「世界の消費地」となった中国の景気が減速し、悪影響が広がっている。中国政府が企業や地方政府を対象に債務圧縮を進めた結果、景気が減速。米中貿易摩擦の激化やスマートフォン(スマホ)市場の飽和が追い討ちをかける。
米アップルの2018年10~12月期決算は前年同期比で減収減益。四半期での減収は16年7~9月期以来9四半期ぶり。減益も8四半期ぶりとなった。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は「特に中国の経済環境が我々の当初予想よりもかなり厳しかった」と指摘した。「アップル頼み」の電子部品メーカーは“アップル・ショック”に見舞われた。
「京都系」の決算を見てみよう。京都は「日本のシリコンバレー」と呼ばれている。京都大学は産学連携に積極的なことで知られ、京大の周囲に起業家が集まる。個性派の世界企業を輩出してきた「起業の都」だ。
京都は電子部品メーカーの集積地である。日本電産、京セラ、村田製作所、オムロン、ロームが「京都系」と括られる電子部品メーカーの大手である。決算見通しでは明暗が分かれた。
京セラ、オムロンは今期2度目の下方修正
「尋常でない変化が起きた。46年間経営をやってきて、月単位で受注がこんなに落ち込んだのは初めて」
モーター大手の日本電産は、19年3月期の連結純利益(国際会計基準)の見通しを前期比14%増の1120億円に下方修正した。従来予想(12%増の1470億円)から一転して減益になる。永守重信会長兼CEOは米中貿易摩擦による中国経済減速の影響を、こう表現した。
電子部品各社は1月29日から2月1日にかけ、19年3月期第3四半期の決算を発表。通期の業績予想を下方修正する企業が相次いだ。
京セラは19年3月期通期の連結純利益(国際会計基準)の予想を前期比14%減の900億円に下方修正した。従来予想を55億円下回る。下方修正は今期2度目。期初には1340億円としていたが、期央に955億円に引き下げていた。
谷本秀夫社長は決算会見で「中国経済が下向いてきており、受注は減少している」と述べた。スマホ向けに加え、自動車部品の製造で使う工具の需要も落ち込んだ。
オムロンも19年3月期の連結純利益(米国会計基準)の予想を2度、下方修正した。645億円から585億円、さらに500億円(前期比21%減)に引き下げた。18年12月以降、中国を中心とした景気の減速でスマホなどの設備投資が停滞し、制御機器の需要も落ち込んだ。
「関東系」と括られるHDD向け磁気ヘッド大手のTDKは、19年3月期の連結営業利益(米国会計基準) を従来予想の1200億円から1100億円に下方修正した。中国の景気減速の影響で自動車やスマホ向け部品の販売が減少する。ただし、関係会社株の一部を売却するため、純利益は前期比26%増の800億円と従来予想を据え置いた。