業界4位のサークルKサンクスのメガフランチャイジー(大規模加盟店)として、香川、徳島の両県で約90店の「サンクス」を運営していたサンクスアンドアソシエイツ東四国(現アイル・パートナーズ/高松市)が、セブンにくら替えしたのだ。 同社関係者は「四国に多い高齢者向けの商品が充実しており、日販も高いのでセブンに乗り換えた」と、当然のように語っている。
●コンビニ飽和説と無縁の3強
ここ数年、「コンビニ3強」の寡占状態が加速している。セブン、ローソン、ファミリーマート(ファミマ)の上位3社とそれ以下の会社との収益力格差が鮮明化しているのだ。
2位のローソンは「チェーン拡大より、既存店の収益力拡大が先決」(ローソン役員)と、今のところは新規出店に慎重な構えをしている。
一方、3位のファミマは、ローソンと対照的にセブンとガチンコ勝負の構え。今年3月1日には近畿日本鉄道との業務提携を発表。近鉄グループが運営する駅構内の売店やコンビニなど69店を、今年夏から来年2月にかけてファミマに転換する予定だ。
同社の中山勇社長は「出店競争が激しいといっても、出店場所や形態を変えれば出店余地はまだまだ大きい」と、セブンとは異なる視点で「コンビニ飽和説」を否定している。
またファミマのある役員も「駅ナカのコンビニ日販額は、路面店コンビニより5割程度高い」と、近鉄との業務提携の狙いを明かしている。近鉄も「公共料金支払いなどのサービスや、品揃えの拡充で駅乗降客の満足度が高まる」(同社流通事業関係者)と、ファミマとの相乗効果に期待を寄せている。
12年度(13年3月期)決算の営業利益は「コンビニ3強」が揃って増益だったのに引き比べ、4位のサークルKと5位のミニストップは2桁の減益。6位以下では業績不振に喘ぐコンビニが多い。
大手経営コンサル関係者は「立場上セミナーなどでは口にできないが、『近くて便利』なだけで客が来てくれる時代はすでに終わっている。3強との違いを明確に打ち出せないコンビニは、傷が浅い今のうちに市場から撤退するのが上策」と断言する。
4位以下が苦戦する中、上位3社は今後も4位以下の競合、外食チェーン、セルフ式コーヒーチェーンなどの常連客も吸収しながら「コンビニ寡占時代」を推進してゆくことになりそうだ。
(文=福井 晋/フリーライター)