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ピンク色のクランベリーバーガー、なぜ誕生?未経験で開店したハーフグラドルの生存戦略

文=福嶌弘/フリーライター
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「J’s Cranberry Burger」のクランベリーバーガー

 2020年は新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、各業界に暗い影を落としたが、それは芸能界も例外ではなかった。

 中でも深刻だったのが、グラビアアイドルとして活動する女性たちだ。芸能界特有の華やかな世界をイメージしがちだが、テレビ番組に出演できるのはごくわずか。そのほとんどは週末に開催される各イベントのコンパニオンや、自らが被写体となる撮影会などの開催で収入を得ていたが、コロナの影響でそうした活躍の場すら奪われてしまった。

 結果的に多くのグラビアアイドルが収入減に苦しみ、中には心療内科に通うまで追い詰められてしまった方もいるという。2020年は女性の自殺者が急増したというニュースもあったが、華やかな芸能界で活動する彼女たちにとっても、決して他人事ではないことがうかがえる。

 だが、そんな中でも、巧みにシフトチェンジを繰り返し、生計を立てている人もいる。今回紹介するデリバリー専門のハンバーガーショップ「J’s Cranberry Burger」のオーナー、クロエ潤もそのひとりだ。

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グラドルからデザイナーへの転身

 エジプト人の父と日本人の母を持つクロエ潤。ハーフ特有のエキゾチックなルックスと身長170センチという抜群のスタイルを兼ね備えた彼女は20代からグラビアアイドルとして活動し、「ミス東スポ2019ファイナリスト」などのタイトルも獲得する活躍を見せていた。しかし、2019年に自身のファッションブランド「Lil harbor」を立ち上げたのを機にグラビアアイドルの活動を休止。デザイナーとしてのキャリアをスタートさせた。

 デザインした水着の売り上げも好調で横浜市内にマンションを購入するほどの収入を得ていたが、2020年に入るとそうした活動に陰りが見えてきたという。

「水着のデザインが主な『Lil harbor』は冬がオフシーズンになるので、この頃から大和市内のキャバクラに勤務するようになったのですが、2020年の2月頃からお客さんが自粛を始めたことで入客が減り、給与体系も完全歩合制に変わって収入が安定しなくなったので、『これはヤバいな』って感じ始めました」

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 グラビアアイドル時代の収入源だったイベントコンパニオンの仕事も撮影会も中止ラッシュ。一部には「オンライン撮影会」と称してZoom機能を利用した撮影会を開催するアイドルも現れたが、彼女は「ファンの方と顔を合わせていないのに、写真を撮られるという感覚がちょっと嫌で」という理由で行わず。そこで始めたのが、Uber Eatsの配達員のアルバイトだった。

「実はグラビアアイドル時代から興味があって、やったことがあったんです。なので、配達員のアルバイトが急増して専用リュックが品薄になっている時期でも簡単に復帰できて。実家から原チャリを持ってきて、配達員として本腰を入れて働きましたね」

 久々に行ったUber Eatsの配達員のアルバイト、そして図らずも生まれた「おうち時間」に行っていた趣味のパン作りが「J’s Cranberry Burger」の原点となった。

クランベリーバーガー誕生のきっかけ

「よく、『パン作りって難しい』ってみんな言いますけど、私にとってはいろいろな工程のある料理の方が大変って思っちゃうんですよ。パンはただ生地をこねて、発酵させて、焼くだけだから、シンプルで簡単ですよ」と笑顔で語るように、お店ではピンク色が美しいバンズが次々と焼かれていく。

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「日常的にクランベリーを入れたパンを焼いて、よく食べていたんですが、これをハンバーガーにして食べたらどうなるんだろう? と思い、やってみたら意外においしくて。これは商売として成り立つんじゃないかな?」と考えたという。

「もともと父がエジプト料理のお店をやっていたのと、私もイタリアンのお店やパン屋さんで働いたことがあったんです」という彼女だが、自身のお店を持つのは初めての経験。コロナ禍の状況の中ではあまりに勇気がいることだが、「もがかないと生きていけないですから」と語った。

「グラビアアイドルで人気のある子だとファンの方からの援助を受けて生活できるかもしれませんが、私は誰かに頼りたくなかったし、『自力でなんとかしないと!』って思っていたんです。私自身、もともと働いていないと不安になっちゃう性格なので……」

 それは、彼女の本心なのだろう。グラビアアイドル、デザイナーという“本職”にこだわらず、激動の時代に自分を合わせていくのが彼女のスタイルと言える。

 ちなみに、自慢のハンバーガーはバンズもパティもすべて手作りという本格派。バンズはクランベリーの他にドラゴンフルーツの粉を混ぜることで美しいピンク色に仕上げ、パティに使われる牛肉は牧草のみを食べて育った牛のもの。そして、デリバリーで販売することを考え、ソースやバーガーを詰める箱などの細部にもこだわった。

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 ステイホーム期間中のアイデアを基に、商品化に向けて構想すること数カ月。都内に厨房のみの店舗を借り、昨年11月にオープンして以来、売り上げは徐々に伸び始めている。取材当日も自ら厨房に立ち、調理に励んでいた。

「より多くの人に、私のつくったバーガーを食べてもらいたい」という彼女。2021年、見た目にも美しいクランベリーバーガーがブレイクするかもしれない。

(文=福嶌弘/フリーライター)

●「J’s Cranberry Burger」
住所:東京都新宿区払方町1-3 キッチンベース
電話番号:090-6180-1442
営業時間:11:00~21:30
定休日:不定休
公式HP:http://js-cranberryburger.com/

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