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減速感が明確になりつつある日本経済に暖冬が思わぬダメージ
なお、今回の試算では、エルニーニョで2015年並みの暖冬となったことを前提に試算しているが、これまでの歴史を見てもわかるように、エルニーニョが発生したからといって、必ず暖冬になるわけではない。
しかし、実際に暖冬になれば、気象要因により家計の消費行動に大きな変化が及ぶことも十分に考えられる。2015年の場合、前年の低温の反動や暖冬に加えて、チャイナショックに伴う株価の下落や消費マインドの低迷も手伝って、同年10-12月期の家計消費支出(除く帰属家賃)は前期比年率▲2.7%となり、同時期の経済成長率は前期比年率▲1.2%とマイナス成長に陥った。
また、エルニーニョは世界的な現象であるため、エルニーニョが海外経済にも影響を及ぼすようなことになれば、日本からの輸出減を通じて日本経済に悪影響を及ぼしかねない。
以上の事実を勘案すれば、今後の景気動向次第では、減速感が明確になりつつある日本経済に暖冬が思わぬダメージを与える可能性も否定できないだろう。特に足元の個人消費に関しては、自然災害や株価下落等のマイナスの材料が目立っているが、今後の個人消費の動向を見通す上では、エルニーニョによる暖冬といったリスク要因も潜んでいることには注意が必要であろう。
(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト)
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