少子化の定着による大学の危機は周知の事実だが、なかでも厳しい立場に追い込まれているのは女子大学であろう。
今年7月、それを象徴するような出来事が起こった。名門の女子短大として知られた青山学院女子短期大学が募集停止を決めたのだ。同短大に先駆けて昨年の夏には、立教女学院短期大学が募集停止を発表している。「アオタン」「リッタン」の略称でも親しまれ、女子受験生ばかりではなく男子大学生の熱い視線も浴びたトップクラスのミッション系短大が相次いで姿を消すことになる。
かつては女子高等教育の多くを担っていた短大への逆風は、本丸と言える4年制の女子大学にも及んでいる。私立の女子大学では御三家とされる津田塾、東京女子、日本女子をはじめ、京都女子、神戸女学院、金城学院あたりが知名度、難易度の高い、いわゆるブランド校として認識されている。しかし、このトップグループでさえ、もはや安泰とはいえないようなのだ。
「成績上位層で女子大学を第一志望とする受験生は明らかに減っている。特に女子高の受験生の共学大学志向が強まっているように感じる」(学習塾関係者)
関係者の体感ばかりではなく、裏付けるデータもある。首都圏及び関西圏の一流私大である、早慶上智MARCHと関関同立各校累計の男女別学生数の推移を見ると、男子がこの10年間で4156人減少したのに対して、女子は2万357人も増加している。要するにブランド女子大が入学してほしい層の受験生が、2万人あまりも併願の対象になる共学校に流出したことになる。
頂が怪しくなれば裾野には、より大きな影響は出るものだ。昨年度時点で全国に67大学を数える私立女子大学の4割に当たる27校の総定員充足率(単年度ではなく全学ベース)は9割を切っており、定員割れが常態化していることが窺える。総定員充足率及び運営する法人の財務内容から見て、苦しい状況にあると推察される、首都圏の女子大学をいくつか取材してみた。
漂う手詰まり感
以前は相応のブランド校として知られていた川村学園女子大学。寺本久男事務部長と、山上徹也学生支援部長に話を聞いた。
――定員充足率が低くなっているが。
山上氏 設立(昭和63年開学)の頃は、私立の女子大としては草分けの心理学科を設けて人気を集めた。ただ女子受験生の人文系学部離れ、教育学部における教員採用試験合格への道筋など資格志向の波に乗り切れなかった面はある。その後、教育学部に保育士養成課程を設け、栄養士の養成を含む社会学系学部、学科を設けるなど魅力ある大学づくりを行っている。一部学科の目白キャンパスへの移転、特待生制度の大幅拡充、遠隔地居住者支援など、入学者増加の努力を行っている。