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ファーウェイ“ショック”、日本企業に大打撃が鮮明…米国、経済より安全保障を優先

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 今後、米国政府はファーウェイに制裁をかける可能性がある。そうなると、ファーウェイのスマートフォン売上は減少するだろう。さらに、米国が安全保障を理由に中国製品に追加的な制裁関税をかける展開も考えられる。そうなると、世界的にシェアが高まってきた中国製のスマートフォンの販売は大きく落ち込むだろう。

 また、関税が引き上げられた分、中国で製造が行われているアップルのiPhoneなどの販売価格が上昇する可能性がある。その結果、世界的にiPhone需要が一段と低下する展開は避けられないだろう。

 つまり、米中の貿易戦争が激化するに伴い、世界的にスマートフォンの販売は減少する可能性がある。それは、スマートフォンの部品、生産設備などの需要を取り込んで業績を拡大させてきたわが国企業にとって無視できないリスクだ。

スマートフォン需要と東京エレクトロン

 
 その代表例が、東京エレクトロンだ。同社は世界第3位の半導体製造装置企業である。売上の90%超を半導体製造装置が占め、売上の87%が海外向けだ(2018年3月期)。スマートフォンの存在を抜きにして同社の経営を考えることはできない。

 2016年ごろから、世界のスマートフォン市場では中国企業のシェアが高まった。ファーウェイ、シャオミ、オッポ、ヴィーヴォなどの中国企業が低価格帯のスマホを投入し、サムスンやアップルからシェアを奪ったのである。当たり前だが、スマートフォンには画像処理やデータ保存など、数多くの半導体が搭載されている。

 それに加え、中国政府はIT先端技術振興策である「中国製造2025(2025年に中国製造業を世界トップにする政策)」を進めてきた。その目的は、ビッグデータ分析を基にした需要創造や工場の自動化、治安管理などである。産業高度化のために中国は自国内での半導体製造能力の増強を目指して東京エレクトロンの半導体製造装置を買い求めた。

 それに加え、韓国のサムスン電子も半導体需要の増加を見込んで生産能力を引き上げた。2017年、サムスン電子は260億ドル程度の設備投資を行った。これは前年実績の2.3倍だ。この結果、昨年度末の時点で東京エレクトロンの半導体製造装置事業の売上高の38%程度を韓国が占めた。

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