい汗をかいて自らがデータを作り出し、オリジナリティに富む提案を行ってもらわなければなりません。小手先のことで人の心は動きませんから当然です。

 ずいぶん昔になりますが、中山美穂さんのヒット曲に「WAKU WAKUさせて」(キングレコード)というものがあり、その歌詞の中で「みんな臆病過ぎるわ」というフレーズが出てきます。確かに、臆病な人間が他人をワクワクさせるのは、どだい無理な話でしょう。

 皆さんの厳しい上司や顧客だって人間です。どのような案件でも、覚悟を持ってワクワクする提案を行えば、必ずやOKを得られるでしょう。
(文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授)

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授。1968年、大阪市生まれ。民間企業等勤務後、長崎総合科学大学・助教授、名城大学・教授、神奈川大学・教授、ワシントン大学・客員研究員、デラサール大学・特任教授などを経て現職。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)。著書に、『プレミアムの法則』『「高く売る」戦略』(以上、同文舘出版)、『ITマーケティング戦略』『日本の携帯電話端末と国際市場』(以上、創成社)、『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』『すごい差別化戦略』(以上、日本実業出版社)などがある。

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