フジテレビの持ち株会社であるフジ・メディア・ホールディングス(フジHD)は6月28日、「グランドニッコー東京 台場」で株主総会を開催した。今年はフジHDおよび中核子会社フジテレビの会長と社長が交代するということで、マスコミの高い関心を集めた。
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http://biz-journal.jp/2017/6/post_17674.html
まず、29年にわたってグループを牽引してきた“フジの天皇”ことフジHDの日枝久会長(79歳)が代表権のない取締役相談役に退いた。後任には嘉納修治社長(67歳)が昇格し、フジテレビの会長を兼務する。日枝氏はフジテレビでも取締役相談役に退く。フジHD社長にはビーエス(BS)フジ社長の宮内正喜氏(73歳)が就き、フジテレビの社長を兼ねる。フジテレビ現社長の亀山千広氏はBSフジ社長に転出する。亀山氏は2013年にフジテレビ社長に就いたが、視聴率競争に敗れた責任をとるかたちとなり、実質的な降格人事だ。
この人事は、フジテレビの視聴率が民放キー局で4位に低迷して業績が悪化したことについて、日枝氏が経営責任をとったものともみられているが、そう単純な話ではない。日枝氏はフジHD、フジテレビ、産経新聞社の取締役相談役に留まるなど、到底、“日枝時代の終焉”とはならない雲行きなのである。フジテレビ社長に就く宮内氏は、フジテレビ絶頂期のバブル時代に編成局長だった日枝氏の下でバラエティー部門をまとめていた直属の部下だ。腹心の部下・宮内氏を表に立てるかたちで「院政」を敷くというのが、社内外のもっぱらの見方だ。
宮内氏は1967年にフジテレビ入社。編成制作局長や系列局の岡山放送社長などを歴任後、2015年7月からBSフジの社長を務めていた。
質疑応答で株主からも「亀山社長はヒットドラマの制作で有名だったが、宮内氏の実績は何か。なぜ、宮内氏が社長なのか」という質問があった。これに対し、会社側は「社内の空気を変えることをコンセプトに宮内氏に決めた」と答えた。
総会で報告されたフジHDの業績を簡単に伝える。
連結対象子会社は43社で、売上高は昨年比2.1%増の6539億7600万円だが、営業利益が昨年比8.5%減の223億1900万円と落ち込んだ。都市開発事業が伸びたために、全体の売上は伸びたが、本業の放送事業が低迷したために営業利益が大きく減ったということである。同様に経常利益も昨年比6.2%減で、303億8000万円となった。