ライセンスビジネス拡大か
任天堂の復活の方向性が見えてきた。ポケモンやスーパーマリオなど、スマホ向けゲームを豊富に抱えるIP(知的財産)を活用する戦略は、もともと評価が高かった。さらに、ポケモンGOのヒットで、ゲーム機との相乗効果が期待されるようになった。
11月18日、3DS向けのゲーム「ポケットモンスターサン・ムーン」を発売。初回出荷本数が全世界で1000万本を突破した。3DSゲームソフトで最多となる。
任天堂と米国でユニバーサル・スタジオを運営するユニバーサル・パークス&リゾーツは11月29日、任天堂ゲームの世界観を体験できるエリアを大阪、米国のオーランド、ハリウッドの3都市で展開すると発表した。今後、数年以内に、それぞれのテーマパーク内に任天堂エリアが誕生する。任天堂はキャラクターの使用を通じて、ロイヤルティー収入を得る仕組みとなる。ポケモンGO人気でライセンスビジネスの間口が広がった。
スーパーマリオランのダウンロード数に注目
任天堂は10月20日、新しいゲーム専用機「Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)」を17年3月に発売すると発表した。これまで「NX」という社内コードネームだったゲーム専用機の正式名称がこれである。
主力のWii Uについて、日本国内向けの生産を終了する。Wii Uは12年秋に発売。世界で累積1億台以上を販売する爆発的ヒットを飛ばしたWiiの後継機だが、液晶画面付きコントローラーという独自設計があだとなって使い勝手が悪く、不人気だった。
据え置き型ながら持ち運んで遊べる、ニンテンドースイッチに勝負を賭ける。ところが、発表時の株式市場の反応は冷ややかだった。株価は、ポケモンGOの日本配信直前の7月19日に、3万2700円の年初来高値を付けた。だが、任天堂がポケモンGOの利益は「限定的」と発表した直後に株価は急落し、ニンテンドースイッチの発表を受けても株価は上昇しなかった。かえって、ニンテンドースイッチは新鮮さに欠けるとして株が売られ、10月24日の終値は2万3970円に下落した。
だが、ここで真打ちの登場となった。スーパーマリオランへの期待感から株価は再上昇している。12月7日には2万8360円の戻り高値を付けるまで回復した。12月15日、スーパーマリオランの配信が始まる。ダウンロード数がどれほどになるか――。それによって任天堂の株価の位置が決まる。
(文=編集部)