外食産業の宅配サービスが競争激化
これは、ピザーラやピザハットなど同業他社との競争もあるが、異業種との競争が激化していることがより大きく影響しているだろう。業界の垣根を越えた競争に巻き込まれたために、ドミノ・ピザの売上高は低迷し、収益性が悪化していると考えられるのだ。
たとえば、出前サイト「出前館」の台頭がその一例だろう。出前館にはドミノ・ピザのほか、ピザーラ、ピザハット、モスバーガー、CoCo壱番屋、ガスト、バーミヤン、銀のさらといった有名ブランドが名を連ねている。加盟店舗数は右肩上がりに増えていて、17年8月期末には前期末比約12%増の1万5318店となっている。
利用者も大きく増えている。アクティブユーザー数(利用頻度が高い会員の数)は前期比約23%増の235万人となった。オーダー数は同約28%増の1728万件となっている。今後の見通しは強気で、17年8月期から3期後にはオーダー数を約2.8倍となる4840万件にまで増やす考えだ。
出前館が台頭するなどしてドミノ・ピザは厳しい状況に追い込まれていったが、今後さらに厳しい状況に置かれることになるだろう。というのも、有力企業が続々と宅配市場に参入しているためだ。
たとえば、吉野家が17年6月から出前館に注文が入った場合に、提携する朝日新聞販売店「ASA」など提携先が吉野家店舗から配達するサービスを一部店舗で導入した。スシローは同月からフードデリバリーサービス「ウーバーイーツ」と組み、宅配に参入している。マクドナルドも同月に「ウーバーイーツ」経由での宅配を開始した。
LINEは無料対話アプリ「LINE」で飲食店の料理を注文できるデリバリーサービス「LINEデリマ」を17年7月から始めている。出前館と連携したサービスで、出前館に加盟している店舗から宅配される。会員登録数は順調に伸びているようで、サービス開始からわずか50日間で150万人を突破したという。
共働き世帯や単身世帯、シニア層が増えているなか、消費者は「手軽に食事を済ませたい」「早く食べたい」といった欲求を強めている。スマートフォンなどIT機器が急速に普及していることなども手伝い、宅配市場は急速に拡大している。飲食店だけでなく、コンビニエンスストアやスーパーなど小売店も宅配サービスを拡充させるなど、業界の垣根を越えた競争が激しさを増している。