任天堂は12月15日から順次、人気ゲーム「スーパーマリオ」シリーズの新作「スーパーマリオラン」を、米アップルのスマートフォン(スマホ)「iPhone」やタブレット「iPad」向けに151の国と地域で配信する。スーパーマリオシリーズでは初のスマホ向け作品。一部は無料で遊べ、日本では1200円払うと追加料金なしですべてのゲームが楽しめる。
大ヒット中のスマホゲーム「ポケモンGO」は、米ゲームベンチャーのナイアンティックと任天堂の関連会社である株式会社ポケモンによる共同開発だが、スーパーマリオランは任天堂の自社開発のため業績に直接貢献する。任天堂の株価と業績回復に期待がかかる。
ポケモンGOが利益をもたらした
世界中でブームを巻き起こしたポケモンGOが任天堂に利益をもたらした。2016年9月中間決算では、ポケモンのブランドを管理するポケモン社から受け取る営業外利益が、前年同期より105億円多い120億円となった。任天堂はポケモン社に32%出資しており、持ち分に応じて利益を得る。
また、任天堂は筆頭オーナーだった米大リーグ球団シアトル・マリナーズの所有権を8月に一部を残して売却し、売却益627億円を特別利益に計上。ポケモン社からの営業外利益とマリナーズ売却の特別利益で、純利益は前年同期の3.3倍の382億円となった。
だが、任天堂本体の業績は芳しくない。据え置き型ゲーム機「Wii U」向けソフトが伸び悩み、そこに円高が追い打ちをかけた。売上高は前年同期比33%減の1368億円と大きく落ち込んだ。営業損益は前年の89億円の黒字から59億円の赤字に転落した。
17年3月期通期の予想についても、売上高は5000億円から4700億円に、営業利益は450億円から300億円に引き下げた。ただし、純利益はマリナーズの運営会社の持ち分売却益が寄与するため500億円と3倍に増える。
ポケモンGOとの相乗効果
ポケモンGOは任天堂にいくら利益をもたらすのか――。ポケモンGOの世界配信が始まると株式市場の関心はその1点に集中した。7月22日、日本でもポケモンGOが配信されたが、期待は急速に萎んだ。任天堂がポケモンGOについて連結業績に与える業績は「限定的」と発表したからだ。
ポケモン社はポケットモンスターの権利保有者として、ゲームの開発・配信を手掛けるナイアンティックからライセンス料を受け取る。ポケモン社は任天堂が議決権の32%を保有する持分法適用会社であるため、連結業績に与える影響を限定的としたのだ。
ポケモンGOの利益寄与の期待が薄らいでいただけに、7~9月の3カ月間だけで持ち分利益を105億円押し上げたのは、想定外として驚きをもって受け止められた。さらに、ポケモンGOと、任天堂の主力事業である家庭用ゲーム機の相乗効果が見えてきたことが好感された。欧米ではポケモンGOの配信開始以来、携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の販売がハード、ソフトとも伸びた。