英国のEU離脱で「重大問題」抱えた日本企業3社リスト…巨額買収直後に狂う経営戦略
イギリスのEU離脱は、世界中に大きな衝撃を与えた。国民投票が実施された翌日、東京市場の日経平均株価終値は前日比1286円安と大幅な下げとなった。その後株価は一進一退を繰り返してはいるが、国民投票前の水準からは依然として大きく割り込んだままである。
イギリスのEU離脱の影響については、その後も楽観論と悲観論が交錯するが、それでも追随する動きなど欧州市場への不透明感があることは間違いなく、欧州戦略の見直しを余儀なくされている日系企業は少なくない。株価の低迷はそうした不安感の現れである。
また為替も、円高傾向はその前からあったが、さらにその流れを加速させるかたちとなり、日本の電機業界にとってはこうした円高進行が業績面で圧迫材料となることはいうまでもない。
クリアリーフ総研の調査では、イギリスに工場を持つ日系メーカーは電機業界だけでも50近くに達している。さらにほかに商社の支店もあり、提携相手・取引先となると日系企業全体では膨大な数になる。本稿では、電機業界で欧州ウエイトが高く、さらにイギリスへの関連度が特に強かった数社を採り上げる。
日本板硝子
日本板硝子は、世界的ガラス大手で自身より売上が大きかった英ピルキントンを2006年に買収しており、その影響で欧州向けウエイトが今でも高い。前期実績で欧州向けは、2本柱のうち自動車用では44%、建築用では35%を占める。
そもそもピルキントンの買収寄与は会社側の思惑通り進まず、日本板硝子はその後業績悪化に苦しめられたのは周知の事実。15年3月期にはようやく4年ぶりの黒字回復を果たしたものの、16年3月期には再び欠損に転落していた。
今期は、中国での結晶系太陽光発電用の型板ガラス事業からの撤退、ベトナムのディスプレイ用薄板ガラスの生産調整などを進め黒字回復を目指している。
ピルキントンを買収した際には「小が大を飲み込んだ」ともてはやされたが、その恩恵は結果的には期待外れで赤字経営が続いていることもあり、買収は失敗だったといわれている。こうしたなかでイギリスのEU離脱が決まり、業界再編のなかでさらに課題が増えたことはいうまでもない。
横河電機
横河電機は4月にロンドン証券取引所の新興企業向け市場AIMに上場している英KBCアドバンスト・テクノロジーズを買収したばかりだった。買収価格は300億円あまりで、横河電機の買収としては過去最大規模だった。