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日本獣医学会、安倍首相を真っ向批判…「現状理解せず発言」「獣医学教育の根幹を崩壊」

文・構成=長井雄一朗/ライター

――山本大臣の「獣医学部の質が落ちている」という発言がありました。そもそも、獣医学部および獣医師の質とは、どのようなことを意味するのでしょうか。

中山 私たちが今、問題にしているのは、獣医師ではなく獣医学教育(獣医師養成教育)の「質」です。獣医学教育の質の向上とは、すなわち「国際通用性」の達成です。具体的には、欧米で行われている獣医教育と同等の教育体制、教育内容、質保証の仕組みなどを、わが国の獣医学教育でも行っていくことです。

 獣医師の基本的な質は、獣医師国家試験によりすでに担保されていますが、獣医学教育の国際通用性達成により、国際舞台で活躍できる獣医師の輩出が期待できます。

――そもそも、獣医師の数は不足しているのでしょうか、余っているのでしょうか。

中山 職種、地域、時期などによって不足が生じていると理解しています。すなわち、産業動物臨床獣医師、公衆衛生獣医師が不足しているのは職域の偏在、大都市に伴侶動物獣医師が集中しているのは職域と地域の偏在です。また、牛海綿状脳症(BSE)や口蹄疫など重大な病気の発生時には一時的な不足が生じます。いずれも絶対的な不足ではなく、相対的な不足状態にすぎないと考えています。

――もし、獣医学部が全国展開された場合、どのようなことが起きるのでしょうか。

中山 現在、わが国の獣医大学は国際水準の教育体制を目指したさまざまな取り組みを行い、鋭意改善に邁進しています。そのため、現存の獣医大学においても教員の不足が生じています。もし、獣医大学が無制限に新設されるのならば、必要な教員数の確保は困難を極めます。上述したような質の高い獣医学教育は到底不可能です。

――今回の特区について、思うことはありますか。

中山 特区および特区申請に関して特段の意見はありません。

――特区を検討する民間議員の意見に対して、反論は?

中山 特区そのものの議論について意見はありません。獣医師および獣医学教育を議論するのであれば、民間議員も獣医師と獣医学教育の現状を十分に理解した上で議論し、発言してほしいと思います。

――ありがとうございました。
(文・構成=長井雄一朗/ライター)

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