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ココイチ創業者、株売却で220億円の利益 ボランティア活動に充当か 並外れた金銭感覚

文=編集部

ココイチ創業者、株売却で220億円の利益 ボランティア活動に充当か 並外れた金銭感覚の画像1「カレーハウスCoCo壱番屋」の店舗(「Wikipedia」より/Kici)
 ココイチの呼び名で知られる「カレーハウスCoCo壱番屋」を運営する壱番屋は、食品大手のハウス食品グループ本社(以下、ハウスG)の子会社になる。11月2日から12月1日までTOB(株式公開買い付け)を実施し、1株6000円で買い付け、ハウス食品グループ本社は出資比率を現在の19.55%から51%まで引き上げる。株式の取得に要する資金は300億円の見込み。壱番屋の上場は維持する。

 ハウスG傘下のハウス食品は「バーモントカレー」「ジャワカレー」「こくまろカレー」などカレー用ルウのトップメーカーで、2015年3月期の売上高は2314億円。

 一方、壱番屋は国内に1218店(9月末)を展開するカレー専門の外食チェーンで、15年5月期の連結売上高は前期比3%増の440億円、営業利益は6%増の45億円、純利益は14%増の27億円。自己資本比率73.6%、ROE(自己資本純利益率)10.4%という優良会社で、フランチャイズ店舗を含めたグループの店頭売上高は898億円だ。

 この両社の関係は深い。ココイチで使われるカレーの原材料は創業当時からハウス食品より供給を受けており、02年にはハウスGが19.55%を出資して第2位の大株主になっている。さらに04年にハウスGと壱番屋が共同出資会社をつくり、海外でココイチを出店。ココイチの海外店147店のうち中国(46店)、台湾(25店)、韓国(24店)は共同出資会社の運営だ。今後ハウスGは、子会社になったココイチの海外出店を積極的に後押しする。

「7月に創業者から株式を売却したいとの意向を伝えられた」。ハウスGが壱番屋を子会社にすると発表した10月30日の記者会見で、壱番屋の浜島俊哉社長はこう説明した。

 ココイチの創業者は宗次徳二・直美夫妻。夫妻の資産管理会社で筆頭株主であるベストライフの保有分を含む23.17%相当分について、ハウスGはTOB(株式公開買付)に応じる。夫妻は単純計算で220億円のキャッシュを手にすることになる。

 世間的には、友人が1人もいない非社交的な宗次氏より、社交的な直美氏のほうが有名だ。直美氏は98年に社長、02年から会長を歴任。「世界優秀女性起業家賞」を受賞している。02年5月、宗次氏は53歳の若さで経営から退き、19歳の時にアルバイトとして入社した浜島俊哉副社長を社長に起用した。

私財でクラシック専門のコンサートホールを建設

 宗次氏は経営の一線を退いた後、03年に音楽やスポーツの振興、福祉施設やホームレスへの支援のためのNPOイエロー・エンジェルを設立して理事長に就任した。

 壱番屋は04年3月、東京証券取引所と名古屋証券取引所2部に上場、05年5月に第1部に指定替えした。上場に際して宗次氏は保有株を放出、20億円以上を手にした。この時、宗次氏が直美氏と相談して出した結論は、「これは私たちの金じゃない。社会のために使おう」だった。そこで、宗次氏は株式公開で得たキャピタルゲインをクラシック音楽に使うことにした。

 07年3月、私財27億円を投じて名古屋市中心部にクラシック音楽専門のコンサートホール「宗次ホール」を建設。開館公演は五嶋龍氏がヴァイオリンリサイタルを行い、開館を記念して開催された第1回宗次エンジェルヴァイオリンコンクールでは長尾春花氏が第1位を獲得した。

 今回、壱番屋の株式売却で手にした220億円を基金として財団をつくり、ボランティア活動に充てることになる。
(文=編集部)

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