村田製作所は44%増益の見通し
村田製作所の19年3月期の連結純利益(米国会計基準)は、44%増の2100億円と従来予想を据え置いた。
業績予想の下方修正が相次いでいるなかで、村田製作所が従来予想を維持できたのはなぜか。それは、高級スマホの売れ行きを保守的にみるなど、もともとスマホ向けに慎重な見通しを立てていたからだ。
主力の積層セラミックコンデンサー(MLCC)は車載機器向けや、IoT(モノのインターネット)機器向けに引き合いが強かった。車載機器向けに経営資源を注いだ効果が出て、収益を確保できる“決算耐久力”がついた。「スマホ依存度」の高低で決算の明暗が分かれた。
「脱スマホ」が、電子部品メーカーの業績回復のカギとなる。
【大手電子部品メーカーの2019年3月期の当期純利益予想】
()内は直近の時点での予想
・村田製作所…2100億円(2100億円)積極的な据え置き
・日本電産…1120億円(1470億円)
・京セラ…900億円(955億円)
・TDK…800億円(800億円)※株式の売却益を含む
・日東電工…730億円(840億円)
・オムロン…500億円(585億円)
・アルプスアルパイン…240億円(430億円)
パナソニック、ソニーも不振
大手エレクトロニクス企業も同様だ。
パナソニックは19年3月期の業績予想を下方修正した。連結営業利益(国際会計基準)は前期比1%増の3850億円で、従来予想より400億円減額した。中国の景気減速で家電や電子部品の販売が低迷した。売り上げは2000億円減の8兆1000億円(前期比1%増)。18年3月期実績で売り上げの12%を占めた中国で家電のほか、コンプレッサーなどの部品が売れなかった。現地のスマホ関連企業の設備投資にブレーキがかかり、生産ラインで使うモーターなどの部品が振るわなかった。
パナソニックの株価は2月5日、一時、1000円を割り込み、992.7円をつけた。昨年来安値は12月25日の917.7円である。
ソニーは今3月期の第3四半期決算(昨年10~12月)が市場予想を下回った。10~12月期営業利益の市場コンセンサスは3800億円台だったが、3770億円で着地した(前年同期比7%増)。半導体部門を中心に2019年3月期(通期)の売上高を8.7兆円から8.5兆円(前期比1%減)に引き下げた。営業利益は計画(8700億円、同18%増)を据え置いたが、株価は5000円台の大台を割り込み大幅安。2月7日には4704円まで下げ、昨年来安値を更新した。終値は4713円である。
ソニー、パナソニックというエレクトロニクス業界の両雄も、中国&アップルのダブルショックの暴風に巻き込まれてしまった。
(文=編集部)