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高橋潤一郎「電機業界の深層から学ぶビジネス戦略」

英国のEU離脱で「重大問題」抱えた日本企業3社リスト…巨額買収直後に狂う経営戦略

文=高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役

 横河電機は、KBCの持つ石油・ガス産業向けコンサルティングサービスと、横河の制御機器事業を組み合わせて業務展開を図っていくという考えを持ち、欧州市場や世界市場で展開を目指していた。

 買収したのは、ロンドン証券取引所の新興企業向け市場AIMに上場する英国KBCアドバンスト・テクノロジーズ。買収は英国の法律に基づく「スキーム・オブ・アレンジメント」と呼ばれる手続きを用いて、KBCの発行済み株式のすべてを買収している。

 KBCは1978年の設立で、英国のほか、米国やシンガポールにも拠点があり、従業員は300人。石油・ガス産業向けにソフトウエアやコンサルティングサービスを提供、14年12月期の連結売上高は7595万ポンド(132億円)、当期純利益は407万ポンド(7億円)、同期末時点の総資産は9218万ポンド(172億円)、純資産は6627万ポンド(124億円)だった。

 4月に会社として過去最大の投資をして英企業を買収、そこから3カ月もたたないなかでのイギリスEU離脱は想定外の事態となった。

ブラザー工業

 もう1社、自社の歴史のなかで過去最大のM&Aをイギリスで行った企業がある。ブラザー工業は15年6月にロンドン証券取引所に上場していた産業用印刷機器の英ドミノ・プリンティング ・サイエンスを総額約1890億円(10億3000万ポンド)で買収、完全子会社化した。

 ブラザー工業はドミノを買収することで、これまで手薄だった産業用印刷機器市場への展開強化を図る計画だった。ちなみに16年3月期の連結売上高7458億円のうち、セグメント別の地域ごと販売で欧州市場は全体のおよそ4分の1を占める1897億円にまで達している。

 イギリスのEU離脱だけでなく、欧州市場全体の潮流の変化により、欧州戦略全体の見直しを求められている。
(文=高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役)

高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役

高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役

業界紙記者を経て2004年に電機業界の情報配信会社、クリアリーフ総研を創業。
雑誌などへの連載も。著書に『エレクトロニクス業界の動向とカラクリがよ~く
わかる本』(秀和システム)、『東芝』(出版文化社、共著)ほか
クリアリーフ総研

Twitter:@clearleafsoken

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