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開業1周年のギンザシックスが閑散…買い物しない客たち、斬新な取り組みが裏目に

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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開業1周年のギンザシックスが閑散…買い物しない客たち、斬新な取り組みが裏目にの画像1GINZA SIX(「Wikipedia」より/江戸村のとくぞう)

 鳴り物入りで誕生した、東京・銀座で最大級の商業施設「GINZA SIX(ギンザシックス)」が4月20日、開業から1周年を迎えた。運営するGINZA SIXリテールマネジメントによると、来館者数2000万人、売上高600億円という初年度の目標を達成する見込みだという。

 そんなギンザシックスに対する評価はさまざまだ。

 商品の種類に応じて階ごとに売り場を分ける従来の売り方にこだわらず、たとえば婦人服と紳士服を混在させて販売したり、2階から5階までの中央部分を大きな吹き抜けにすることで来店客を上階に誘導する仕掛けを施すなど、従来の百貨店とは異なる売り場展開を行ったことが多くの人の目に斬新に映り、集客につながったと評価する向きがある。

 銀座は有名な百貨店が軒を並べる街として知られている。銀座のランドマークでもある銀座四丁目交差点の角地には銀座三越が、銀座3丁目には松屋銀座があり、ほかも含めて多種多様な百貨店がひしめきあっている。そういった並み居る百貨店のなかでも、筆者の見るところ、ギンザシックスの集客力は引けを取らないし、集客状況に関して評価する人は少なくない。

 出店ブランドとの取引形態を、従来の百貨店でよく取り入れられている「仕入れ方式」ではなく、百貨店では珍しい「テナント方式」をベースとしていることも、新しい試みとして評価されている。

 仕入れ方式は所有権を卸業者やメーカーに残したまま商品を店頭に陳列し、店頭で売れた段階で正式に仕入れ、売上高も計上する形態のことだ。売れ残りは返品し、仕入れ自体がなかったことにする。

 商業施設は仕入れにおけるリスクが少ないため、大量に商品を仕入れることで豊富な品ぞろえが実現できるメリットがある。ただ、その分、漫然と陳列してしまいがちで、面白みのない売り場になる恐れがある。また、商業施設の裁量が大きい分、商業施設の売り場構築力が弱くなった場合、売り場の面白みのなさに拍車をかけることにつながるリスクもある。

 対して、テナント方式はテナントからの固定的な賃料(契約によって売上高に応じた歩合の賃料を加える場合もある)を得る形態のことだ。

 安定的な収益が見込めるというメリットがある。ただ、高い賃料を払うことができずに撤退するテナントが相次いだ場合、賃料を引き下げざるを得なくなるため、中長期的には商業施設の収益が低下するリスクがある。

 それぞれメリット・デメリットがあり、どちらが優れているかは状況により異なるといえるが、コト消費の重要性が増している現在、面白みに欠ける売り場になりがちな仕入れ方式を採用している百貨店では、今の時代のニーズに対応できなくなっている事実も明るみになっていることもあり、そういった事情からテナント方式を採用したギンザシックスを評価する声が少なくない。

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