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ルネサス、初の黒字でも崩壊危機?リストラ&給与減で人材流出、有力事業なく競争力低下

文=田沢良彦/経済ジャーナリスト
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 円安や自動車用マイクロコンピュータ販売拡大などの追い風も吹いたことで、業績は回復に向かい、15年3月期の営業利益は前期比54.45%増の1044億円を確保、最終損益も前述の通り黒字転換を遂げた。

 こうした経緯から、同社は「経営再建の総仕上げに入った」(外資系証券会社関係者)といわれているが、赤字体質要因がすべて解決されたわけではない。業界関係者の1人は「何より、社員の士気低下が半端ではない」と顔をしかめる。

給与減額の恒久化と退職勧告の制度化で、社員の士気はボロボロ

「10月から、基本給を7.5%減額する」

 昨年8月中旬、ルネサスの各事業所で総務部員による給与削減説明会が行われた。その内容は、基本給の減額に加え、住宅・家族手当の廃止および減額などにより、月額給与を平均10%削減するという厳しいものだった。

 同社では、従来から緊急対策的に期間限定の給与減額が行われてきたが、今回の減額は恒久的な措置だ。同社は、これについて「固定費削減が目的ではない。これまでの親会社が属している電機業界ではなく、我々が属している半導体業界に則した給与体系に改めるのが目的だ。このため、給与分を減額するが、賞与分は引き上げる。これで、業績に連動した給与体系になる。業績を見れば『今期は、これぐらいの賞与が出る』と事前にわかるようになるので、モチベーションも上がる」(同社関係者)と、社員に対して大真面目に説明したという。

 新給与体系の参考にしたのは、大手コンサルティング会社の調査を元にした半導体業界上位18社の平均値だ。給与体系改革を推進した柴田英利取締役執行役員常務兼最高財務責任者(CFO)は、労使交渉で「半導体業界にふさわしい給与体系の下で、がんばった人が報われるようにしたい」と説明したという。

 この「がんばった人が報われる制度への移行」の露払いとして、昨年6月の夏季賞与支給に向けて導入されたのが、新人事評価制度だ。社員の1人は「新人事評価制度は、退職勧告の制度化にほかならない」と語り、経緯を以下のように説明する。

 上司から「キャリア相談会がある」といわれて出席すると、約40人の社員が集まっていた。その場で、「新制度では社員の働きを11段階で評価し、評価が0か1の社員は、キャリア相談室などの『新セカンドライフプラン制度』の適用対象になる」と説明された。

 賞与支給額も評価に連動する仕組みで、平均2.5カ月分が支給された昨年6月の賞与の場合、係長・主任クラスで0評価者は60万円だったのに対し、10評価者は191万円と3倍以上の差がついた。

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